中南米有数の美術館として知られるブラジルのサンパウロ美術館で20日朝、ピカソなどの絵画2点(計60億円相当)が強盗に盗まれた。わずか3分間の犯行だったという。盗まれたのはピカソが1904年に描いた「シュザンヌ・ブロックの肖像」と、ブラジルの画家ポルチナリがコーヒー農夫を描いた39年の絵画。
強盗は3人組。午前5時すぎに、目抜き通りであるパウリスタ大通りに面した正面玄関のドアを破って侵入し、異なる部屋に展示されていた2点を奪って逃げた。ドアには警報装置はついていなかった。 地元メディアによると、この2点を狙った強盗未遂は、最近2カ月で2度起きていたという。捜査官は「素人のやり口ではない。プロの仕業だ」などと話している。監視カメラの映像は犯人が美術館に押し入った瞬間はとらえていたものの、絵画を壁から盗み出す瞬間は映っていなかったという。
美術館の声明によると、盗まれたのは「青の時代」と呼ばれる1904年のピカソの作品「Portrait of Suzanne Bloch(原題)」とブラジル人画家カンディド・ポルチナーリの1939年の作品「The Coffee Worker(同)」。同2点は、同美術館で最も貴重な作品に挙げられるという。また美術館側は、犯人はおそらく2階の別々の部屋に展示されていた同2作品を狙ったものとみている。
ピカソ作品1点を回収 ブラジル絵画強奪事件 ブラジルのサンパウロ州絵画館で6月、展示中のピカソ作品2点を含む計4点の絵画が武装集団に強奪された事件で、警察当局は強盗などの疑いでサンパウロに住む男(30)を逮捕、ピカソ作品のうち1点を回収し、今月19日に絵画館側に返還した。残る3点はなお行方が分からず、警察が捜索している。AP通信などが報じた。 警察当局によると、この男が仲間と銀行強盗の計画を立てているとの情報を得て、電話を盗聴したところ「ピカソ」に言及。18日夜に市内の商業施設で男の身柄を拘束、郊外のビルの屋根裏に隠してあったピカソ作1点を回収した。警察は一緒にいた別の男2人も逮捕したが、絵画強奪とは無関係という。 4点の被害総額は計100万レアル(約6700万円)とされる。