ボーダフォン・マクラーレン・メルセデスチームは、昨日のフェラーリに続いてF1チームの中で2番目となる新車発表会を行った。チームはドイツのシュトゥツトガルトにあるメルセデスベンツミュージアムにメディアを招待し、新車のMP4−23を披露した。
マクラーレンのルイス・ハミルトンは、昨シーズン、後少しのところでタイトルを逃した。キミ・ライコネンと、チームメイトのフェルナンド・アロンソとのタイトル争いを繰り広げた末に、ハミルトンは最終戦のインテルラゴスでわずか1ポイント差でライコネンに敗れたのだった。元F1チャンピオンのデーモン・ヒルは、この経験によってハミルトンは2008年にますます強くなるだろうと語っている。
「ルイスと彼の父アンソニーは、昨年起こったことについて非常に前向きにとらえている。ルイスはF1の経験がまったくない状態でシーズンを迎え、そしてもう少しで優勝するところだったのだ。私は、これでハミルトン一家はとても強くなったことと思う」 ヒル自身、1994年の最終戦でミハエル・シューマッハがアデレードで彼をコースの外へと追いやって初のタイトルを獲得したときに、もう少しのところでタイトルを逃している。しかし、その2年後にヒルはタイトルを手にした。「もう少しのところでタイトルを逃すと、ますます勝ちたくなるものなんだ」とヒルは言う。「ルイスも同じように勝利への欲をかき立てられていることと思う。彼は大きな教訓を学んだ。ドライバーの視点から言えば、自分自身の野心のことだけを考えているのでは不十分だ。政治や財政も、F1の大きな部分を占めている。なぜなら、F1はスポーツであるだけではなく、マーケットでもあるからだ。ルイスは偉大な才能をもった素晴らしいドライバーだ。しかし、彼はいろいろなことを急速に学び、彼は自分ではコントロールできない出来事に翻弄される可能性があるということに気付いたと思う。あとは、それにうまく対処できる考え方を身に付けるだけだ」 「スパイ事件によってマクラーレンの車輪が外れてしまい、チームが崩壊したという人たちもいるが、マクラーレンの車輪はなんのプレッシャーもなく外れることはない。フェラーリは被害者のように振る舞っていたが、彼らの資金も名声も、なんの打撃も受けなかった。士気という点でいえば、彼らもまたミハエル・シューマッハの時代からの転換を図っていたんだがね。マクラーレンはこの事件の痛手に苦しむことになるだろうが、それがどのくらいのものなのかは時間が経って初めて分かることだろうね」