月は約45億年前、火星サイズの天体が地球に衝突し、その結果、地球の周りに作られた高温のガスとマグマの円盤から形成された説が有力。
米国航空宇宙局(NASA)が1961〜72年に実施した有人月探査であるアポロ計画では、アポロ11、12、14、15、16、17号の6回の月岩石の回収に成功しており、今回の研究ではアポロ11、12、14、17号の回収試料を分析対象とし、月の海と高地の両方の試料を選択した。月の高地の岩石は月の表面がマグマの海に覆われていた時代にマグマが固結した陸地部分(斜長岩)であり、月の海は、その後、月が冷却し、マグマの海の表面が全部固結した後、月の内部から噴出したマグマにより月の低地部が覆われ固まった溶岩(玄武岩)となっている。 双方のマグマとも冷却し溶融部分が固結する最終期にアパタイトを結晶化しており、これらの岩石の採集地点は月の表側の広範囲にわたっているため、今回のアパタイトの分析値のセットは月の内部の水成分を代表していると考えられるという。