衛生微生物研究センターは、食後の食器を浸け置きした場合の生菌数の変化と、浸け置き後に手洗いした場合と食器洗い乾燥機で洗浄した場合の残留細菌数について比較検証の調査を実施した。
調査結果によると、10時間浸け置き後の食器は手洗いしても最大140万個(1.4×106cfu/ml)の菌が残留し、食器洗い乾燥機で洗浄すると検出レベル以下まで菌が死滅することが検証された。同センターは「残留細菌が付着した食器を繰り返し使用すると残留細菌が増殖し、食中毒や雑菌が引き起こす病気のリスクが高まることが考えられます」と分析している。
一般家庭で使用される7種類の食器(皿 / コップ / 箸 / 弁当箱 / まな板 / シリコンスチームケース / 水筒)を対象に3つの試験を実施。第一段階で食後の食器を10時間浸け置きした場合の汚染度を調べ、第二段階で10時間浸け置きしたものを一般的な洗剤とスポンジで手洗いした場合の残留細菌数を検査した。 また、10時間浸け置きした食器を、一般的な食器洗い乾燥機で洗浄し、手洗いとの残留細菌数を比較検証した。浸け置きは、一般的な汚れ(肉1g、魚1g、ご飯3g、野菜類5g)と水3リットルを入れた洗い桶に対象食器を入れ、家庭の一般的な汚れを再現したという。
10時間浸け置きすると、浸け置き前と後で、水の中の生菌数は約7万倍(107〜108cfu/ml)に増殖し、食器類にも同等の生菌数(106〜107cfu/ml)が検出された。ちなみに、106〜108cfu/mlの汚染度は、一般家庭の台所や風呂場の排水口、つまり汚水が流れる箇所と同程度の汚染度になるという。
10時間浸け置きした生菌数106〜107cfu/mlの汚染度の食器を、一般的な洗剤とスポンジで丁寧に手洗いしたところ、食器によって差はあるものの、平均して約10万個(9.8×104cfu/ml)が残留細菌として検出された。弁当箱パッキン部で最大140万個(1.4×106cfu/ml)、水筒の蓋やパッキン部で最大16万個(1.6×105cfu/ml)など、普段から洗いにくいと考えられている食器で特に高い残留細菌が検出されたとのこと。
一方、10時間浸け置きし、生菌数106〜107cfu/mlの汚染度の食器を一般的な食器洗い乾燥機で洗浄すると、細菌(一般細菌、一般食中毒菌)は検出レベル以下であり、残留細菌による健康被害のリスクは限りなくゼロに近いことが検証された。