このルマン24時間レースは、フランス人にとって特別なイベントなのです。ル・マン24時間レースは、自転車のツール・ド・フランス、テニストーナメントのロラン・ガロスと並びフランスの3大スポーツイベントに数えられますからね。また、カートのインディ500、F1のモナコ・グランプリと並ぶ、世界の3大自動車レースのひとつでもあるわけです。
プジョー&サラザンが3年連続ポールポジションを獲得!
公式予選の第1セッションでアラン・マクニッシュがトップタイムをマークしたアウディ・スポーツだが、続く第2セッションでは同じマシンを今度はトム・クリステンセンがドライブ。しかし、No.1アウディR15はマクニッシュのタイムを更新できぬままセッション終了となった。No.2アウディ・スポーツ・ノースアメリカのアウディR15を駆るマルコ・ヴェルナーもマクニッシュのタイム更新を狙って果敢にアタックしたが、3分25秒780で6番手グリッドを得るに留まった。この結果、No.8プジョー908 HDi FAPで3分22秒888を叩き出したプジョー・スポールのステファン・サラザンが、過去にもジャッキー・イクス(1981-1982-1983年)以外に成し遂げた者のいない、ル・マン24時間3年連続ポールポジションという偉業を達成することになった。
8時30分、ウォームアップ走行が開始された。セッション開始時の天候は晴れ、コンディションはドライ。 サルト・サーキット上空には青空が広がっているが、コース上ではスピン、コースアウトするマシンがしばしば見られた。
ウォームアップ走行開始から8分後の8時43分、トム・クリステンセンがドライブするNo.1アウディR15 TDIがダンロップ・シケインでコースを外れてグラベルベッドを通過。No.1アウディアはピットに向かい、8時50分に再び走行を開始した。
9時をまわったところで、マルコ・ヴェルナーがステアリングを握るNo.2アウディR15 TDIがフォード・シケインを抜けたところでスピン。バランスを崩したNo.81フェラーリを避けようとしてのスピンだった。緑石でボディワークの一部を破損したNo.2アウディR15はピットに直行。作業の後、No.2アウディはコースへと復帰した。No.81フェラーリはそのまま走り続けている。
セッション終了数分前に、No.16ペスカロロ・ジャッド01を駆るクリストフ・タンソウがインディアナポリスでコントロールを失い、グラベルにストップ。マシンにダメージはなく、タンソウはコースに戻り、ピットインした。
45分間のウォームアップ走行で上位を占めたのはチーム・プジョー・トタルがエントリーしている3台のプジョー908 HDi FAPで、トップ3を独占した。最速ラップを記録したのはNo.7プジョーのフランク・モンタニイで、3分26秒457。アレクサンドル・ブルツの No.9プジョーとペドロ・ラミーのNo.7プジョーがこれに続いた。
一方のアウディ勢はセッション開始早々から様々な不運に襲われたが、No.3アウディR15 TDIも煙を上げてピットを後にするシーンが見られた。
LMP2クラスでは、ポールセンがドライブするNo.31ポルシェRSスパイダーが3分41秒670で1位。NAVI Team GohのNo.5ポルシェRSスパイダーがこれに続いた。
LM GT1クラスはワークス・コルベット勢が圧倒。アントニオ・ガルシアのNo.63コルベットC.6Rが3分55秒091をマークして1位。マルセル・ファスラーのNo.64コルベットが2位で続いた。
LM GT2クラスではポルシェとフェラーリが僅差で争うが、チーム・フェルベルメイヤー・プロトンのNo.77ポルシェ911 GT3 RSRが4分06秒608でトップ。チームAFコルセのNo.78フェラーリF430 GTCが2位に続いた。
JLOCのNo.68ランボルギーニ・ムルシエラゴR-GTは、足回りのトラブルが解決せず、1周回したのみでピットガレージへ。タイムは未計測のままセッションを終えた。
プジョーNO・9が優勝/ルマン
第77回ルマン24時間レースは、最後の最後まで予断を許さない展開となった。だが、セーフティーカーランを終えてチェッカー40分前にレースが再開すると、NO・9とNO・8がレースをリード。改めてレースがプジョーの牙城で占められていたことを認識した瞬間だった。
チームメートを1周近く離したトップのNO・9プジョー(ジェネ、ヴルツ、ブラバム組)、そして宿敵アウディの1台を6周引き離した2位のNO・8プジョー(サラザン、モンタニー、ブルデー組)は、まさに背水の陣。908HDi参戦3年目にしてつかんだ大きな勝利だったといえる。
