さくら咲く！それは突然の知らせだった。。。

　
　それは普通に会社に向かおうとした朝9時過ぎに、自宅の近くのバス停でバスを待っているときだった。新潟の義父から今朝5時に入院したと連絡が携帯に入った。取り急ぎ新潟に向かうと伝え、自宅に戻ることにして、歩きながら会社に休みを伝えるメールを入れる。
　
　そして、実家の両親にもこれから新潟へ向かうと伝える。
　
　荷物をまとて出かける準備をする。車で行こうか？ネットで雪の情報を見ると、微妙な感じで降雪が一部あった。いま無理をして事故を起こすようなことだけはできない・・・電車の時間を携帯で調べ、また先ほどのバス停に戻り、電車で新潟へ向かった。
　

　
　電車の中では、今日出社したら指示しようと思っていたことをいくつか連絡をする。そして、後は任せて、新潟へ向かう電車で時を過ごすしかない。。。途中、トンネルの多い場所で再び義父から電話が入る。。。もしかして！？と思ったが、すぐに電車のデッキでリダイアルをすると、駅まで迎えに行くと言う到着時刻の確認の電話だった。
　
　実家の両親からも、これから新潟へ向かうと連絡があり、病院の名前と何時に着くかまた連絡をくれと伝える。
　
　着いた駅で乗換を待つ時間があと30分以上もある。。。ここで待っていても仕方がない、そう思ってその駅からタクシーで病院へ向かうことにする。幸いタクシーの運転手さんも病院を知っているようで、安心した。毎年この時期ならば多くの雪があるはずの場所だが、今年はどこにも雪がない、異常気象なのだろうか。そんな会話をタクシーでしているうちに、病院に到着する。
　

　
　病院に入るとそのまま処置室に通されて、妻の顔を見る。私を見ると少し元気そうな顔をしているが、腹部の痛みが辛いようで、体全体に力がないのか、声も枯れて辛そうなのが判る。しばらく話をするが、時折痛みに顔を埋める。看護婦さんが少し寝た方が楽になると言うので、私は席を外して外で待つことにする。病院の待合室もなく、用意された椅子でしばらく時をすごす。看護婦さんが病室に居るようにと案内してくれた。
　
　しばらくして、実家の両親が病院に着いたと連絡がある。しかし、妻はまだ処置室に居る。このまま待っている訳にもいかず、いったん両親はホテルに戻ることにして、私が待機することにした。
　
　そして妻の両親が来る。様子を見てもまだ時間がかかるようだと、家に帰ることにした。帰る時に医師が今日中か今夜ですね。。。と義母に伝えるのを聞いて、私も今夜は徹夜を覚悟する。
　

　
　予感があったのかもしれない。徹夜を覚悟して携帯で近くのコンビニを探し、夕飯を買いに病院を出るが外は雨が降り始めていた。義父に借りた車で近くのコンビニに向かうが当初探した方向とは逆に向かっていたようだった。
　
　しかし、偶然病院の目の前に回転寿司屋があることを見つけ、一応コンビニに行って、飲み物や食事の代わりに、ウイダーインなど購入して戻ることにする。
　
　病院の駐車場に車を止めようとして、さっきまで車を止めていた場所には、既に他の人が止めていたので、別の場所で雨に濡れない位置を探して駐車する。
　
　そして先ほど見つけた、病院前のお寿司屋さんに、夕飯を食べにいく。
　
　この時間（夕方5時）では、お客さんも少なく、私の他に二人しか居ない。案内された席の隣のおじさん二人が酔っぱらってくだを巻いていた。しかし、心は上の空、何とも思わない。それよりも金曜日の夕方、まだ5時から寿司を食べ、ビールを飲んでいる人を見は何をやっているんだろうか？そう言う自分も何をしていると思われていたのか？
　
　そんな喧騒をよそに、今こうしている時に…と考えるとゆっくり食事もできない、満腹で眠くなってもいけないと、お寿司もお腹8分目でお店を出て、いったん病院に戻る。
　
　このまま病室に行こうか一瞬迷うが、自分が行くことで辛い思いをしている妻に、食事をしてきた自分が申し訳ない気持ちと、看護婦さんにひとりになって、寝てもいいしリラックスしなさい。と言われたことを思い出し、今は静かにしてあげようと病室に戻る。
　

　
　しばらくして、あら？「おとうさん！」と呼ばれる。
　
　は？と思った瞬間に、「居ない間に生まれましたよ！」と看護婦さんが、子供の誕生を知らせてくれた。言葉の最後に、軽〜く。女の子でした。。。と。瞬間「さくら」が頭とこころに響き渡った。
　
　まず、妻の両親に電話してから、田舎から駆け付けた私の両親にも伝えた。
　
　どちらの両親も、無事に生まれたなら。。。とすぐに駆けつけるかと思った私はちょっと期待外れだったが、そんなことよりも妻の様子が気になる。通された処置室で、笑顔の戻った妻をみて、私も安心した。さっきまで辛そうな妻を見ていられなかったが、今は安心して優しい母親の顔になった妻が愛おしく思える。
　

　
　しばらくして、落ち着きを取り戻した妻に、早速？夕飯が用意され、少しでも食べるようにと言われた時に、なんと何の経験も心の準備もない私の腕に、生まれて1時間も経たない「さくら」を看護婦さんが、ママが食事の時にはパパに抱いてもらいなさいと抱かせてくれた。
　
　「重い」2816ｇしかないはずなのに。。。緊張する私を他所に妻は一口ずつ食事を食べ元気になっていくようだ。
　
　忙しない。そして何も出来ない自分が出来ることとしなければいけないと思ったことを行動するしかなかった一日がこれで終わる。
　

　
　※実家から駆けつけた両親と同じホテルに宿泊して、夜まで今日一日のことを話して寝床についた。。　
　
　こんな1日があってもいいじゃないか。
　

　
　
2010年赤ちゃんの名前ランキング男の子「大翔」女の子「さくら」が首位
2009年赤ちゃんの名前、男の子「大翔」が4連覇 ! 女の子「さくら」が２位にジャンプアップ！
　
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