パナソニックは20日、熱湯や蒸気を流すだけで発電できる世界初の「熱発電チューブ」を開発したと発表した。普及が期待される地熱発電のほか、温泉水や工場、ゴミ焼却施設などの廃熱を使って発電することも可能で、2018年の実用化を目指すとしている。
熱エネルギーを電力に変える「熱電変換技術」を利用した。チューブは、熱が流れにくい合金(熱電変換材料)と熱が流れやすい金属を交互に接合して形成。チューブの周囲に冷水を満たした状態で、チューブ内に熱湯や高温の蒸気を流すことで温度差を生じさせて発電する仕組みだ。 従来型の熱電変換素子と比べて4倍の発電量を実現しており、試作した長さ10センチのチューブでは約1.3ワット時の発電に成功したという。 パナソニックでは熱発電チューブの特徴として、従来のπ型構造の熱源変換素子を使った場合と比べた場合、4倍の発電量が実現できる点と、製造方法が簡単で配管にそのまま使える形状である点を挙げている。従来の熱電変換素子を使ったケースでは、構造が複雑なため、熱を取り込む際のロスが大きく、複雑な配線が必要だったというが、熱発電チューブなら熱のロスが少なく、複雑な配線も不要となり、熱発電システムの実現が大きく前進できるとしている。 同社ではまた、チューブに流す温水・冷水の温度や湯量に応じた発電特性をシミュレーションする技術も構築したとしている。また、配管そのもので発電するため、熱を取り込む際のロスも少なく、複雑な配線も不要となるのもメリットだ。 配管に熱湯や高温の蒸気を流し続ければ、太陽光発電システムと同水準のエネルギー効率で24時間発電することが可能。チューブを長くすれば、発電量も増加する仕組みだ。 例えば温泉施設では、源泉から適温に水温を下げる部分にこのチューブを使い、給湯と発電を両立するなどの利用法にも期待が高まる。パナソニックでは3年計画で、生産プロセスの確立や温泉地での実証試験などを続け、早期の実用化を目指す方針だ。