NTT研究所がネット上の書き込みから視聴率を予測し、ビデオリサーチが独自に調査するデータと比較して、ブログ記事と視聴率の連動を評価して、最終的に視聴者がどの位ネットだけでいるのか把握できる仕組みを探っているようです。 これが現実に利用されるようになれば、単にテレビの前で番組をその時間に見た人だけではなく、録画や友人から聞いて興味を持ったひとまで広くリサーチすることが可能になり、テレビだけではなく、見た人全員へのプロモーション効果を測定することができるようになります。
今のテレビ番組の視聴率調査は、ビデオリサーチ社などが独自に設定した基準で、少数のモニター家庭と契約して、視聴率を測定する手法ですが、テレビ番組を録画して後で見る人や携帯電話に搭載されているワンセグ、自動車に搭載されたカーナビでテレビを見る人は測定範囲外で、現実社会への影響を計る手段としては、20世紀のリサーチ手法なので旧世代の仕組みと言わざるを得ません。21世紀になり、インターネットの活用もブロードバンド化が進み、携帯電話にもテレビの視聴が可能なワンセグがほとんどの機種に搭載されてきました。
このメディアの影響を測定するために、視聴者が自発的に書き込むブログ記事の「面白い」「嫌い」といったテレビドラマへの感想から、次週の視聴率の上下を高い確度で予測することで、テレビ番組の視聴率を予測するシステムが開発されました。 目先の視聴率獲得のためだけの競争に追われるテレビ局が、次週以降の番組作りの参考にするなど視聴者の好みを探る可能性が増える仕組みになるかもしれません。 NTT研究所が昨年10〜12月に放送された夜のドラマ15番組を選んで、各放送回ごとに視聴者が感想などを書き込んだブログ記事200件を集め、ネット上の記事中の「好き」「嫌い」「面白い」「やばい」といった感情表現のキーワードを多い順に20個ずつ選んで、どのような単語の組み合わせのときに視聴率と連動するのかをコンピューターに学習させた。考慮した感情表現は481種類に達した。 例えば、「面白い」「好き」など好意的な表現が多くても、「嫌い」が一定以上含まれると視聴率が下がる。「やばい」など判断の難しい単語も、「面白い」などと一緒に用いられる場合は視聴率が上昇する傾向が分かった。こうした分析から得られた予測と実際の視聴率を比べると、最大70.7%の確率で視聴率の上下を当てることができた。 従来の市場調査に比べて低コストで消費者の動向を探る試みが進んでいるため、ネットから収集したデータを解析する手法は、現実的にテレビ番組に限らず、企業が販売する商品のヒット予測などにも応用可能で可能性が広がる。