2010年F1世界選手権は、いよいよ伝統の一戦モナコグランプリの決勝レースのときをむかえた。レース開始前の気温は22℃、路面温度は38℃、湿度34%で晴れ、ドライコンディションとなっている。
ポールポジションはウェーバー、その横にクビサが並ぶ。2列目はヴェッテルとマッサ、3列目がハミルトンとロズベルグというグリッド順となっている。
アロンソは土曜日のフリー走行でクラッシュしてクルマを壊したために公式予選に出場できず、ピットレーンからのスタートとなる。
定時となり、フォーメーションラップがスタートした。全車が無事にダミーグリッドを離れている。
ほとんどのクルマがオプションタイヤを履いている。
23台のクルマがフォーメーションラップを終えて1台ずつグリッドにつく。
シグナルがブラックアウトしてレースがスタート!
ヴェッテルがクビサの前に立つ。マッサが4番手、ハミルトンがその後ろにつく。
スタート直後に大きなトラブルはなく、各車順調に1周目を走行している。
1周目 トンネルの出口でヒュルケンベルグがクラッシュ。トンネル内でクラッシュしたものと思われる。
ここでセーフティーカー導入。アロンソがすかさずピットインしてタイヤ交換。プライムタイヤに履き替えてピットアウト。
1周目を終えた時点での順位は、1位ウェーバー、2位ヴェッテル、3位クビサ、4位マッサ、5位ハミルトン、6位バリチェロ、7位シューマッハ、8位ロズベルグ、9位リウッツィ、10位スーティル、11位バトン、12位ブエミ、13位ペトロフ、14位デ・ラ・ロサ、15位小林、16位アルグエルスアリ、17位コヴァライネン、18位グロック、19位トゥルーリ、20位ディ・グラッシ、21位セナ、22位チャンドック、23位アロンソとなっている。
3周目 バトンが1コーナーを曲がったところでストップ。クルマの後部から白い煙が出ている。
バトン リタイアの原因は冷却トラブルか
ジェンソン・バトンはモナコGP決勝の序盤でリタイアに追い込まれたが、原因は冷却システムのトラブルのようだ。8番グリッドからレースをスタートしたバトンだが、オープニングラップで11番手までポジションを落とし、セーフティーカー出動中の3周目にクルマを止めてリタイアとなった。
昨年のモナコウィナーであるバトンが、レース開始早々に姿を消した。彼のクルマは3周目に白煙を上げてサンデボーテで停止し、リタイアに追い込まれた。「グリッド上でクルマが少し熱かったと思う」と、バトンは語った。「かなり熱くなったから、クルマを止めなければならなくなったんだ。セーフティーカーが入らなければ大丈夫だったかもしれないけれど、こんなに低速だと冷ますことができないんだ」
また、セナがこの間にピットストップを行っている。
リプレイによると、ヒュルケンベルグはトンネルの中でアウトサイドにラインを外し、クルマのコントロールを失ってウォールにクルマをこすりつけるようにクラッシュしている。
5周目 まだセーフティーカー先導が続いている。
6周目 セーフティーカーのサインが消え、次の周からレースがリスタートする。
セーフティーカーがラスカスを回り、ピットレーンに戻る。各車加速してホームストレートを抜け、1コーナーを回る。
7周目 大きな混乱なくレースがリスタートした。後方ではアロンソがチャンドックを抜き、20番手となった。
8周目 アロンソが前を走るディ・グラッシに0.3秒差まで詰め寄り、オーバーテイクのチャンスをうかがう。
10周目 1位ウェーバー、2位ヴェッテル、3位クビサ、4位マッサ、5位ハミルトンがそれぞれ2秒以内の差で順調に走行。6位バリチェロは少し遅れ始め、前との差が2.5秒に開いている。
11周目 アロンソがシケインの入り口でディ・グラッシを抜き、19位となった。トンネルの中でディ・グラッシがクルマのバランスを崩した隙をついた形だ。
アロンソの前は今度はトゥルーリ。ベテラン同士の戦いとなる。
12周目 アロンソがまたもやシケインで前を走るトゥルーリをパス。早くも18位となった。前のグロックとは4秒近くの差があるが、次はこれを追いかけていくこととなる。
13周目 トップのウェーバーと2位ヴェッテルとの差が3.6秒と開いている。
アロンソが前を走るグロックとの差を早くも1秒以内まで詰めている。そのまま両者はトンネルへ。しかし、この周のシケインではオーバーテイクは見られなかった。
ウェーバーが13周目に1分17秒979のファステストラップをマーク。2位以下が1分19秒台で走っている中、ウェーバーがギャップをどんどん広げていっている。
