閉じた状態の Pearl Flip はスムーズでしっかりしており、開くとグラフィックス表示の素晴らしいディスプレイと、標準の Pearl とすべて同じままサイズが大型化されたキーパッドが現れる。サイズが大きくなり、キーの表面がスムーズになったため、入力が快適になった。
トラックボールはこれまでの Pearl と同じものとなっている。Pearl Flip の折りたたみ時の外寸は、長さが通常の Pearl と同じで幅も全く変わらない。つまり、これは開くと8110などの同様の Pearl モデルの約2倍の長さになることを意味する。しかし、重量はほぼ同じとなっている。
バッテリのカバーが簡単に外れてしまうため、幼児でも簡単に開けてしまうという設計上の欠点はあるものの、SIM スロットのデザインが良く、チップの素早い交換が可能になっているという良い面もある。
Pearl Flip は、閉じた状態でも電子メールの受信や電話の着信、時計などの各種アプリケーションが表示され、今起こっていることを目で素早く確認できる。時計機能には便利な「枕もとモード」が用意されており、夜中でも電話を開かずに時間をチェックできる。さらに、同電話機には楽曲コントロール機能も搭載されている。
携帯電話で曲が聴けるのは便利、そして折りたたんだ状態でそれができる。
右側にあるボリュームコントロールは、電話が開いた状態でも閉じた状態でもアクセスがしやすく、ボリューム下げボタンを押したままにすると曲の頭に戻る。左側面にあるミュートボタンも、Pearl が開いた状態でも閉じた状態でも機能する。再生中にミュートを実行すると、曲がミュートされるだけでなくタイミングよく一時停止するので、準備ができたときにもう一度ミュートボタンを押せばレジュームできる。
ヘッドセット用のジャックや USB ポートは左側面のミュートボタン下にある。
Bold など、T-Mobile のほかの新しい BlackBerry モデルと同様、Pearl Flip もデフォルトではホーム画面に「MyFaves」（お気に入り）が表示される。これは素早い通話やメッセージング送信用にプロファイルを設定できるインターフェイスとなっている。プロファイルには画像もセットできるため、お気に入りをスクロールしていくときの高解像度グラフィックスが楽しい。それに、頻繁に電話をかける相手に画像を設定すると、電話が開いていても閉じていても相手の着信時は写真がディスプレイに表示される。ただ、ほかのデフォルト設定はさほど魅力的ではない。
左側にあるインスタントキーには「音声発信」が設定されているが、頻繁に電話をかけないユーザーにはあまり関係ないし、立ち上がると即座に入力を求めてくるので切る操作に数秒かかってしまう。もう1つのインスタントキーはカメラを開くようになっている。
これらをリセットするには、「Settings」にある「Optoins」の「Screen/Keyboard」を開いて、「Right（もしくは Left）Side Convenience Key Opens」を表示させる。スクロール操作で「Default（Voice Dialing）」などの選択をハイライト表示させ、トラックボールを押してリストに表示される別のものを選択する。そして、終了前に「BlackBerry」メニューを押して設定を保存する。
カメラ目的で Pearl Flip を購入する人はいないだろう。カメラ付き携帯電話としての性能は、われわれがこれまで見てきたものの多くよりも確実に劣る。ファインダー像と実際の撮影画像とのズレが大きい。白黒やセピアモードも用意されているが、フラッシュとセピアモードの組み合わせはうまくいかないようだ。ツメから外して開き、ゴムひもでぶら下がるタイプの microSD カードスロットは、ボリュームコントロール下の右端にある。フタのつなぎ部分は一部の電話機のそれより丈夫に感じるが、それでもまだ簡単に外れそうな感じがある。
しかし、写真などを外部メディアに書き出す各種設定には簡単にアクセスできる。「Music Player」もしくは「Camera」から「Options」メニューに入り、ファイルを保存したい場所を割り当てる。もし変なことになるのが心配なら容量制限をかけておく。
Flip は巧みに Wi-Fi ネットワークに接続し、与えた情報を保存して、再度そのネットワークのサービス範囲に入ったときには接続を行ってくれる。これはたとえば、自宅と職場に Wi-Fi ネットワークがある場合に、BlackBerry のデータを携帯電話の料金プランではなく Wi-Fi で処理できるため便利だ。これにより、コストを抑えられるかもしれないし、データ転送は間違いなくスピードアップできる（3G のサービス範囲外にいる場合など特にだ）。
待ち受け時（電話を閉じた状態）ではバッテリが何日ももつ。時計を「枕もとモード」にしていても、1回の充電で48時間もった。ただし、通話可能時間についてはテストしなかった。
Pearl Flip は、2つのカテゴリーの潜在ユーザーにとって魅力的なはずだ。既存の Pearl オーナーにとっては、折りたたみ式の採用によって予期せぬ電話発信を自動的に回避することができ、大きくクリアになったディスプレイや、大型化されたボタンはアップグレードに見合うものだ。また、標準的な折りたたみ式携帯電話のユーザーでスマートフォンの購入を初めて検討している人たちは、Pearl のサイズと形を気に入り、その機能に満足することだろう。
フルサイズの BlackBerry や、ほかの各種スマートフォンと異なるのが、フル QWERTY 配列キーボードが未搭載という仕様だ（大半のキーに文字が2つ割り当てられており、RIM の SureType 技術が採用されている）。これは、タイプ入力の多いユーザーには気になるところだが、 標準的な携帯電話でメールをするのになれた人には平気だろう。
また、これだけ小さく洗練されたパッケージに機能がぎっしり詰まっているのだから文句は言えないだろう。
