2009年受賞のガスマスクとして使えるブラジャー大反響
2009年「Ig Nobel Prize(イグ・ノーベル賞)」に輝いた「Emergency Bra(エマージェンシー・ブラ)」の商品化が決定した。これは、緊急時に女性用下着であるブラジャーをマスクとして使用するというユニークな一品で、日本からも公式ウェブサイトで購入することができる。発明者はElena Bodnar(エレナ・バドナー)さん。
価格は約30ドル(約2500円)。「(販売を)始めたばかりだけど、すごい人気よ」と医師。現在は赤のみだが、2カ月後には黒と白も加わる予定。非常時に役立つ男性用シャツも開発中という。
2010年イグ・ノーベル賞 日本人研究者が「交通計画賞」受賞
ノーベル賞のパロディ版「イグ・ノーベル賞」を、公立はこだて未来大の中垣教授らが「粘菌鉄道網」に関する研究で受賞。ほかにも、リモコンヘリでクジラの鼻水を収集する方法などユニークな研究が受賞している。
「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に与えられるイグ・ノーベル賞の授賞式が9月30日に行われた。日本からは公立はこだて未来大の中垣俊之教授らが「交通計画賞」を受賞した。
中垣氏らは、粘菌が最適な鉄道網を構築できると発見した。同氏は2008年にも、粘菌に迷路の最短経路を探し出す能力があることを発見してイグ・ノーベル賞を受賞している。
このほか2010年のイグ・ノーベル賞には、工学賞にリモコンヘリでクジラの鼻水を収集する方法、医学賞にぜんそくの治療にジェットコースターを利用できるという発見が選ばれている。「靴の上から靴下をはくと、凍った道で滑りにくくなる」という研究が物理学賞を、「従業員をランダムに昇進させる方が組織の効率が上がる」と数学的に実証した科学者が経営学賞を受賞。ほかにもユニークな研究が同賞を受賞している。
また原油流出事故を起こしたBPが、「水と油は混じらない」という定説は誤りだと証明したとして化学賞を、Goldman Sachs、AIG、Lehman Brothersなど金融系企業の幹部らが「新たな投資法――世界経済、あるいはその一部にとって利得を最大にしリスクを最小にする方法を作り出し、推進した」として経済学賞を受賞した。
・工学賞:遠隔操作型のヘリコプターでクジラの「鼻水」を収集する「自由範囲を行動するクジラの疫病監視のための新型非侵襲性ツールおよびクジラ保護プログラムにおける妥当性」という「それっぽい」名前のシステムの開発と研究を行った英国とメキシコの研究チーム。
・医学賞:ぜんそくの症状の改善にジェットコースターに乗ることが有効であることを発見したオランダの科学者2人。
・交通計画賞:単細胞生物の粘菌を利用して最適な鉄道網を設計することを考案した日本の研究チーム。
・物理学賞:凍結した道路を歩く際に、靴下を「靴の上」に履くと滑りにくいことを発見したニュージーランドのオタゴ大学(University of Otago)の研究チーム。
・平和賞:汗をかくことで痛みが和らぐことを証明した英キール大学(Keele University)の研究者3人のチーム。
・公衆衛生賞:科学者のあごひげに微生物がいることを実証した米メリーランド(Maryland)州の労働安全衛生機関の研究者ら。
・経済学賞:「世界経済の金融利益を最大化させ、金融リスクを最小化させる新たな投資方法を開発した」功績で米金融大手ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(American International Group、AIG)、米証券大手リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)ら米金融危機の主要企業の経営陣が受賞。
・化学賞:水と油は混じらないという通説が誤りであることを実証したとして、ことし米メキシコ湾(Gulf of Mexico)で大規模な原油流出事故を起こした英大手石油会社BPが受賞。
・経営学賞:従業員をランダムに昇進させれば企業がより効率的に機能することを数学的に証明したイタリアのカターニア大(University of Catania)の研究者ら。
・生物学賞:オオコウモリがオーラルセックスを行っていることを明らかにした中国と英国の研究チーム。
■「笑わせて、それから考えさせる」アイデア
イグ・ノーベル賞は、まじめな研究に与えられる世界的に有名なノーベル賞のパロディーとしてハーバード大学が実施する賞で、主催者は「人々を笑わせて、それから人々を考えさせるような」企画だとしている。
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The Ig Nobel Prizes公式サイト