シューマッハ選手は1991年にF1にデビューし、1996年にフェラーリに移籍、2006年に引退した。通算優勝回数91回、ドライバーズチャンピオン5回など、F1における歴代1位記録を多数保持しており、「皇帝」の異名をとる。引退後もフェラーリのアドバイザーを務めていた。
シューマッハ選手がドライブするのは8月23日のヨーロッパGPから。3年ぶりの復帰とあって、数日間の特別なトレーニングプログラムを受ける予定。
シューマッハ選手は同日、自らのWebサイトで「今日の午後、ステファノ・ドメニカリ(フェラーリF1チーム代表)とルカ・モンテゼモロ(フェラーリ会長)に会い、私がフェリペの代わりになる準備をすることを決定した。長い間、私のF1の章は完全に終わっていたが、チームへの忠誠心から、その不運な状況を無視することもできない。しかしまた、競技者としては、この挑戦を楽しみにもしている」と述べ、「最も重要なことは、フェリペに関する全てのニュースがポジティブなことだよ」と、ミハエルは水曜日の午後に語った。
「今日の午後にステファノ・ドメニカリとルカ・ディ・モンテツェモーロとミーティングを行い、フェリペの代わりとして僕が準備することを決めたんだ。僕にとってのF1チャプターは長い間完全に閉じられているのは確かだけど、チームに対する忠誠心からこの不運な状況を無視できないのも確かなんだ。でも、参加者としてこの挑戦を非常に楽しみにしているよ」
2006年を最後に現役を退き、今回予想外の現役復帰を果たすことになるミハエルは、マッサが復帰するまでの間、自身の後任としてフェラーリに加入したキミ・ライコネンとともにレースをすることになる。彼は今年2月にバイク事故で首を負傷しているが、来月23日のヨーロッパGPに向けてチームとともにトレーニングプログラムを行う予定だ。マッサの復帰については未定だが、彼は水曜日に病院内を歩行するなど目覚ましい回復を見せている。
エディジョーダン 「ミハエルは復帰の準備が整っている」
元F1チームオーナーのエディ・ジョーダンは、フェリペ・マッサの代役として現役復帰することになったミハエル・シューマッハについてレースに戻る準備が十分に整っていると語った。
「ミハエル・シューマッハは非常に真が強い」と、ジョーダンはBBCに語った。「彼は20歳であろうと40歳であろうと、ほとんど変わらないと思う。反応は1000分の1秒遅れるかもしれないが、以前の彼は他人よりも1000分の1秒速かったから、同じ状態になるだけだと思うよ」
「多くの若手ドライバーはトップレベルを肩越しに見ることになるのだから、彼らにとって非常に大きな関心ごとになるだろうね」
ミハエルがF1復帰を検討?
ミハエル・シューマッハに近い情報筋によると、彼は入院中のフェリペ・マッサの代役としてF1に復帰する可能性があるということだ。2006年を最後に現役から引退したミハエルだが、マッサの入院以来F1復帰の噂が流れている。
マッサの事故によりフェラーリのレースシートに予定外の空きが出来てしまったが、直後からミハエルの現役復帰の噂が流れている。彼のマネージャーを務めるウィリー・ウェバーは月曜日にこの噂を否定したが、広報のサビーネ・ケームはミハエルが現役復帰を検討する可能性があると語った。
「フェラーリはあらゆることを考えるでしょうね」と、ケームはBBCに語った。「もし彼らがミハエルにアプローチをしたら彼は考えると思うけれど、彼らの話し合いにミハエルが参加する理由はないわ。彼は自分の人生を楽しんでいるし全くさみしいとも思っていないから、私は常に彼が復帰に興味を持っていないと言ってきたけれど、今は状況がだいぶ変わった。これは仮説だし、ミハエルは足を踏み入れたくないと思っているけれどね」
ミハエルは2006年以来F1レースから遠ざかっており、現在のクルマに慣れることができるかどうか、また彼のフィジカルコンディションがレースに適しているかが疑問視されている。「ミハエルは2月にバイク事故を起こし、その時に首に問題を抱えた。彼の首がF1レースができるほど十分な状態かどうかを話すことはできないわ」と、ケームは続けている。
ハミルトン 「ミハエルとのレースが楽しみ」