3位のNO・1アウディ(カペロ、クリステンセン、マクニッシュ組)は、決勝になっても適切な自動車のバランスが見つからず、終始調整を続けての走行を強いられた。しかしながら、今年新たに投入したR15の熟成が進めば、また新たな戦いを展開していくはずだ。
なお、参戦した日本人ドライバーは全員がリタイアに終わり、Fニッポン、スーパーGTに参戦中のA・ロッテラーだけが完走。NO・14コレスを7番手まで導いた。
▽決勝結果(トップ6、左から順位、車番、チーム名、マシン、ドライバー、周回数)1、NO・9 チームプジョートタル 908HDi−FAP(ジェネ、ヴルツ、ブラバム組)382周 2、NO・8 チームプジョートタル 908HDi−FAP(サラザン、モンタニー、ブルデー組)381周 3、NO・1 アウディスポーツチームヨースト R15TDI(カペロ、クリステンセン、マクニッシュ組)376周 4、NO・007 AMRイースタンヨーロッパ ローラアストンマーチン(シャロウズ、エンゲ、ミュッケ組)373周 5、NO・11 チームオレカ オレカAIM(パニス、ラピエル、アヤリ組)370周 6、NO・7 チームプジョートタル 908HDi−FAP(ミナシアン、ラミー、クリエン組)369周
<14日午後2時(日本時間14日午後9時)開始23時間>
午後1時45分過ぎ、第1シケインでNO・5ナビチームゴウの荒聖治がクラッシュ。残りわずか1時間15分でのアクシデントにチームピットが騒然となった。
ル・マン特設コースにおける最長ストレートに設けられた2つのシケイン。その1つ目を前にブレーキングする荒の自動車がすでにストレート上でバランスを失い、ガードレールに接触。その勢いのままタイヤウオール製のシケインに再びぶつかり、止まった。ほどなくして荒は自力でクルマから降り、無事が確認された。
すると今度はピットレーン入口で野田英樹が乗るNO・39ローラマツダ(野田英樹、ポータレス、マーシュ組)がストップし、自動車から出火。すぐさま消火活動が行われ大事には至らなかったが、このままリタイアすることになった。
これらのアクシデントによってレースは6回目のセーフティカーが導入。チェッカーまで残り40分で再びレースが再開している。なお、トップ3台に変動はない。
<14日午前11時(日本時間14日午後6時)開始20時間>
決勝開始から20時間が経ったル・マン24時間レース。安定したトップタイムを刻むのは、NO・9プジョー(ジェネ、ヴルツ、ブラバム組)。青空からにわかに薄曇に変わったサーキットだが、雨にはならずそのまま走行が続いている。
終盤を迎えたル・マン。上位陣に大きな変動も見られず、レース序盤のドタバタ劇がうそのような静かな展開に終始。NO・9とNO・8がワン・ツー体制を築くも、2台の差は1分50秒弱。さらに3位のNO・1アウディ(カペロ、クリステンセン、マクニッシュ組)とは2周違いと、それぞれが“ひとり旅 ”になっている。
一方、NO・5ナビチームゴウ(荒、国本、マーセン組)は、先のアクシデントによるロスタイムを埋めていきたいところだが、クラストップのNO・31チームエセックス(エルガード、コラール、ポールセン組)がそつのない走りでトップを堅持。NO・5は現在総合12位、クラス2位を走行中だ。
<14日午前8時(日本時間14日午後3時)開始17時間>
午前5時を過ぎた頃から東の空が白みはじめ、ル・マンに再び朝が巡ってきた。レースを引っ張るのは依然としてNO・9プジョー(ジェネ、ヴルツ、ブラバム組)。
2位には約1分30秒差でチームメートのNO・8(サラザン、モンタニー、ブルデー組)がトップのタイムを上回る速さで周回を重ねている。3番手も変わらずNO・1アウディ(カペロ、クリステンセン、マクニッシュ組)。1周の差がついた上に、ピット作業にも時間をとられ、思うように差を詰めることができていない。日本で活躍するトレルイエがドライブしていたNO・17プジョー(ブイヨン、パジェノー、トレルイエ組)はリタイアしたが、代わって同じくFニッポンやスーパーGTで活躍中のアンドレ・ロッテラーが乗るNO・14コレス(カーティケヤン、ロッテラー、ツォルスマン組)が8位まで浮上。なんとここは、レース直前にカーティケヤンが肩を脱臼するというけがに見舞われたため、ロッテラーとツォルスマンの2人で奮闘中とのこと。
一方、NO・5ナビチームゴウ(荒、国本、マーセン組)は、午前5時過ぎにルーキーの国本がドライブ中のアクシデントにより、例外のピットインを行うことに。時間を要する作業が響き、クラス2位ながら、トップとの差を広げることとなった。
<14日午前5時(日本時間14日正午)開始14時間>
長い夜を迎えたルマン24時間。しばしの間、定期的なピットワークを繰り返し、周回を重ねていた各車だったが、午前4時過ぎに1台の車両が激しくクラッシュ。3度目のセーフティカーランとなった。
