IBMは面白いことにも真剣に取り組む会社なんですね。一般的には堅苦しいイメージもありますが、一方では今回のレポートのように、今後5年間で生活を一変させる5つのイノベーション「IBM Next 5 in 5」の第2弾を公表したりしています。
IBMでは、世界の頭脳とも呼べる優秀な社員を抱え、しかもブラッシュアップして世の中に送り出して意いる優れた教育制度をもった会社と言われています。これは日本のIT系企業にも多くの元IBM社員が居て会社の経営を引っ張ってることからも、優秀な人材が多いのは事実でしょう。 対比としてよく言われるのが、元Microsoft社員が活躍する会社って無いよね・・・ともIT業界では言われますが、これは知り合いの元IBM+Microsoft社員だった人に言わせると、「MicrosoftはIBMの倍働かされた。IBMも一般的な企業に比べれば倍働いているが、Microsoftは3倍だから・・・」と言うことで、Microsoftで働くことで、元気と言うかパワーを吸い取られたのが、原因ではないかと話がありましたが、確かにそんな感じもしますね。。 さて、この優秀な社員が多いIBMが、今後5年の間に、私たちの生活のあり方を一変させる可能性をもつ5つのイノベーションをまとめた「IBM Next 5 in 5」の第2弾を公表しました。昨年も「IBM Next 5 in 5」を発表していますので、5年後には正解が見えてくるシナリオのようです。 IBMでは、「IBM Next 5 in 5」の予測は、市場や社会のトレンド、全世界のIBM研究所から生み出される新しい研究・開発の成果、そしてIBMコンサルタントによるビジネス・リサーチに基づいて、今後5年間で、私たちの生活は技術革新を通じて次のような形で変化していくことが予想されるとしています。
CO2排出量の管理で簡単エコロジー: 環境配慮型のエネルギー利用を実現する「スマート・エネルギー」テクノロジーによって、個人レベルでの「カーボン・フットプリント(二酸化炭素排出量)」の管理が容易になるでしょう。 既存の電力供給網をつかって、接続されている様々な家電製品、使用量メーター、そして電力源を管理できる「インテリジェント・ユーティリティー・ネットワーク」の出現により、消費者は家庭の電気使用量を常時監視できるようになるだけでなく、ケータイやWebブラウザーを使って外出先からOA機器や家電製品の電源をオン/オフできるようになります。また、IUNは一般消費者にもグリーン電力(水力、風力、太陽光、バイオマスといった自然エネルギー)を購入することを容易に選択できる仕組みを提供します。今後、自然エネルギーの発電技術や購入の仕組みが進むことによって、グリーン電力はより経済的な選択肢となっていくでしょう。
新交通システムがストレスのない移動を実現: 今後5年間で、自動車と道路の間のコネクティビティー(接続性)は劇的に向上し、自動車の安全性と交通渋滞の緩和に寄与するイノベーションが進むでしょう。 ドライバー支援技術が搭載された自動車は、自動車同士、あるいは道路沿いのセンサーとの間で互いにコミュニケーションを取ることができるようになります。自動車は比較的混雑の少ないルートを能動的に選択しながら移動し、歩行者や他の車の存在を「察知」して、衝突を事前に防いでくれるようになるでしょう。 また都市部の渋滞問題の緩和策として、信号機をリアルタイムで調節して、交通の流れを最適化する「インテリジェント・トラフィック・システム」の研究や実証実験も進められています。すでにストックホルムでは、この新しい交通渋滞緩和システムの導入によって、ピーク時の交通量が導入前と比較して20%緩和されました。
食は人なり-食品の安全を徹底追跡: 食品の原材料が世界中から調達されるようになった今日、「自分が何を食べているのかを正確に知ること」がかつてないほど重要になっています。IBMが最近実施した調査では、消費者の72%以上が、購入する食品の含有物、原産地、環境負荷について、もっと具体的な情報を知りたいと回答しています。 今後 RFIDに代表される無線電波センサー・テクノロジーやデータ解析用ソフトウェアの性能は飛躍的に向上し、消費者は、購入した食品や商品について、はるかに詳細な情報を得られるようになるでしょう。その食材が育った土壌から、どのような種類の農薬や化学肥料にさらされたか、商品の製造のために消費されたエネルギーや二酸化炭素排出量、および食卓に届くまでの輸送途上に用いられたコンテナの温度や空気の質に至るまで、あらゆる事実を知ることができます。 食料品の賞味・消費期限の誤表示、原材料の産地偽装といった問題への解決となるだけでなく、貯蔵温度によって品質が大きく左右される生鮮食品も、輸送途中に適切な温度管理がされていたかどうかがわかるようになるでしょう。高度なセンサーおよび追跡システムが、口にする前に消費者が食べようとしているものについて教えてくれるのです。
グローバルに加速するケータイ・サービス: すでに多くの便利なサービスが展開されているケータイ市場。ケータイの多機能化とサービスの拡充は今後グローバルなレベルで更に加速するでしょう。 同時に、ケータイはWeb2.0をベースとした情報インフラとより密接に連携しながら、ユーザーを様々なシーンで支援するようになると考えられています。たまたま入ったレストランで好みの家具を見つけた消費者は、ケータイで撮影した画像をネットに転送して検索を開始し、インテリア・デザイナー、メーカー、そしてその家具を扱っている最寄りのお店やオンラインショップの情報を瞬く間に見つけることができるようになるでしょう。さらに、別の場所にいる友人や家族にオンラインでその商品を確認してもらい、購入する前に意見を聞くこともできます。 また、旅先などではケータイがガイド役となることもできます。訪れた都市でケータイの電源を入れると、自動的に、ユーザーの嗜好にあった現地のエンターテインメント、グルメ・スポット、宿泊施設などを教えてくれるだけでなく、コンシェルジュのように、予約やチケット購入をしてくれるようになるでしょう。
3Dアバターで診療が変わる: 誤診や医療事故の問題も社会的に関心の高いテーマとなっています。ここで予測しているイノベーションは、医師の診断能力を劇的に向上する可能性を秘めています。多くの場合、患者が医師のもとを訪れて胸の痛みを訴えると、医者は過去に思い当たることはないかを尋ねて検査を行うとともに、紙のカルテまたは電子カルテを参照して診断します。そのため、患者の病歴の全体像や、同じような症状を訴えた患者の記録にはなかなか辿りつけないケースがほとんどです。 一方で、過去の通院履歴、血液検査結果、処方した薬、MRI、レントゲン、その他あらゆる医療記録が、その患者のアバター(自分の3D分身)の中で電子的に整理されるようになれば、医師はアバターの特定の部位(例えば心臓など)を「クリック」して、すべての病歴に即座に目を通すとともに、心音、レントゲン、心電図、MRIといった医療画像を含む、あらゆる情報から病気を多角的に診断することができるようになります。また、同様の体質や持った何千何万もの患者の症例との比較が容易になり、より正確な判断に基づいた治療を行うことができるようになるでしょう。