筋肉を麻痺させずに痛みを感じる神経だけを麻痺させる麻酔薬が実現しそうでです。これが実現できれば手術した部分をすぐに動かせる、しかも痛みは感じない。そんな新しいタイプの麻酔薬の開発につながる局所麻酔の方法を、米ハーバード大などのグループが見つけたようです。4日付英科学誌ネイチャーで発表されます。
現在の局所麻酔は痛みを感じる神経だけでなく、運動神経などすべての神経の働きを抑えてしまう。体を動かしたり温度を感じたりできないのが難点だった。 研究グループは、痛みを感じる神経細胞の多くに、唐辛子の主成分「カプサイシン」を受け止めるたんぱく質があることに注目。このたんぱく質にカプサイシンがくっつくと、細胞膜に穴をあけたような構造になる。グループは、この穴を通して細胞に入り込み、神経細胞の興奮を抑えることができる分子を見つけた。 ラットの足に、カプサイシンとこの分子を注射すると、痛みを感じなくなったが、運動神経は正常で足を動かし続けることができた。 しかし、この話題を聞いて一瞬気になることが頭を過りました。人は痛みを感じることで身体の危険を察知して危険な動作などの回避行動をとることで生き延びてきたと言われています。確かに現代では危険な状態となった際にも生命の危機は周囲の協力など医療の発達で回避できる時代になっています。 しかし、この生命の危険を回避することが無い場合に、この新麻酔薬が悪意を持った行動に用いられる(戦争行為)などの場合には、痛みを感じない戦士が誕生するという悲劇を感じます。よくコミックなどで痛みを感じない戦闘が描かれ虐殺行為に繋がる描写がありましたが、そのようなことに活用されないことを祈ります。 ■ 英科学誌ネイチャー