警察庁は11日、シートベルトの着用義務が免除されている妊婦について、「着用する方が安全」との見解を初めて示し、交通ルールなどをまとめた「交通の方法に関する教則」を改正し、着用方法を盛り込む方針を明らかにした。
現行法などでは、「政令で定めるやむを得ない理由があるとき」は、シートベルトを着用しなくてもよいとされ、妊娠中もそれに含まれる場合がある。このため、妊婦は一律に着用義務が免除され、ベルトを着用しない方が体にもよいと誤解する人が多かった。 これまでは「ベルトが子宮を圧迫して危険」との指摘もあり、妊婦は着用義務の対象外とされてきたが、日本産科婦人科学会などが今年4月、妊婦でもシートベルトを着用した方が交通事故時の衝撃を軽減できるとの見解を示していた。 教則に盛り込まれる着用方法は、〈1〉腰ベルトをおなかの膨らみを避けて、腰骨の低い位置を通す〈2〉肩ベルトを腹部を避けて体の側面に通す――などが骨子。正しく着用すれば、事故の際に母体と胎児にかかる衝撃を軽くできるという。 妊婦の安全とシートベルトの関係を研究している独協医大の一杉正仁准教授(法医学)は「妊婦がシートベルトを着用していないと、時速十数キロ程度で起きた軽微な事故でも、おなかにハンドルがあたり胎児に影響を与える事故につながる危険がある」と指摘。一杉准教授の調査では、シートベルトの着用で、おなかへの衝撃を未着用時の3分の1に軽減できることも判明した。 同庁では今月末をめどに教則を改正。当面は道交法改正は行わず、着用しなくても罰則は科さない方針。