英王室の王位継承順位2位のウィリアム王子(28)と大学の同級生で中流家庭に育ったキャサリン(ケイト)・ミドルトンさん(29)の結婚式が29日、ロンドンのウェストミンスター寺院で行われた。英国で庶民(非貴族)が王妃予定者になるのは、1660年のヨーク公妃以来、約350年ぶり。結婚パレードには大勢の人出があり、新郎新婦を祝福した。
キャサリンさん、ケンブリッジ公爵夫人に キャサリンさんは家族にはその名で呼ばれるが、英国民もメディアも、親しみを込めて愛称を使い、「ケイト」と呼んできた。ウィリアム王子と出会ったスコットランド地方の名門セントアンドリューズ大学で「ケイト」が通称となり、王子もそう呼んできたことが理由だ。 一方、本人は結婚後は「キャサリン」と呼ばれることを望んでいるという。昨年11月の婚約発表を機に、王室の報道文書は「キャサリン・ミドルトンさん」で統一された。ただ、一般家庭出身のキャサリンさんは王族入りしても、公式には「プリンセス・キャサリン(キャサリン妃)」と表記されない。 エリザベス女王は29日、二人にそれぞれ「ケンブリッジ公爵」「ケンブリッジ公爵夫人」の爵位を与えた。だが、王子の母ダイアナさんが「ダイアナ妃」と呼ばれたように、国民はやがては「キャサリン妃」の呼称を使うようになるだろう。
英王子結婚式:ドイツの旧王家、出席へ 独メディアによると、29日に行われるウィリアム英王子とケイト・ミドルトンさんの結婚式に、ドイツから現在の英王室の起源となる独ハノーファー家の血を引くモリッツ・フォン・ヘッセン方伯らが出席する。 英王室ウィンザー家はもともと、18世紀にドイツのハノーファー家ジョージを迎え入れて成立したが、第一次大戦中の1917年、敵国の名を嫌い、王宮の場所がある地名ウィンザーを家名にした経緯がある。このためドイツ国内では英王室について「もとはドイツ人」と親しみを感じている人も多く、独メディアも連日大きく報じている。
<午前> 8時15分 招待客1900人の入場開始(日本時間午後4時15分) 10時15分 ウィリアム王子と付添人のヘンリー王子が式場のウェストミンスター寺院に到着 10時27分 ケイトさんの母親キャロルさんと弟ジェームズさんが寺院到着 10時30分 英王室関係者が寺院入り。チャールズ皇太子とカミラ夫人は同42分、エリザベス女王とフィリップ殿下は同45分に到着 10時51分 ケイトさんが父マイケルさんと共に寺院近くのホテルを出発 11時00分 結婚式スタート
<午後> 0時15分 2人を乗せた馬車が寺院を出発し、バッキンガム宮殿までパレード 1時25分 宮殿のバルコニーから2人がエリザベス女王や家族と共に姿を見せる 宮殿でエリザベス女王による600人招待の祝賀昼食会 <夜> チャールズ皇太子が家族や友人約300人を宮殿に招いて夕食会を開催
100万人が喝采 バルコニーでキス 英挙式 ロンドンのウェストミンスター寺院で29日に行われたウィリアム英王子とキャサリン妃の結婚式。国民に愛された故ダイアナ元妃の愛息と一般家庭出身の女性が育んだ愛に、沿道では約100万人が喝采をおくり、世界で推定20億人がテレビで見守った。 午前11時(日本時間午後7時)すぎ、英国国教会のウィリアムズ・カンタベリー大主教によって、式が厳かに始まった。王子は真っ赤な英軍の礼服、キャサリン妃はクリーム色がかった白色のウエディングドレスをまとい、祭壇に進んだ。 約1900人の招待客が見守るなか、大主教が愛の誓いの言葉を読み上げると、2人は順番に「アイ・ウィル(はい)」と宣誓。王子は、ウェールズ産の金でつくられた指輪をキャサリン妃の左薬指にはめた。 キャサリン妃は故ダイアナ元妃の時と同じく、伝統的に使われた「(夫に)従います」の言葉は使わなかった。大学で恋に落ち、別れも経験した現代的なカップルの対等な関係を印象づけた。歴代の王が眠り、ダイアナ元妃の葬儀も営まれた由緒ある寺院に、聖歌隊の賛美歌が響き渡った。 挙式後、王子夫妻は寺院の外に姿を現し、4頭立ての馬車でバッキンガム宮殿までパレード。沿道には赤、青、白の英国旗・ユニオンジャックが至る所にはためき、2人が手を振ると観衆から大きな歓声が上がった。 午後1時25分、宮殿のバルコニーに立った2人は、眼下の広場を埋め尽くした観衆にこたえ、笑顔で2回キス。空軍機が上空を飛び交い、祝福の歓呼の中、ヨークシャー州から宮殿前に駆けつけた元商店勤務のローズ・ヘルムさん(62)は「ケイト(=キャサリン妃の愛称)さんは本当に愛らしくて賢い。英王室の新しいスタートになる」と興奮気味だった。東日本大震災を受け、「がんばれ日本」と書かれた日の丸を振る人もいた。 寺院そばのトラファルガー広場では、多くの市民が巨大な画面で式の様子を見守った。ロンドンのビデオ編集者トム・クラークソンさん(22)は「この結婚式は国をひとつにしてくれるし、世界が我々を見てくれる。英国が景気後退から抜け出そうとしている時だからこそ、みんなを元気づけてくれる」と話した。