スマートフォンにレピュテーション技術を。シマンテックのキャリア戦略

　
　スマートフォン向けアプリケーションは、ストアで販売された時点で品質の審査をパスしているが、しかし、Googleのように世に出るアプリに対して、提供企業としてそのアプリに責任を追うサイニングしていないケースも多々ある。
　
しかもこの製品のターゲットがエンドユーザーではなく、モバイルキャリアを第1の顧客として想定していて、ユーザーのスマートフォン端末を個別に保護する前段階で、キャリアの無線ネットワークから問題を排除することを目的としている見事な戦略です。
　
基本的には、ストアで販売された時点で、ある程度の信頼性はあるといえるが、それでもレピュテーション技術が必要な理由としては、最初のアプリでは正常であっても、その後普及した段階で、突然ソースコードが改ざんされて危険性なアプリに生まれ変わる危険性もあり、永続的な保証がある訳ではない。そうした場合に、 Symantec MRSのような仕組みが必須となるとしている。
　
Symantec MRSが開発中のレピュテーション技術では、携帯電話キャリア専用のポータルを用意して、GoogleAPPの安全性の評価が何点以下だったらインストールを禁止するか、レピュテーションスコアのしきい値を、キャリアごとに自由に設定できるようになっている。そのほか、SMSのスパム対策機能/ファイアウォール、リモートからの端末データ削除機能、ホワイトリスト/ブラックリスト機能も備える。
　
Symantec MRSの技術として面白いのは、このブラックリストにはリアルタイム性がある点で。例えば、あるアプリケーションをブラックリストに追加すると、その瞬間にスマートフォンでのインストールが禁止されるだけでなく、すでにインストール済みのものに関しても、動作をストップさせて使えなくする。アプリケーションの潜在的なリスクが、広く普及した後に浮き彫りになっても、キャリア側で一括対処できる。
　
スマートフォン向けレピュテーション技術の製品化に関しては、「PC向けのレピュテーションの場合、数年前から選択的にお客さまから情報をいただき、実用化したのが2年前。モバイルでも同様に情報を集める必要がある」と説明していることからも、製品化には更に時間が必要となるのでしょう。
　
現在は製品化の要件定義フェーズとして、「ネットワークのパフォーマンス低下を最小限にするなど、厳しいキャリアの要望を反映している。エンドユーザーのエクスペリエンスを高めるため、端末の通信速度低下やバッテリ消耗を抑える仕組みなども盛り込んでいる。また、企業での利用も想定し、柔軟なポリシー管理機能も実装していく予定だ」としている。