東電福島第一原発のタービン建屋地下などにたまる高濃度の放射性物質を含む水の浄化に、仙台市青葉区の愛子(あやし)産の鉱物「天然ゼオライト」が有望であることを、日本原子力学会の有志らがまとめ、7日発表した。
研究チームは、同学会に所属する東北大など5大学と日本原子力研究開発機構の計59人。福島第一原発で、難航する高濃度汚染水の処理の一助になればと、自主的にデータを集めた。 実験の結果、表面に微細な穴の多い「天然ゼオライト」10グラムを、放射性セシウムを溶かした海水100ミリ・リットルに入れて混ぜると、5時間で約9割のセシウムが吸着されることを確認した。愛子産ゼオライトは大量にすぐに入手できるため、有望な材料と判断した。ほかにも放射性ヨウ素を効果的に吸着する材料として、活性炭などを挙げる。 火山国である日本は、世界でも有数の天然ゼオライトの産出国で、その産出量は全国で年間12万トン。天然ゼオライトは、火山活動による堆積物が海底や湖底に埋没し、圧力、温度、水分などの作用で変質して生成されます。わが国の天然ゼオライト鉱床は、北海道南西部から東北地方一帯と、西日本では唯一島根県の中・東部地域に分布します。島根県内での産出量は、1991年には年間約2万トンにおよんでいます。 高濃度汚染水の浄化システム、東電が設計着手 福島第一原子力発電所のタービン建屋の地下などにたまっている高濃度の放射性物質を含む水を処理するため、東京電力は仏原子力大手「アレバ」や国内企業の協力を得て、2種類の新しい浄化・循環システムの設計に着手した。 汚染水を真水に近い状態に戻して、冷却用に再利用するもので、数か月内の稼働を目指す。 新システムは、高濃度汚染水用と低濃度汚染水用。高濃度用は、放射性物質のセシウムなどを吸着するゼオライトや化学的な性質を利用して汚染物質を沈殿させる凝集剤などを組み合わせて浄化する。低濃度用は、高濃度を浄化した後などにイオン交換樹脂膜フィルターによる濾過(ろか)で浄化する。 1〜3号機のタービン建屋地下などには、約6万トンの高濃度汚染水がたまっている。原子炉を冷やすため、真水の注入が行われているが、汚染水が増えるという悪循環が続き汚染水処理が緊急の課題となっている。
□天然ゼオライトとは?□ 天然ゼオライトは、結晶性のアルミノケイ酸塩から成る鉱石で、邦名を沸石といいます。カルシウム・マグネシウム・鉄・ナトリウム・カリウムなどの種々のミネラルが含まれ、周囲の環境に左右されず、長時間力を持続できる特性があります。吸着・吸湿力に優れ、脱臭剤や土壌改良材に利用されています。
天然ゼオライトは、結晶性のアルミノケイ酸塩から成る鉱石で、邦名を沸石といいます。カルシウム・マグネシウム・鉄・ナトリウム・カリウムなどの種々のミネラルが含まれ、周囲の環境に左右されず、長時間力を持続できる特性があります。吸着・吸湿力に優れ、脱臭剤や土壌改良材に利用されています。
ゼオライトの結晶水はゼオライトの立体網目構造の中に水分子として存在するため特に沸石水と呼ばれ、加熱などにより脱水してもゼオライトの構造は破壊されず、結晶水が有った箇所はそのまま空洞として残り、ちょうどスポンジ状の構造になり、この空洞に再びガスや水分を強力に吸着する特性があります。