15周目 アロンソが今回もまたシケインの飛び込みでグロックをオーバーテイク。これで17位となった。前のコヴァライネンまでは0.6秒。次のターゲットに狙いを定める。
16周目 アロンソが0.2秒の差で前のコヴァライネンを追いつめる。
17周目 もはや定位置となったシケイン飛び込みで、アロンソがコヴァライネンをかわして16位に浮上。これで新チームをすべて抜き去ったアロンソの次なるターゲットはトロロッソのアルグエルスアリとなる。その差は8.6秒。まずはオーバーテイクを狙えるところまで近づかなければならない。
18周目 5番手ハミルトンがピットストップ。プライムタイヤに履き替えて5.4秒でピットアウト。多くのクルマがリアタイヤの摩耗に苦しみはじめているので、ここからはピットストップのタイミングと早さの勝負も始まる。
ハミルトンはアロンソの前に出たため、アロンソはまずはハミルトンを抜かなければならなくなった。その差は1.9秒。
20周目 4番手のマッサがピットイン。タイヤをプライムに交換してピットアウト。バリチェロ、シューマッハ、リウッツィもピットイン。
このピットストップでシューマッハがバリチェロの前に立ち、順位が入れ替わった。
21周目 ブエミとチャンドックがピットイン。
4番手のロズベルグが20周目に1分17秒538のファステストラップをマークした。これまではペースの上がらないバリチェロに抑えられていたが、バリチェロがピットストップで後ろに下がったため、自分のペースで走れるようになった。ロズベルグの前は13.5秒空いている。
22周目 3番手クビサがピットイン。チームメイトのペトロフも続けてピットに飛び込んだ。アルグエルスアリもピットイン。
ロズベルグが21周目にまた1分17秒445のファステスト。前を走る2番手ヴェッテルまでは16秒あるが、果敢に追い上げる。
23周目 ヴェッテル、スーティル、デ・ラ・ロサがピットイン。
デ・ラ・ロサがピットで止まったままとなっている。何かトラブルがあった模様。
24周目 トップのウェーバーがピットイン。素早く作業を終わらせ、プライムタイヤでピットアウト。ロズベルグの前、トップのままでピットアウトした。ロズベルグはまだピットストップを行っていない。
デ・ラ・ロサのクルマはそのままガレージへを押し込まれ、ここでリタイア。また、グロックがクルマの挙動を乱し、そのままコース脇にクルマを止めてこちらもリタイアする模様。両者ともトラブルだと思われる。
25周目 トップのウェーバーに0.7秒差でロズベルグが迫っている。しかし、ロズベルグはまだピットストップを行っていない。
26周目 3番手のヴェッテルにクビサが0.7秒差まで詰め寄っている。また、5番手小林の後ろにはマッサ、ハミルトン、アロンソ、シューマッハというそうそうたるメンバーによる渋滞ができている。
27周目 ディ・グラッシがピットストップ。長めのピットストップを終え、タイヤを交換してコースへと戻る。
28周目 トゥルーリがピットイン。これでまだピットストップを行っていないのはコヴァライネン、ロズベルグ、小林の3台のみとなった。
小林がミラボー付近でストップ。また、ディ・グラッシもセーフティーゾーンにクルマを入れてリタイアとなった。
ロズベルグがピットイン。
29周目 最後までピットストップを行っていなかったコヴァライネンがここでようやくピットストップ。
ここまでの順位は、1位ウェーバー、2位ヴェッテル、3位クビサ、4位マッサ、5位ハミルトン、6位アロンソ、7位シューマッハ、8位ロズベルグ、9位スーティル、10位バリチェロ、11位リウッツィ、12位ブエミ、13位ペトロフ、14位アルグエルスアリ、15位コヴァライネン、16位セナ、17位チャンドック、18位トゥルーリとなっている。
小林、ディ・グラッシ、グロック、デ・ラ・ロサ、バトン、ヒュルケンベルグはすでにリタイアしている。
1回目のピットストップを終え、気付けばアロンソはシューマッハやロズベルグよりも前の6番手を走行中。最初のセーフティーカーですぐにタイヤを交換した作戦が功を奏した形となっている。
32周目 ペトロフがピットイン。また、ここでバリチェロが大クラッシュ。ボーリバージュを登る途中でクルマがスピンし、壁に激突している。
ここで2回目のセーフティーカー。
リプレイを見ると、バリチェロがかなり激しくガードレールにクラッシュしたことが分かる。クルマを進行方向と逆向きに止めたバリチェロは、コックピットからステアリングを放り投げた。
