ルーキードライバーのニコ・ヒュルケンベルグがポールポジションを獲得したドラマチックな予選を経て、バトンを除くチャンピオンシップを争う4人のドライバーがウィリアムズドライバーの後ろからレースをスタートすることになった。
気温24℃、路面温度50℃と、予選とは打って変わって良く晴れた日曜日のインテルラゴスでは、ほとんどのクルマがオプションタイヤを履いていた。シグナルがブラックアウトし、レースがスタートすると、ターン1でヴェッテルがヒュルケンベルグをオーバーテイクし、ウェーバーもオープニングラップで彼を抜いて、レッドブルが早々に1ー2体勢を築いた。
後方では、10位からスタートしたヴィタリー・ペトロフがターン2でコースオフを喫し、23位まで順位を落とした。ヒスパニアのクリスチャン・クリエンは電気系統のトラブルによりピットレーンからレースをスタートすることになったが、シグナルが青になってもピットを出ることができず、3周目からようやくレースに合流することができた。
レース序盤で、レッドブルの2台は後方にコンマ6秒の差をつけて快走する。2周目のターン4でハミルトンを交わしたアロンソは、7周目でヒュルケンベルグを交わして3位に浮上した。
4番手まで順位を下げたポールシッターのヒュルケンベルグだが、後ろを走るハミルトンからプレッシャーを受けつつもポジションをキープし続け、ハミルトンは彼が15周目にピットに入るまでオーバーテイクすることができなかった。
11周目、9番手までポジションを上げたバトンは、真っ先にピットストップを行った。それをきっかけに、他のクルマも次々とピットに入ったが、フェリペ・マッサは一度ピットに入るも翌周に再びピットに入り、大幅に時間をロスしてしまった。
51周目、ヴィタントニオ・リウッツィはクルマのコントロールを失い、ターン2のタイヤバリアに激突してしまった。このクラッシュによりクルマの破片がコース上に散乱したため、セーフティーカーが入ることになった。その際に数台のクルマがピットストップを行い、ハミルトンはグリップ不足に悩まされたプライムからオプションタイヤに交換した。
55周目にレースは再開されたが、順位に大きな変動はなく、レースをリードし続けたヴェッテルはそのままトップチェッカーを受けることになった。その後ろでは、アロンソとハミルトンがレース終盤にかけてウェーバーとの差を縮めていったが、最終的に順位が入れ替わることはなかった。バトンは5位でフィニッシュし、ミハエル・シューマッハは、2ストップのロズベルグに抜かれて7位にポジションを落とした。
8位にはヒュルケンベルグが入り、ロベルト・クビサが9位、49周目までピットに入らなかった小林可夢偉が10位となった。
地元のブラジル人ドライバーたちにとっては厳しいレースとなり、バリチェロは14位、マッサは15位でレースを終えた。バリチェロは34周目にアルグエルスアリと接触し、タイヤをパンクさせてしまった。ブルーノ・セナは初めてのホームレースを21位でフィニッシュし、ルーカス・ディ・グラッシは44周目にリタイアとなった。
ブラジルGP決勝の最終結果は、1位ヴェッテル、2位ウェーバー、3位アロンソ、4位ハミルトン、5位バトン、6位ロズベルグ、7位シューマッハ、8位ヒュルケンベルグ、9位クビサ、10位小林、11位アルグエルスアリ、12位スーティル、13位ブエミ、14位バリチェロ、15位マッサ、16位ペトロフ、17位ハイドフェルド、18位コヴァライネン、19位トゥルーリ、20位グロック、21位セナ、22位クリエンとなり、ディ・グラッシとリウッツィはリタイアとなった。
マクラーレン 最終戦での奇跡を祈る
マクラーレンのルイス・ハミルトンとジェンソン・バトンはブラジルGPを4位と5位で終え、バトンはドライバーズチャンピオンシップ争いから脱落した。ハミルトンはトップのフェルナンド・アロンソと24ポイント差で最終戦に望みをつなげ、タイトルを獲得するために奇跡が起きることを祈っている。
ブラジルGPで3度目の戴冠の可能性があったフェルナンド・アロンソだが、レッドブルの1ー2フィニッシュによってタイトル争いは最終戦にもちこされた。3位でレースを終えたアロンソは、ドライバーズチャンピオンシップのトップに踏みとどまり、2位のマーク・ウェーバーに8ポイント差をつけてアブダビでのレースに挑む。
ドライバーズチャンピオンシップは、アロンソが246pでトップをキープし、ウェーバーが238p、ヴェッテルが231p、ハミルトンが222pとなった。バトンは199pでタイトル争いから脱落した。
