授賞式は12月10日にストックホルムで行われる。賞金1000万スウェーデンクローナ(約1億4400万円)はハウゼン氏に半分、モンタニエ氏ら他の2人に4分の1ずつ贈られる。
エイズという病気とその現状
エイズはセックスをする人であれば、誰でもうつる可能性がある病気です。
エイズは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)というウイルスが、人間の血液に入って起こる感染症です。HIVは、CD4陽性細胞(リンパ球の一種で、細菌やウイルスといった病原体から身を守る「免疫」という働きをする細胞。)に入り込んで、CD4陽性細胞を破壊してしまいます。
しかし、HIVに感染してもすぐに免疫の力は弱くなりません。CD4陽性細胞は壊されてもすぐに新しく作られるからです。感染初期は、自覚症状もほとんどありません。したがって、検査を受けない限り、感染者自身もHIVに感染したことに気付きません。感染していても特徴的な症状が出ていない人をHIV感染者といいます。
HIV感染者の体内では、数年から10数年かけて、HIVが徐々に増えていき、新しく作られるCD4陽性細胞よりも壊されるCD4陽性細胞が多くなるために免疫の働きが少しずつ低下していきます。このため、健康なときにはかかりにくい感染症や悪性腫瘍にかかったりします。こういう病気にかかった状態を、エイズ(後天性免疫不全症候群)といいます。
HIV感染者、エイズ患者とも、日本では増え続けています。
ノーベル物理学賞 日本人3人同時に受賞
スウェーデン王立科学アカデミーは7日、2008年のノーベル物理学賞を高エネルギー加速器研究機構の小林誠名誉教授(64)と益川敏英京都大名誉教授(68)=京都産業大教授、米シカゴ大の南部陽一郎(87)の3氏に授与すると発表した。
素粒子物理学の基礎「標準理論」
宇宙は約137億年前、「ビッグバン」と呼ばれる大爆発によって誕生した。その直後、物質を構成するクオークや電子などの「粒子」と、質量が同じで電荷が反対の「反粒子」が同じ数だけ生まれた。
粒子と反粒子が出合うと、光を放ってどちらも消滅してしまう不思議な性質がある。このため両者がいつまでも併存していると、宇宙には物質がなくなってしまう。ところが現在の宇宙では反粒子は見当たらず、粒子だけが生き残り、銀河や太陽系が生まれた。
授賞理由は「小林・益川理論」と「対称性の自発的な破れ」による素粒子物理学への貢献。宇宙や物質の成り立ちにかかわる根源的な現象を解明し、素粒子物理学の基礎となる「標準理論」を構築した功績が評価された。日本人のノーベル賞は6年ぶりで、共同受賞は初めて。
「対称性の自発的破れ」とは、たとえば底が盛り上がったワインの瓶は上から見ると左右対称なのに、そこに小さな玉を入れると、玉は瓶底の中央ではなく、へりに近いくぼみに落ち込むようなものだ。瓶そのものは左右対称でも、玉まで含めた場合は「対称性」が失われている。
日常感覚では、このような現象は当たり前で、人間の心臓が常に左側にあるように、左右の対称性がそもそも失われている。だが、素粒子はすべての物質の最も基本となる構成要素だ。どこから見ても同じであるべきで、どんな状況でも「対称性」が成り立っていると信じられてきた。
しかし、南部さんは「素粒子の世界でも対称性が自然に破綻(はたん)するケースがありうる」と考えた。破綻するのは、対称性が失われた方がエネルギー的に安定する場合だ。一見、常識破りのこの考え方が、「質量の起源」を解き明かす研究の端緒となった。
日本人のノーベル賞受賞者は2002年の小柴昌俊氏(物理学)、田中耕一氏(化学)以来。南部氏は福井県出身で米国籍。物理学賞は故湯川秀樹氏、故朝永振一郎氏、江崎玲於奈氏、小柴氏に続く受賞。授賞式は12月10日、ストックホルムで行われ、3氏に賞金計1000万スウェーデンクローナ(約1億8000万円)が贈られる。
ノーベル物理学賞重傷の3氏が講演
10日に2008年のノーベル物理学賞を受ける小林誠・高エネルギー加速器研究機構名誉教授(64)と益川敏英・京都産業大教授(68)、化学賞を受ける下村脩・米ボストン大名誉教授(80)は8日、スウェーデンのストックホルム大学講堂で記念講演を行った。
小林さんは「CP対称性の破れとフレーバー混合」と題し、スライドを使い流ちょうな英語で講演。素粒子物理の理論や実験で「日本の貢献が大きい」と指摘した。
益川さんは日本語で生い立ちを交え研究について語った。電気技師を目指しながら砂糖問屋を営んでいた父に「理科の知識とおもしろさを学んだ」という。小林さんとの研究が壁に突き当たった当時、入浴中に、それまで考えていたモデルでの実験説明をあきらめたのがきっかけで新たな発想を得たというエピソードを明かした。
下村さんは長崎での被爆体験や日米での研究生活など半生を振り返った。クラゲから分離した発光たんぱく質GFPについては「美しいが、30年間にわたり使い道がなかった」と語った。
ノーベル化学賞は全く意外−「受賞は天の導き」=下村脩さん
「受賞は天の導き。亡き恩師に伝えたい」。ノーベル化学賞に決まった下村脩さん(80)は米マサチューセッツ州の自宅で時事通信との電話インタビューに応じ、受賞の喜びをこう表現した。
下村さんによると、スウェーデン王立科学アカデミーから電話があったのは現地時間の8日朝5時。「決まり文句みたいに『コングラチュレーション』と言われた後、『もうすぐマスコミが殺到して大変なことになりますよ』と言われた。その後は電話が鳴りっぱなし。その通りになった」と笑った。
化学賞での受賞は、全く意外だったという。「わたしがやったことは(受賞理由となった)緑色蛍光たんぱく質(GFP)を発見したことだけ。(共同受賞者の)チャルフィーがそれが役に立つものだということを見つけ、チェンが改良した。だから医学賞か生理学賞の対象だと思った」。
「受賞は非常に名誉でありがたいこと」としつつ、「これまで賞とか名誉に関心を持たなかったし、受賞の連絡を受けてからは対応に追われて忙しい。そういう意味では受賞はあまりうれしくないね」とも。
受賞の喜びを伝えたい人は一人だけいる。研究生として2年間お世話になった故・平田義正名古屋大理学部教授だ。「非常によくしてもらった。今のわたしがあるのは先生のおかげだ」と振り返った。
GFPは、クラゲからある物質を得ようとした際の副産物として偶然発見した。「発見は非常にラッキーなこと。わたしは神を信じないが、天の導きだと思った。ノーベル賞も同じだ」。
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The Nobel Prize(英語) - Nobelprize.org