ルイス・ハミルトンは、ミハエル・シューマッハとのレースを楽しみにしている。ハミルトンはミハエルが引退した翌年にF1デビューをしたため、彼とレースをするのは次戦のヨーロッパGPが初めてとなる。
「ミハエル・シューマッハのF1復帰が現実になったらとても楽しみだけど、今もフェリペや家族のことを心配しているよ」と、ハミルトンは語った。「ミハエルはスポーツ界の最も偉大なコンペティターだし、彼自身が伝説なんだ。だから、彼と争うことができたら最高だよ」
「彼がヴァレンシアでコックピットに戻ってくることを世界中が見守っているんだ。グランプリ復帰に向けて彼がいかに準備を整えているかということに興味があるだけでなく、彼と初めてレースをすることが光栄で名誉だよ。彼の調子がいいことを期待しているよ」
ミハエルの競争力の高さを予想するバトン
ジェンソン・バトンは、ヨーロッパGPで現役復帰するミハエル・シューマッハについてレースに対する十分な準備が整っていると考えている。彼はミハエルの競争力が今も高いと予想している。
「彼にとっては厳しい状況だけど、彼が挑戦してくれることが嬉しいし、彼は本当に勇敢だよ」と、バトンは語った。「彼はまだ若いよ。40歳は年じゃないし、まだコンペティティブだと思うんだ。反応も速いと思うし、体調も十分だと確信しているよ」
「彼は冬にテストをしていて、その時は速かった。クルマにのって最初の走行からコンペティティブだったよ。彼はかなり懸命にトレーニングを行っていて体調は十分に整っていると思うから、あとはあの首で十分な作業ができるかどうかだけだね。それにヴァレンシアは彼にとって知らないサーキットだよ」
ミハエル 久々のテストに満足
ヨーロッパGPでF1復帰を果たすことになったミハエル・シューマッハは、金曜日にムジェロサーキットでF2007を走らせた。彼にとっては久々のF1マシンでの走行だったが、満足のいく走りができたようだ。
今シーズンのテスト禁止ルールによりミハエルは今年仕様のクルマをテストできないため、2007年のタイトル獲得マシンであるF2007をドライブした。このクルマはフェラーリチーム自体ではなくチームのワークショップであるF1クリエンティで開発されたものであるため、今回の走行はテストとみなされずルールの範囲内に収まった。
スリックタイヤを履いたF2007を走らせたミハエルのベストラップは、フェリペ・マッサが今年の冬にテストした時のタイムをコンマ2秒上回ったが、クルマの空力があまりにも違いすぎるため比較は困難だ。
「2007年のクルマだから間違いなく参考にならないけれど、それでもF1マシンでトラックに戻ることができて最高だよ」と、ミハエルは語った。「何周か走った後にコンスタントなラップタイムで走ることができたから、パフォーマンスには満足しているよ。この後は、数日後に体や筋肉がどう反応するか見てみないといけないね」
フェラーリ ミハエルのF1テストを要請
フェラーリは、ミハエル・シューマッハが今シーズン用のF60マシンでテストを行えるように、FIAと全チームに対してテスト許可を求めた。今年はシーズン中のテストが禁止されており、ミハエルは2007年モデルのクルマを金曜日に走らせたが、チームは最新モデルのクルマでテストが行えることを期待している。
今シーズンはレギュレーションによりストレートラインでの空力テストを除きシーズン中に通常のテストを行うことが禁止されているが、フェラーリはスリックタイヤを履いた今シーズン用のクルマを走らせたことがないミハエルにテストの機会を与えるように求めている。
フェラーリのマッシモ・リヴォラが全チームとFIAに送った手紙の内容は以下の通りだ。
「ご存知のとおり、ミハエル・シューマッハは、フェリペ・マッサが再びチャンピオンシップに参戦できるようになるまで彼の代役となる可能性を評価することを受け入れている。しかし、ミハエルは2007年に我々と共に行った一定のテストを除き、2006年以来F1レースやその他の自動車レースから遠ざかっている。
彼の復帰の可能性を適切に評価するために、2009年のチャンピオンシップに参戦する全てのチームやFIAに対して、2009スポーティングレギュレーション第22条1項とテスト合意に反して、ヴァレンシアGPの前に公式テストを1日行うことを要求する。我々は、貴殿が前述に合意してくれることを期待している」