アクシデントが起こったのは、日本のレースでもおなじみのB・トレルイエがドライブするNO・17プジョー(ブイヨン、パジェノー、トレルイエ組)。しかもトレルイエ本人がステアリングを握っているときだった。マシントラブルが発生し、コントロールが難しくなった状態でガードレールに接触。クルマは前方部が大破するほどの大きな事故となった。
幸いトレルイエは意識もはっきりしており、けがもない模様。しかしながら、レースはリタイヤに甘んじることとなった。なお、荒れたレース運びの中でNO・9プジョー(ジェネ、ヴルツ、ブラバム組)が依然としてトップをキープ。これに約1分30秒遅れでNO・8プジョー(サラザン、モンタニー、ブルデー組)が続き、3番手にはNO・1アウディ(カペロ、クリステンセン、マクニッシュ組)がつけている。
<14日午前2時(日本時間14日午前9時)開始11時間>
スタートから折り返し地点に近づいてきたルマン24時間。スタートから11時間を過ぎたサーキットでは、トップ争いに変化はないものの、ここまでクラス別のトップ争いをしていたNO・5ナビチームゴウ(荒、国本、マーセン組)にトラブルが発生した。
予定外のピットインで車体下部のパーツを補修するも、すぐさま再びピットに戻ってくるという状態。クラス、総合の順位に変動はなかったが、クラストップ争いをするライバルとの差が4周まで開くこととなった。
午前2時現在、トップには181周を消化したNO・9プジョー(ジェネ、ヴルツ、ブラバム組)。2位はNO・1アウディ(カペロ、クリステンセン、マクニッシュ組)。3位には、NO・8プジョー(サラザン、モンタニー、ブルデー組)が続いている。
<13日午後11時(日本時間14日午前6時)開始8時間>
スタートからまもなく6時間を迎えようとしたNO・8プジョー(サラザン、モンタニー、ブルデー組)に暗雲が立ち込めた。午後8時46分にピットにもどってきた車両がそのまま中に納められ、作業が始まる。わずか10数分前には定期的に行うピットインを済ませているため、トラブルであることには間違いない。
実のところそのトラブルとは左リアタイヤが正しく装着されていなかったという安易なミスではあったが、結果的にはNO・9プジョー(ジェネ、ヴルツ、ブラバム組)がトップを奪取、スタートから死守してきたトップを明け渡すこととなった。
午後11時現在のトップは131周を終えたNO・9.2位にはNO・8が1周遅れで、また3位にはNO・1アウディ(カペロ、クリステンセン、マクニッシュ組)が2位から約30秒遅れで続いている。一方、NO・5ナビチームゴウ(荒、国本、マーセン組)は総合15位と変わらないが、クラスのトップ争いでは逆転を許し、2位となっている。
<13日午後8時(日本時間14日3時)開始5時間>
スタートから5時間が経過したルマン24時間。予選トップから快調な滑り出しを見せるNO・8プジョー(サラザン、モンタニー、ブルデー組)が後続にほぼ1周の差をつけ、トップをキープしている。
レースはこれより先、午後7時40分前にコース上で起こった接触事故処理のため、2回目のセーフティカーが入った。これを機に次々と車両がピットイン。ガソリン補給、タイヤ交換といった通常の作業に加え、ドライバー交代をするチームも見られた。
トップNO・8プジョーに続くのは、NO・9プジョー(ジェネ、ヴルツ、ブラバム組)。3位にはNO・1アウディ(カペロ、クリステンセン、マクニッシュ組)が浮上している。一方、日本チームのNO・5ナビチームゴウ(荒、国本、マーセン組)は、ルマン初挑戦の国本がドライブ中にクラス2位からトップを逆転。現在総合15位につけている。
<13日午後5時(日本時間14日0時)開始2時間>
午後3時にスタートし、2時間が経過したルマン24時間。予選トップのNO・8プジョー(サラザン、モンタニー、ブルデー組)は順調に走行、トップをキープしている。
レースはスタートから40分弱、最初のピット作業でハプニングが発生した。作業を終えて出て行こうとした2位NO・7プジョー(ミナシアン、ラミー、クリエン組)にNO・17プジョー(ブイヨン、パジェノー、トレルイエ組)が追突。リアにダメージを負ったまま走行したため、コースにセーフティカーが入った。
約15分後、レースは再開。2位はNO・9プジョー(ジェネ、 ヴルツ、ブラバム組)3位にNo.2アウディ(ルーア、ロッケンフェラー、ヴェルナー組)が続き、日本チームのNO・5ナビチームゴウ(荒、国本、マーセン組)は16位走行中。一方、ランボルギーニムルシエラゴで参戦するNO・68JLOC(アピチェラ、余郷、山岸組)はマシントラブルで出走を取りやめた。
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