ポプラ社は16日、俳優の水嶋ヒロさんが本名の齋藤智裕で執筆した処女小説「KAGEROU」が、発売2日目で68万部に到達すると発表しました。全国の書店から事前注文が集まり、15日の販売初日の時点で43万部に達していたが、「午前中から売り切れ店が続出し、書店からの注文が殺到したため重版を決定した」(同社宣伝広報部)という。新人作家の作品としては異例の部数となっている。
文芸書は10万部売れれば大ヒットだが、ポプラ社には予約注文が殺到。 小説「KAGEROU」は、第5回ポプラ社小説大賞を獲得した水嶋さんが賞金2000万円を辞退したことや、出版社側が小説の中身を明かさなかったことが話題になり、新人の処女作としては異例の43万部もの事前予約が全国の書店から出版社に寄せられていた。 最近では、村上春樹氏の長篇『1Q84』BOOK1の初版25万部を上回った。 ポプラ社は外部に内容が漏れるのを恐れ、事前に書店に校正刷りを配らず、宣伝用ポスターでも内容については直接触れなかった。このため、ネット上などでストーリーに関する臆測が飛び交い、発売前から商戦は過熱気味だった。 ポプラ社は今回、売れ残れば仕入れ値と同額で返品できる通常の本とは違い、書店のマージンを増やす代わりに返品の際の負担も増える責任販売制を採用した。確実にベストセラーが見込めそうなケースに使われることが多い方式だ。書店にとっては、予約した冊数が必ず入荷されるという利点がある一方、売れ行きを読み違えれば大きな損失を抱えるリスクもある。 作品は、自殺をしようとした40代の男が主人公。闇組織に臓器売買を持ちかけられ、「命」の換金を決断する。だが男は病気の少女と出会い、命の重さを考えていく。現実にはあり得ない設定を用いたファンタジーになっている。 水嶋さんは慶大在学中にモデルを始め、2006年にテレビドラマ「仮面ライダーカブト」に主演。ドラマや映画に相次いで出演し、人気を集めた。 歌手の絢香さんとの結婚や、所属していた芸能事務所の退社が話題になった。その後、小説が公募の賞を受賞。賞金2千万円の辞退などで関心が高まった。出版元のポプラ社によると、今作は通常の委託販売制ではなく責任販売制を採用した。書店にとって売れれば通常よりもうかり、売れ残ると負担が生じる仕組みだが、書店からは注文が殺到したという。 『KAGEROU』――儚く不確かなもの。 廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンス。 「かげろう」のような己の人生を閉じようとする、絶望を抱えた男。 そこに突如現れた不気味に冷笑する黒服の男。 命の十字路で二人は、ある契約を交わす。 肉体と魂を分かつものとは何か? 人を人たらしめているものは何か? 深い苦悩を抱え、主人公は終末の場所へと向かう。そこで、彼は一つの儚き「命」と出逢い、かつて抱いたことのない愛することの切なさを知る。 水嶋ヒロの処女作、哀切かつ峻烈な「命」の物語。
水嶋ヒロ(26)本名の齋藤智裕 初小説「KAGEROU」発行部数が累計100万部 俳優、水嶋ヒロ(26)が、本名の齋藤智裕名義で執筆した初の小説「KAGEROU」の発行部数が累計100万部に達したことが28日、分かった。発行元のポプラ社が同日、発表した。今月15日の発売から、わずか2週間でミリオン達成となった。 同作は、リストラ、借金に苦しみ自殺しようとした40代男が主人公。臓器提供を裏取引する話を通じ、命の尊さを問う−という内容。「第5回ポプラ社小説大賞」を受賞して高い注目を集め、同社に注文や問い合わせが殺到。発売時の発行部数自体が異例ともいえる43万部だったが、その後も増刷を重ねている。 価格は1冊1400円(税別)で、14億円を売り上げた形。賞金2000万円を辞退した水嶋だが、著者印税が10%だとすると、現時点ですでに1億4000万円を手にしたことになる。