メニエール病とは。フランスの医師Prosper Meniereが、それまでめまいの原因といえば脳卒中といわれていた時代に、めまいが内耳から生じることを初めて提唱した。それにちなんで、内耳性めまいのある種のものを現在メニエール病といっている。メニエール病は病歴と症状で診断される疾患であり、現在のところ診断の決め手になる特定の検査法はない。メニエール病の特徴は、激しい回転性のめまい発作に耳鳴や難聴などの蝸牛症状が随伴し、この発作を反復するものである。
■病因 めまいは、なんら誘因なく突発的に生じるのが特徴である。めまいの性状は、回転性で激しく、一般的には30分位から数時間にわたるめまい発作である。めまい発作中には、自律神経症状として、悪心、嘔吐、冷汗、顔面蒼白、頻脈などを伴うことが多い。メニエール病は、めまい発作に難聴や耳閉塞感、或いは耳鳴などの蝸牛症状を随伴するのが特徴である。 蝸牛症状はめまい発作と一致して現れたり悪化したりし、めまいの寛解と共に正常に復したり軽快したりする。めまい発作の始まる前に、蝸牛症状が先行して現れることもしばしばある。難聴の程度は病気の初期には軽度の低音障害型であるが、発作を繰り返しているうちに難聴は高度になり、全周波数にわたって聴力が悪化する。自覚的には、難聴があるにもかかわらず、少し大きな音や高い音が響いて大きく聞こえるようになる(補充現象)。
■診断 メニエール病は次に上げる診断基準によって診断される。 1. 回転性めまい発作を反復すること 1) めまいは一般に特別の誘因なく発来し、嘔気、嘔吐を伴い、数分ないし数時間持続する 2) 発作の中には「回転性」めまいでない場合もある 3) 発作中は水平回旋混合性の自発眼振をみることが多い 4) 反復性の確認されない初回発作では、めまいを伴う突発性難聴と十分鑑別されなければならない 2. 耳鳴、難聴などの蝸牛症状が反復、消長すること 1) 耳鳴、難聴の両方またはいずれかの変動に伴いめまい発作をきたすことが多い 2) 耳閉塞感や強い音に対する過敏性を訴える例も多い 3) 聴力検査では、著明な中・低音部閾値変動や音の大きさの補充現象陽性を呈することが多い 4) 一耳罹患を原則とするが両耳の場合もみられる 3. 1,2 の症候をきたす中枢神経疾患、ならびに原因既知のめまい、難聴を主訴とする疾患が除外できる。これらの疾患を除外するためには、問診、一般神経学的検査、平衡機能検査、聴力検査などを含む専門的な臨床検査を行い、ときには経過観察が必要な場合もある。 <診断基準> 確実例:1,2,3の全条件を満たすもの 疑い例:1と3 または2と3の条件を満たすもの
メニエール病は次に上げる診断基準によって診断される。
1. 回転性めまい発作を反復すること 1) めまいは一般に特別の誘因なく発来し、嘔気、嘔吐を伴い、数分ないし数時間持続する 2) 発作の中には「回転性」めまいでない場合もある 3) 発作中は水平回旋混合性の自発眼振をみることが多い 4) 反復性の確認されない初回発作では、めまいを伴う突発性難聴と十分鑑別されなければならない 2. 耳鳴、難聴などの蝸牛症状が反復、消長すること 1) 耳鳴、難聴の両方またはいずれかの変動に伴いめまい発作をきたすことが多い 2) 耳閉塞感や強い音に対する過敏性を訴える例も多い 3) 聴力検査では、著明な中・低音部閾値変動や音の大きさの補充現象陽性を呈することが多い 4) 一耳罹患を原則とするが両耳の場合もみられる 3. 1,2 の症候をきたす中枢神経疾患、ならびに原因既知のめまい、難聴を主訴とする疾患が除外できる。これらの疾患を除外するためには、問診、一般神経学的検査、平衡機能検査、聴力検査などを含む専門的な臨床検査を行い、ときには経過観察が必要な場合もある。 <診断基準> 確実例:1,2,3の全条件を満たすもの 疑い例:1と3 または2と3の条件を満たすもの
■治療 薬物による治療が第一選択になる。 メニエール病に対する治療には、病態に対する治療と症状に対する治療(対症療法)がある。めまい発作中の自律神経症状に対して、補液を行い体液のバランスをとる。めまいが強いと恐怖心が起こり、それが自律神経をさらに悪化させることが多い。 そのため、メニエール病は生命に別条のない病気であることを話すと同時に安定剤を用いる。また、悪心や嘔吐に対しては、制吐剤を用いる。病態(内リンパ水腫)に対しては、水腫を軽減する薬剤として利尿剤系統の薬物が多く用いられる。 中でも、イソソルビドは一般に広く用いられている。また、内耳感覚細胞や内耳神経の活動を正常化させる目的で、ビタミン剤や末梢血流改善剤などが用いられる。一方、薬物治療でめまい発作が制御できず社会生活に支障をきたすような場合や、聴力悪化傾向の強い場合には外科的療法が用いられる。現在最も広く行われているメニエール病手術は、内リンパ嚢減荷術である。