コンストラクターズチャンピオンは、レッドブルが469pで今シーズンのコンストラクターズチャンピオンとなった。マクラーレンが421pで2位、フェラーリが389pで3位となっている。
レッドブル チーム創設6年目でコンストラクターズ制覇
ドライバーズチャンピオンシップは最終戦に持ち越されたが、コンストラクターズチャンピオンシップはブラジルGPで決着を迎えた。セバスチャン・ヴェッテルとマーク・ウェーバーの1ー2フィニッシュにより、レッドブルレーシングはチーム創設6年目で初のタイトルを獲得し、ドライバーズタイトルとの2冠達成を目指して最終戦に挑むことになった。
セバスチャン・ヴェッテル(決勝1位)
「2010年のコンストラクターズチャンピオンは僕たちだ!この功績は、ここにいるみんなやミルトンキーンズのみんなのおかげだよ。僕たちは1つのチームだから、彼らは今日成し遂げたことを心から誇りに思うことができるんだ。僕にとっても、今年ここまでこのクルマをドライブできたことは嬉しいよ。浮き沈みや厳しい時期があったり、上手くいく時もあれば、そうでない時もあったけれど、クルマをもっと速くしようと常に限界に身を置き、それが良かったんだと思う。あまり効果が出ない時でも、アップデートのために常にプッシュしてきた。チーム全員が重要な役割を果たしているから、彼らを誇りに思うし、今日は自分自身についてもそう思う。トラブルもなく、レースをコントロールし、楽なレースができた。次のレースまで忙しい日々が続くけれど、ミルトンキーンズやブラジルのみんなは今晩何杯か飲むと思うよ」
マーク・ウェーバー(決勝2位)
「今日はミルトンキーンズのみんな、レッドブル、サプライヤーなどなど、チームにとってセンセーショナルな1日だよ。僕たちはコンストラクターズタイトルを勝ち取り、韓国での厳しい週末の後で圧倒的な1ー2フィニッシュを飾ったんだ。このために、いかに多くの人たちがいかに努力をしてきたか。エイドリアン・ニューエイ、クリスチャン・ホーナー、ピーター・プロドワモウ、ロブ・マーシャル、レース工場や部門のみんな…。リストはまだまだ続くけれど、とってこれが彼らの名誉であることは全員がわかっているんだ。今年は全員がライトハイトシステムやフレキシブルウイングなどに全力を投じ、そして最終的にタイトルを勝ち取った。本当に大きな功績だよ。ドライバーズチャンピオンシップを見ると、今日はフェルナンドに対して数ポイント差を縮めることができたから、全てはアブダビ次第となった。僕たちはレースをしているのであり、そのために働くことがチームの哲学なんだ。セブは今日の勝利にふさわしい。今日は接戦だった。アブダビで、僕たちは2人ともフェルナンドよりも前でフィニッシュする必要があるから、どうなるか見てみるよ」
race results - 2010 Brazilian Formula 1 Grand Prix
Pos. ドライバー コンストラクターズ Time
1. セバスチャン・ヴェッテル レッドブル 1:33:11.803
2. マーク・ウェーバー レッドブル +4.243
3. フェルナンド・アロンソ フェラーリ +6.807
4. ルイス・ハミルトン マクラーレン +14.634
5. ジェンソン・バトン マクラーレン +15.593
6. ニコ・ロズベルグ メルセデスGP +35.320
7. ミハエル・シューマッハ メルセデスGP +43.456
8. ニコ・ヒュルケンベルグ ウィリアムズ +1 Lap
9. ロベルト・クビサ ルノー +1 Lap
10. 小林可夢偉 ザウバー +1 Lap
11. ハイメ・アルグエルスアリ トロロッソ +1 Lap
12. エイドリアン・スーティル フォースインディア +1 Lap
13. セバスチャン・ブエミ トロロッソ +1 Lap
14. ルーベンス・バリチェロ ウィリアムズ +1 Lap
15. フェリペ・マッサ フェラーリ +1 Lap
16. ヴィタリー・ペトロフ ルノー +1 Lap
17. ニック・ハイドフェルド ザウバー +2 Laps
18. ヘイッキ・コヴァライネン ロータス +2 Laps
19. ヤルノ・トゥルーリ ロータス +2 Laps
20. ティモ・グロック ヴァージン +2 Laps
21. ブルーノ・セナ HRT +2 Laps
22. クリスチャン・クリエン HRT +6 Laps
23. ルーカス・ディ・グラッシ ヴァージン +9 Laps
Did not finish
24. ヴィタントニオ・リウッツィ フォースインディア +22 Laps