33周目 セーフティーカーのサインが消え、次の周からレースがリスタートする。
セーフティーカーがピットレーンに戻り、各車が加速を始める。
レースは問題なくリスタートした。また、バリチェロが放り投げたステアリングを通りかかったクルマが踏みつけるリプレイが流れた。
34周目 セーフティーカーが入ったことにより、トップのウェーバーから12位アルグエルスアリまではかなり差が縮まった。一方、周回遅れのペトロフは前のアルグエルスアリから82秒遅れとなっている。今シーズンから、セーフティーカー中も周回遅れはそのまま走行することとなった。
現在の順位は、1位ウェーバー、2位ヴェッテル、3位クビサ、4位マッサ、5位ハミルトン、6位アロンソ、7位シューマッハ、8位ロズベルグ、9位スーティル、10位リウッツィ、11位ブエミ、12位アルグエルスアリ、13位ペトロフ、14位コヴァライネン、15位セナ、16位チャンドック、17位トゥルーリとなり、すでに7台がリタイアしている。
37周目 ウェーバーが早くも2位ヴェッテルとの差を広げはじめている。ヴェッテルは今回、なかなかペースが上がらない。
38周目 ハミルトンがフロントブレーキの不調について無線でチームに訴えている。
39周目 ヴェッテルが1分17秒330のファステストラップをマーク。トップのウェーバーとの差は2.3秒。
40周目 トップのウェーバーから6位アロンソまでが1分17秒台のラップタイムで走行している。
クビサが40周目に1分17秒036のファステストをマーク。前のヴェッテルとは1秒のギャップで走っている。
41周目 ウェーバーが1分16秒828のファステスト。このレースで初めての1分16秒台。4番手のマッサも1分16秒台に突入した。
44周目 ここでセーフティーカーの表示。理由は不明。ストップしているクルマはない模様。
画面表示によると、ターン3付近の側溝あるいはマンホールのふたに問題があるとのこと。
45周目 セーフティーカーのライトが消え、次の周からレースがリスタートする。
3度目のリスタートも問題なく行われた。レースはまだ中盤である。
47周目 6番手のアロンソがシケインの1つ目の縁石をカットしたが、順位には変動がなかった。トップのウェーバーはまた徐々に2番手ヴェッテルとの差を広げはじめている。
48周目 トップウェーバーと2位ヴェッテルとの差は2.4秒に広がった。また、4番手マッサと5番手ハミルトンとの差は0.6秒。7番手のシューマッハも前を走るアロンソまで1
秒以内に迫っている。
51周目 トップのウェーバーと2位ヴェッテルとの差は3.1秒にまで拡大。アロンソが前のハミルトンから少しずつ遅れはじめている。
ウェーバーが51周目に1分16秒310のファステストラップ。4番手のマッサがセクター1で全体のベストタイムを出している。
52周目 フェラーリがマッサへの無線で、タイヤのデグラデーションがないこと、またフロントウィングの調整を行ってよいことを伝えている。
ウェーバーが52周目も引き続きファステスト。1分16秒285。
53周目 ウェーバーがとうとう1分15秒台に突入。1分15秒999。
54周目 2位ヴェッテルはウェーバーから4秒離されており、後ろにクビサ、マッサが1.4秒ずつの差で連なっている。5番手ハミルトンはマッサから徐々に遅れてきている。
57周目 ウェーバーが1分15秒906でまたファステストを更新。2番手ヴェッテルとの差は4.5秒にまで広がっている。また、6番手のアロンソは前のハミルトンから4.2秒遅れ。ここも徐々に差が広がっている。アロンソは後ろのシューマッハに1秒差で追いつめられている。
59周目 ウェーバーがまた自身のラップタイムを縮め、1分15秒832。周回を重ねるごとにファステストラップを更新していく。
61周目 3番手のクビサが前を走るヴェッテルに0.7秒差まで迫っている。
62周目 コヴァライネンとセナがピットイン。2人とも2回目のピットストップとなる。セナはここでクルマをガレージに納め、リタイア。コヴァライネンもピットアウトできず、クルマを止めている。
最後尾を走るチャンドックとトゥルーリが上位陣に次々と追い越されていく。
63周目 ヴェッテルのペースが上がらない。ウェーバーが1分15秒台でファステストを連発しているのに対し、現在は1分17秒台での走行。後ろからクビサがチャンスをうかがう。
ウェーバーは63周目にまたファステストを更新。1分15秒318。ヴェッテルも少しタイムを戻し、1分16秒023の自己ベストタイムをマークした。
