Facebookは北極圏に近いスウェーデンのルレア(Lulea)という町の郊外に巨大データセンターを建設する計画を明らかにした。同地では寒冷な気候を利用し、サーバの自然冷却が可能になるほか、水力発電でつくられるふんだんな電力でデータセンターの電力ニーズをほぼまかなうことができるようになると同社は述べている。
今後5年間で倍増するウェブサービス用サーバの増加分をまかなうには「石炭火力発電所45基分の電力が新たに必要になる」という。Facebookは北極圏に近いスウェーデン郊外に巨大データセンターの建設を計画、業界団体を立ち上げた。 Facebookは米国時間27日に、Open Compute Foundation(OCF)という業界団体を立ち上げた。OCFでは、インターネットに接続する大量のサーバの稼働コストを引き下げると同時に、これらのコンピュータ群が環境に与える影響の削減もねらっていくという。Facebookは今年4月に、同様の目標を掲げるOpen Compute Project (OCP)という取り組みを開始していたが、OCFはこのOCPの活動を正式に引き継いだものとなる。
Facebookでは自社で新たに建設するデータセンターの設計に関して、オープンソース形式のOCPを立ち上げ、外部からアイデアを募っていた。OCFでは、他の大手インターネットサービス各社に対して、OCPと同様の試みを採り入れるよう働きかけていく。具体的な施策については、サーバ用マザーボードのレイアウトから、サーバ群を収容するデータセンターの建物や冷却装置の設計まで、あらゆる情報を公開するといったものになるという。
OCFにはFacebookのほか、Intel、Dell、ASUS、Red Hat、Mozilla、Rackspace、NTTデータ、Netflixなどの各社や団体が参加。そのほか、サーバメーカー、ソフトウェアメーカー、ネットワーク機器、電力・冷却装置のメーカー、それに大規模なデータセンターを建設・運営する事業者なども含まれるという。
OCFでは、大規模データセンターを利用する各社が参加しているOpen Data Center Association (ODCA)とも話合いを進めている。OCFの代表者を務めるFacebookのフランク・フランコフスキ氏(同社ハードウェア設計・サプライチェーン担当ディレクター)によると、OCFでは、Intelが立ち上げたODCAのワーキンググループによるハードウェア標準策定作業の成果を、取り込んでいく考えだという。
Intelのジェイソン・ワックスマン氏(同社データセンター・グループ 高密度コンピューティング担当ゼネラルマネージャー)は、OCFのミッションについて、サーバの急増にともなう電力需要拡大への対応という、緊急を要する課題解決に取り組むことだと説明している。ウェブサービス向けのサーバ導入台数は今後5年間で倍増するとみられているが、この増加分をまかなうだけで「石炭火力発電所45基分の電力が新たに必要になる」という。