世界32位の錦織圭(21=ソニー)が、日本男子史上初めて世界1位を破る快挙を達成した。今年、全豪、ウィンブルドン、全米を制し、わずか3敗しかしていないノバク・ジョコビッチ(24=セルビア)相手に、第1セットを落としてから2−6、7−6、6−0の大逆転勝ち。世界ツアーでは、4月の全米クレーコートに続く自身3度目の決勝に進出した。
何という21歳でしょう。歴史的な勝利の瞬間も、右手で小さなガッツポーズを繰り出しただけで、まるで当然の勝利のような横綱相撲の試合運びでした。ストロークも、サーブも、完全に世界王者を振り切って、今年たった3敗しかしていないジョコビッチに、最後は何と1ゲームも与えない完封勝ち。ジョコビッチのバックがアウトすると、歴史的な快挙が達成された。
1回戦では、世界7位のベルディハを撃破。3週前の上海大会では、同8位のツォンガに勝った。10月17日には、日本男子最高位を19年ぶりに更新したが、錦織劇場のクライマックスは、それどころではなかった。史上初の世界1位撃破。「第2セットからプレーのレベルが上がった。自信になった」。 第1セットは自滅だった。世界1位相手に、改良したはずの第1サーブが24%しか入らず。サービスゲームで自ら主導権を奪えずに、1オールから一気に4ゲームを連続で落とした。「あまりいいプレーができなかった」と、ジョコビッチのパワーに圧倒された。 しかし、第2セットに入ると、錦織の天才といわれる才能が徐々に発揮される。試合中に、相手の展開や癖を見抜き、自らのショットを修正。ジョコビッチのスピードやパワーにも慣れて、リードを奪う。4−2から4オールに追いつかれたが、最後はタイブレークでもぎ取った。 ジョコビッチは、右肩の故障で武器のサーブが通常よりスピードが出ない。錦織は、そこを付け込むと、最終セットはストロークエースの乱れ打ち。今年、1度もセットを0−6で落としたことのない王者に、1ゲームも与えない完封で、歴史的な勝利を締めくくった。 92年6月に、ウィンブルドン前哨戦の大会準決勝で、松岡修造が当時世界2位のエドベリに勝ったのが、日本男子の金星最高位。73年に現行のコンピューター世界ランクができて以来、38年間、日本男子は誰も世界1位を破ったことはなかった。世界1位撃破に加え、自身ツアー2勝目も見えてきた。
錦織、決勝で元世界王者フェデラーに敗れる 男子テニスのスイス室内は6日、スイスのバーゼルで行われ、シングルス決勝で世界ランキング32位の錦織圭は、同4位で4大大会通算16勝の元世界王者のロジャー・フェデラー(スイス)に敗れ、2008年以来のツアー2勝目はならなかった。日本男子では初の2勝目を狙った錦織は、初対戦したフェデラーのサービスゲームを一度もブレークできず、1―6、3―6で完敗した。