コヴァライネンとセナがリタイアしたため、ここまでで9台がリタイアするサバイバルレースとなっている。
65周目に6番手アロンソと8番手ロズベルグがそれぞれ1分15秒台の自己ベストタイムをマーク。
66周目66周目の順位は、1位ウェーバー、2位ヴェッテル、3位クビサ、4位マッサ、5位ハミルトン、6位アロンソ、7位シューマッハ、8位ロズベルグとなっている。ウェーバーはファステストを連発し、後続を引き離している。
トップウェーバーと2位ヴェッテルとの差は6.1秒。その後ろにクビサ、マッサが続き、6.2秒離れてハミルトン、さらに3.7秒遅れてアロンソという順になっている。
68周目 ヴェッテルがペースを取り戻し、1分15秒台を維持している。クビサもそれにぴったりついて行く。後方では、アロンソとシューマッハの6位争いが続いているが、オーバーテイクの動きはない。
残り9周 現在、レッドブル、メルセデス、フォースインディアは2台のクルマがポイント圏内を走行中。トップのウェーバーと2位ヴェッテルとの差は5.9秒。
残り7周 ヴェッテルが71周目に1分15秒192のファステストラップをマーク。
このままの順位でレースが終わると、ウェーバーとヴェッテルが総ポイント数78で並ぶが、優勝数でウェーバーが上回り、トップに立つこととなる。
残り5周 ウェーバーは順調にトップを走り続けているが、ややスピードを緩めているようで、ラップタイムは2位ヴェッテル、3位クビサの方がわずかに速い。アロンソが自己ベストタイムをマーク。前のハミルトンまでは2.9秒となっている。
残り4周 ラスカスでチャンドックとトゥルーリがクラッシュ。チャンドックに後ろからトゥルーリが乗り上げる形でクラッシュし、トゥルーリのクルマがチャンドックのマシンに乗り上げている。
残り3周 ここで少し遅れてセーフティーカー導入。ロータスのマシンが燃えている。残り周回数が少ないのと、マシンから小さい火が出ているため、なかなかマシンの撤去が行われない。
ここでペトロフがピットイン。マシンを止め、リタイア。完走扱いとはなるが、これで12台がリタイアする事態となった。
残り2周 まだセーフティーカーが先導している。
セーフティーカー先導のまま、とうとう最終ラップへと入った。モナコのレースはセーフティーカー4回、リタイア12台という荒れたレースとなった。
この周回の最後にセーフティーカーが戻るため、最終コーナーからコントロールラインまでは普通にレースを行って良いこととなっている。各車スピードを上げて最終コーナーを回り、ゴールへと飛び込んだ。
最後の最後でシューマッハがアロンソをかわして6位でフィニッシュ!
シューマッハはセーフティーカーが戻るところを見計らい、セーフティーカーラインから猛ダッシュして最終コーナーでアロンソを抜いた。
2010年モナコグランプリの結果は、1位ウェーバー、2位ヴェッテル、3位クビサ、4位マッサ、5位ハミルトン、6位シューマッハ、7位アロンソ、8位ロズベルグ、9位スーティル、10位リウッツィ、11位ブエミ、12位アルグエルスアリとなった。13位ペトロフ、14位チャンドック、15位トゥルーリまでが完走扱い。
今回の1&2フィニッシュで、ウェーバーが78ポイントとなってドライバーズチャンピオンシップ1位、ヴェッテルが同ポイントで2位となった。3位はアロンソで73ポイント。前戦までトップを維持していたバトンは4位に転落し、今回は痛いリタイアとなった。
決勝
Pos. ドライバー コンストラクターズ Tyres Time
1 M・ウェーバー レッドブル 1:50:00.000
2 S・ヴェッテル レッドブル + 0.400
3 R・クビサ ルノー + 1.600
4 F・マッサ フェラーリ + 2.600
5 L・ハミルトン マクラーレン + 4.300
6 M・シューマッハ メルセデスGP + 5.700
7 F・アロンソ フェラーリ + 6.300
8 N・ロズベルグ メルセデスGP + 6.600
9 A・スーティル フォースインディア + 6.900
10 V・リウッツィ フォースインディア + 7.300
11 S・ブエミ トロロッソ + 8.100
12 J・アルグエルスアリ トロロッソ + 9.100
Did not finish
13 V・ペトロフ ルノー + 5 laps
14 K・チャンドック ヒスパニアレーシング + 8 laps
15 J・トゥルーリ ロータスF1 + 8 laps
16 H・コヴァライネン ロータスF1 + 20 laps