機種選びの際に考慮すべきは、Wi-Fiと3Gの利用するネットワークの問題でしょう。その後で、ストレージ容量について考慮することになる(16GB、32GB、64GB)。さらに問題を複雑にするのは、すでにiPhoneやiPod Touch、あるいは別のスマートフォンを持っている場合ではないでしょうか。
以下、考慮すべき事柄を整理してみました。
3G搭載版かWi-Fi限定版か
多くの人にとって、『iPad』の主な用途は、ソファーに寝そべって映画を観たり音楽を聴いたりゲームをプレイしたりということになるでしょう。またオフィスでメモ代わりやプレゼン資料の持ち運びにも使われるかもしれません。
こうしたメディア消費の多くはオフライン(オンデマンドの必要がない)で行なえるので、Wi-Fi機能がなかったとしてもこれが完全に不満になるということはないでしょう。自宅に無線ネットワーク環境があるとすれば、大半の人はおそらくWi-Fiモデルで十分と言う事になります。
しかし、3G通信搭載モデルを選択する有力な理由もある。仕事で持ち運ぶノートPCを置き換える可能性も十分あります。頻繁に旅行や出張をする人なら、ホテルのロビーやレストランにWi-Fiが設置されていないという場合が、どうしてもある。そういう時に、3G通信が欠けていることをじれったく感じるかもしれない。
また、通勤者は、電車やバスに乗っている間に3G接続があるとありがたいかもしれない。また、3GモデルはGPS機能を搭載しているため(Wi-Fi限定版にはない)、ノートPCよりも魅力的で移動中に利用する(現地で地図を見るには携帯電話よりも大画面)デバイスとして機能面では優れているでしょう。
しかし、3G接続には定額であっても通信費のコストが毎月かかります。またこの通信機能とGPSを装備している3G搭載モデルはどれも、ストレージ容量サイズが等しいWi-Fiモデルと比較して130ドルも高い。
米国で発売が予定されている iPad の3Gオプションは魅力的です。これは月額の長期契約を結ぶ必要がないのです。すべてが月極で、必要な月だけ必要なプランを購入すればよく。月15ドルの場合は250MBまで、月30ドルの場合は無制限のデータを利用でます。最初3Gデータ通信を使う予定で3Gモデルを購入しても、使わない時には契約をしなければいい…旅行など長期間利用しない月は、単に3Gサービスを切ればいいのです。しかしこのようなモデルが日本でも使えるのか?は、キャリアの戦略にも関わるでしょう。特にSoftBankの場合には、初期費用”0”円で販売して、2年間継続して使わない月でも月額基本料を受け取るビジネスモデルが主流ですから。
まとめると、頻繁にモバイル環境で使う人にとっては3Gモデルが良いでしょう。ほとんど家で使う場合はWi-Fi版で十分以上の体験ができるでしょう。
ストレージ容量は…
Wi-Fiモデルを選んだ人はおそらく、映画、音楽、グラフィックス満載のゲームなど、リビングルームでメディアを楽しむのにiPadを利用することが多い人でしょう。それらはすべて、iPadのフラッシュドライブに保存されることになります。ということは、Wi-Fiのみのモデルの場合、ドライブの容量がより重要になると考えます。
Wi-Fiのみのモデルなら、32GBか64GBのモデルをおすすめします。16GBのモデルだと、すぐにいっぱいになってしまうでしょう。
3Gモデルを選んだ場合は、iPadの内蔵ドライブに加えてクラウドによるアクセスの柔軟性が手に入り、どこにいてもデジタルライフを利用できます。そのため、3Gモデルでは内蔵ドライブの重要性は小さくなり。手持ちの音楽や映画がそれほど多くない場合は、16GBモデルに『Dropbox』や『Pandora』[現在は米国外からのアクセスを制限中]などのクラウドアプリを組み合わせれば、それで間に合うのではないだろうか(Wi-Fiモデルでもクラウドは使えるという意見はあるだろうが、インターネットに常時接続できない限りクラウドは不便だろう)。
しかし私は、3Gモデルの場合でも32GBをオススメします。というのは、仕事と遊びの両方に使いたい場合にこれくらいは必要でしょう。64GBの3Gモデルはちょっと高すぎる(839ドル)。仕事中毒でありメディア中毒でもあるという人は、ユーザーのなかでも少数派でしょうが、日本の利用者は大は小を兼ねるとす少しばかりの金額の差ならば大きなストレージを購入する傾向が強いようです。最近の iPhone の売れ筋ランキングも常にiPhone 3GS 32GBが選ばれているようです。
さて問題は、既にiPhoneやiPod Touchを持っている人でしょう。。。
iPhoneやiPod Touchをすでに持っている人にとって、iPadは役に立つのだろうかというのは良い疑問です。iPadは新しい機器なので、誰にとっても、本当に必要かどうかは実はよくわかっていないという状態で、iPhoneを持っていれば、iPadの機能はほとんどカバーされているのです。しかし大画面が欲しい・新しいモノが欲しい人にとっては必修のアイテムなのは間違いありません。
iPhoneを保有する人が、SIMカードを iPad に入れ替えて3G接続できるか?…ということもひとつのポイントでしょう。iPadには専用の microSIMが搭載されると発表されていて、これは既存の iPhone や3G携帯のSIMとは違っているので、あたらに入手する必要があります。
「iPhoneユーザーになるための補助輪」と言われてきた
iPod Touchユーザーにとっては、iPad 3G は良い卒業先になるでしょう。iPhoneのような”0”円に縛られた高額契約はしなくていい点も魅力的です。
まとめ
Wi-Fi限定版
・16GB:500ドル。メディアを多用するカウチポテトにとっては容量が少なすぎる。
・32GB:600ドル。これくらいあれば十分楽しめるだろう。
・64GB:700ドル。iTunesやゲームに中毒している人におすすめ。
3G+Wi-Fi
・16GB:630ドル。モバイルとクラウドを多用する人におすすめ。
・32GB:730ドル。容量も大きく常時接続も可能、という理想的な性能。
・64GB:830ドル。ほとんど眠らない仕事中毒であり、かつ巨大な音楽ライブラリを聞いて映画を大量に見るための自由時間があるという、レアな人向けでしょうか。
海外では、企業向けデータ管理ソフトウェアベンダーである米Sybase社が実施した携帯機器に関する最新調査の結果は、回答者の半数以上が、iPad等のタブレット機を「仕事用としても」使用したいと答えている。この調査では、携帯機器の多くが、個人向けおよびビジネス用アプリケーションの両方のために使用されていることも明らかにしています。
iPad等のタブレット機の用途について尋ねたところ、半数近くは動画を見るために、3分の1はゲームをプレイするためにと答えた。だが、半数を若干超える52.3%は、仕事のためにも使用すると回答している。また、5分の1が、タブレット機を仕事上のプレゼンテーションに使用したいと答えている。 Apple社がiPadに動画出力機能を搭載したことは賢い判断だったといえるでしょう。
iPadは発売時には 先日発表のあった iPhone OS 4.0 でやっと実現するマルチタスキング機能はない、キーボードが使えない問題もあるので、従来のノートパソコンより便利ではないという意見もまだまだあります。しかし、バッテリーが10時間もつことと、軽量であること、Bluetoothキーボードが使えることで、モバイルワークにも適切な可能性はあるかもしれない。
Apple社は、『iWork』のiPadバージョンを作成しているし、事務用ソフトを作るサードパーティーのメーカーの一部も、iPad用の製品を開発している。