映画「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」が公開中だが、同作に登場する天才物理学者・上田次郎「天才の私から君へ」のブログを開設。上田教授がメッセージを送っている。
「日本科学技術大学教授の上田次郎です。私は今日、こうしてブログというものを始めることになった」という書き出しで始まるブログ、「周囲からの『ぜひ、どうしても』という要望に、私自身が抗しきれなくなったからに他ならない」とブログを始めた理由を述べている。 ただ、そういった周囲の期待も「ノーベル物理学賞を受賞することになる私に、周囲が並々ならぬ期待を寄せてしまうのは無理もない」と理解を示し、「ただ、やるとなればベストを尽くすのが私の性分である。ブログとは、日々雑多な出来事を綴るのが基本と聞くが、私の場合、プライベートな近況はもとより、持てる知識や教養を惜しげも無くつぶさに書き記していくつもりだ」とその決意のほどを綴っている。 そして「このブログが読者諸君にとって、私のような一流の知識人になるための礎となれば幸いである」と締めくくっている。これから知識人としてのどんな教養を披露してくれるのか、ぜひ“ベストを尽くして”ほしいものだ。ドラマ同様、無根拠な“上から目線”は健在で、文章が阿部寛の声で聞こえてくるなら、立派な“TRICK”通だ。 ■祝! 十周年トリック大感謝祭 TRICK 上田次郎
天才の憂鬱 今年10月、受賞者が発表され、命日の12月10日にはストックホルムで授賞式が行われる。 言うまでもなくノーベル賞のことである。 今回、私がノーベル物理学賞を受賞することは、間違いないので(遅すぎるとの話もある程だ)、12月10日のスケジュールは今から空けてあるし、英語やフランス語でのスピーチも完璧に仕上げてある。 ただ、この歴史的な日を半年後に控えた最近、私はとてつもなく重大な見落としに気づいてしまった。天才であるが故の苦悩と言い換えてもいい。 私は、今年4月、多くのファンからの要望を受けて、『どんと来い、超常現象』の文庫版『どんと来い、超常現象2010』という世界的にも類を見ない最高の学術書を出版してしまった。 つまり私は、文学としても非常に優れているこの本を、改めて世に送り出してしまったことにより、ノーベル物理学賞とは別に、ノーベル文学賞も受賞してしまうのではないかという、懸念にさらされることになってしまったのだ。 物理学賞と文学賞の同時受賞など前例がないものの、私にはその才能があったのだから仕方ない。果たして、選考委員はこの異例の事態(希代の天才の出現)にどう対処するのだろうか? いずれにせよ私自身、同時受賞した際の、心の準備だけはしておくことにした。 天才であるが故の憂鬱。 飛び抜けて人より優れているというのは、時に深い苦悩をもたらすものなのである。
今回、私がノーベル物理学賞を受賞することは、間違いないので(遅すぎるとの話もある程だ)、12月10日のスケジュールは今から空けてあるし、英語やフランス語でのスピーチも完璧に仕上げてある。
ただ、この歴史的な日を半年後に控えた最近、私はとてつもなく重大な見落としに気づいてしまった。天才であるが故の苦悩と言い換えてもいい。
私は、今年4月、多くのファンからの要望を受けて、『どんと来い、超常現象』の文庫版『どんと来い、超常現象2010』という世界的にも類を見ない最高の学術書を出版してしまった。
つまり私は、文学としても非常に優れているこの本を、改めて世に送り出してしまったことにより、ノーベル物理学賞とは別に、ノーベル文学賞も受賞してしまうのではないかという、懸念にさらされることになってしまったのだ。
物理学賞と文学賞の同時受賞など前例がないものの、私にはその才能があったのだから仕方ない。果たして、選考委員はこの異例の事態(希代の天才の出現)にどう対処するのだろうか?
いずれにせよ私自身、同時受賞した際の、心の準備だけはしておくことにした。
天才であるが故の憂鬱。
飛び抜けて人より優れているというのは、時に深い苦悩をもたらすものなのである。