撮影後に焦点を変更可能、Lytro社の新型カメラは方向も含めた光線情報を保存しており、撮影した写真の焦点を後で自由に変更できるライトフィールドカメラが、米Lytro社から低価格で発売される予定だ。 この写真は、1台のカメラを使用して、単一の露出で撮影されている。だが、写真を撮影した後であっても、その写真のあらゆる箇所の焦点を変えることができる。
撮影後にピントを合わせ直す新しいカメラ技術
ピントが写真のどこにも合っていなくても、あとから修正を加えることができる画期的なハイテクカメラを、スタンフォード大学の大学院生が考案した。メインのレンズとセンサーの間に設置された約9万個の超小型レンズによって、カメラに入るあらゆる光線の方向を記録しておき、撮影後にフォーカスを修正する際、専用のソフトウェアで光線を追加する仕組みだ。
イング氏が最高経営責任者(CEO)を務める米Lytro社では、このカメラを2011年中に発売する予定だ。
ワイアードブログ『Gadget Lab』の熱心な読者なら、この技術を搭載したカメラが、ライトフィールド・カメラ(日本語版記事)またはプレノプティック・カメラと呼ばれるものだということがわかるだろう。
このカメラでは、レンズ・アレイがカメラの焦点面(光がレンズによってフォーカスされる場所で、フィルム面とも呼ばれる)に配置され、センサーがそのすぐ後ろにある。そのため、このカメラは、光の色と強度だけでなくその方向も記録する。この情報を使用した複雑な処理を行うことによって、上の写真で見たようなマジックを実現できるのだ。また、カメラの持つ精密な機構の多くが、ソフトウェアによって置き換えられている。
撮影後に焦点を変えられる機能はまさに驚くべきものだが、このカメラは、記録した情報を用いてほかにも巧妙なトリックを実現している。ひとつめは、これまでよるはるかに光量の少ない場所で撮影ができること。ふたつめは、センサーが方向の情報を記録しているため、前にある物体の縁の「背後」を覗き見られることだ。
Lytro社は、購入しやすい値段でこのカメラを販売する予定だという。ホワイトバランスと同じように、家に帰ってから焦点を選択したり、(ある程度まで)露出を選択したりできるようになることを想像してみてほしい。うまく動作し、サンプル写真のような機能が実現すれば面白いことになるだろう。 「撮影後に焦点を変更できるカメラ」がついに発売 米Lytro社は、しばらく前から期待されてきた革新的なライトフィールド・カメラ(プレノプティック・カメラ)を公式に発表した。
このカメラ『Lytro』では、マイクロレンズアレイがカメラのセンサーの上に設置されており、撮影場所の光をすべて(正確には1,100万光線)取り込むことができる。画像は独自のファイル形式で保存されるため、まるで未加工のファイルのように、「生きた写真」としてコンピューター上で操作できる。主要な属性を操作することで、写真の焦点を自由に変更できるのだ。
カメラの形自体も画期的だ。高さと幅が約4.1cm、奥行きが約11.2cmの直方体で、前面に8倍ズームのF2レンズが搭載されている。バックライト付きのタッチスクリーン式液晶ディスプレーによって、構図の確認と露出の設定ができる。ボタンは電源ボタンとシャッターのふたつしかない。処理はすべてソフトウェアが行うので、カメラ自体はシンプルにできるのだ(編集ソフトは現在Macのみで、Windowsバージョンは開発中だという)。
2種類のカメラが予約発売されており、容量8GBのモデル(ボディの色はエレクトリック・ブルーまたはグラファイト)が価格400ドル。容量16GBのモデル(ボディの色は「ホットレッド」)が価格500ドルだ。8GBモデルには350枚の写真を、16GBモデルには750枚の写真を保存できる。出荷は2012年はじめだという。