スウェーデン・アカデミーは10日、2013年のノーベル文学賞をカナダの作家、アリス・マンローさん(82)に授与すると発表した。授賞式は12月10日、ストックホルムで行われる。
アリス・マンローさんは1931年、カナダ・オンタリオ州生まれ。68年に初の短編集がカナダで最も権威のある「総督文学賞」を受賞した。短編小説の名手として知られ、98年には全米批評家協会賞を受けるなど、英語圏を中心に国際的な評価を得ている。 アカデミーのエングルンド事務局長は「人間の本質を見抜いている。誰が主役で何が起きるのか分からない作品もあり、展開の仕方が卓越している」と称賛した。 1931年、カナダのオンタリオ州生まれ。大学生のころから創作を始めて、結婚後、本格的に小説に取り組んだ。図書館に勤めたり、書店を開いたりするかたわら、短編を発表した。 68年に初めての短編集「Dance of the Happy Shades」を出し、翌年、カナダ文学界で最高の栄誉とされる総督文学賞を受賞。小さな田舎町の人々の生活、特に女性の目覚めや悩みなどを詳しく描き、「短編の名手」として知られる。 O・ヘンリー賞、全米批評家協会賞、ブッカー・インターナショナル賞など数多くの賞を受賞。今年9月に刊行された村上春樹さん編訳の恋愛アンソロジー「恋しくて」にも、短編「ジャック・ランダ・ホテル」が収録されている。 今年の夏に、米ニューヨーク・タイムズ紙などに対し、「エネルギーがなくなった。もう書くことはないと思う」と述べ、引退する考えを明らかにした。 邦訳作品に「イラクサ」「林檎の木の下で」などがある。2005年、米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出され、09年に国際ブッカー賞を受賞した。 有力候補と目された村上春樹氏(64)は受賞を逃した。