世界中のあらゆる地域には、国や民族が誇る文化財や自然環境があります。世界遺産とは、現代を生きる世界のすべての人びとが共有し、未来の世代に引き継いでいくべき人類共通の宝物のことです。 そこには、国境という概念はありません。自国の文化と歴史を愛することは、他国の文化と歴史を理解し、尊重することへとつながっているからです。
1972年の第17回ユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」のことです。世界遺産条約が生まれたのは、地球上に存在するさまざまな文化遺産、自然遺産を、ある特定の国や民族のものとしてだけでなく、世界の全ての人にとってかけがえのない宝物として、保護していこうという考え方からでした。
このため条約は、わたしたち人類が責任をもって保護すべき普遍的な価値を持つ文化遺産、自然遺産を認定し、そのリストを作成することを定めています。世界遺産は「文化遺産」「自然遺産」「複合遺産」に分類されます。これによって、遺産の保護活動に向けた世界中の人びとの国際協力が推進されることになります。日本は1992年にこの条約を批准し締約国となっています。 |