ソニーが極小の突起物を多数並べて、光が反射しないディスプレー用のフィルム「モスアイ(ガの目)」液晶の光反射を抑制するディスプレー用のフィルムを開発して、2010年頃をメドに実用化するそうです。この「モスアイ(ガの目)」技術はブルーレイ開発に際して研究した成果技術の応用とのことで、HD-DVDとの競争が技術の躍進にもつながったんでしょう。
ソニーは液晶画面などに太陽や照明の光が反射して見にくくなる現象を従来の30分の1程度に抑えることができる反射防止技術を開発した。このソニーが開発したのは「モスアイ(ガの目)」と呼ばれる極小の突起物を多数並べて、光が反射しないディスプレー用のフィルムを作る技術で、各社同じ発想の研究を重ねているようです。 ソニーが発表する前に、すでに三菱レイヨンも「モスアイ型の無反射フィルム製造プロセスの開発について」プレスリリースを出しています。
モスアイ型無反射フィルムとは フィルムの表面に百ナノ(ナノは10億分の1)メートルスケールで規則的な突起配列を有する構造を持つフィルムです。この突起構造を持ったフィルムは、厚み方向の屈折率が連続的に変化するため、フィルムにあたる光を反射させることがほとんどありません。今回作製したモスアイ型無反射フィルムの反射率は 0.1%以下で、一般的な反射防止フィルムと比べ1/20以下と飛躍的な性能を示しています。
この蛾の複眼表面にあるサブマイクロメーター周期の凸凹構造(モスアイ構造)はすぐれた無反射機能をもたらし(だから、蛾は夜でも空が飛べるのです)、蓮や里芋の葉のテフロン顔負けの撥水性(水をはじく性質)は表面の微細な凸凹構造によるものなのです。また、虹色に輝くモルフォ蝶の羽やオパールの色もまた規則的な「形」の繰り返しによるものです。オパールの持つ神秘な輝きは、構造色とよばれ珪酸の微粒子が規則的に配列することによる光の干渉によるものなのです。 自然に学ぶナノテクノロジー