日本GP直前の9月26−28日に初めてF1を開催するシンガポールでは、世界選手権開催59年目にして初の夜間GPとなる。アジアでの日中開催では、欧州で早朝となるため、テレビ放送などに配慮。FIAはすでに照明器具のテストを行ったが、選手の間からは降雨時などの安全性を疑問視する声も出ている。
F1シンガポールGP開催決定‐市街地で初の夜間レース
シンガポール政府は、2008年度よりシンガポールでF1を開催すると発表した。コース正式発表−61周で反時計回りとなる。 FIA(国際自動車連盟)との契約期間は5年で、その後の契約延長も検討できるという。欧州でのテレビ視聴率に配慮し、初の夜間開催となる見込み。コースは市街地の一般道で、ラスベガス・サンズが2009年の開業をメドに建設を進めているカジノリゾート地区ほど近いマリナベイエリア。 シンガポールGP社(50 Cuscaden Road)は夜間開催の承認に先駆け、10月16日にイタリアの照明・通信会社「ヴァレリオ・マイオリ社」にサーキットの照明のオペレーションに関する委託契約を交わしていた。同社の計画では、1,500個の照明器を4メートル間隔で全長約5キロのサーキットに設置し、10メートル上方からコースを照らすという。照明器は3,000ルクスの明るさがあり、通常のスタジアムに較べて約4倍の明度が期待できる。同社のマイオリ代表は「ドライバーの安全が第一。高速で運転するドライバーの目に照明が直接当たらないように照明のアングルに配慮しなければならない」と話している。 照明用の電源には、通常の電力ではなく発電機が使用されることについて、「シンガポールの電力システムが信頼に足るものであることは承知しているが、レース中の停電は許されない」として、「12機のツイン型発電機を配置することで、万が一の故障にも対応できる体制を整える」という。同社は、照明用の機材の95パーセントをシンガポールの地元企業から購入するという。
2008年9月に初開催されるF1シンガポールGPを主催するシンガポールGP社(50 Cuscaden Road)は12月8日、マリーナベイエリアに建設中の大観覧車「シンガポール・フライヤー」(30 Raffles Avenue)と事業提携すると発表した。 ■シンガポールGP 公式サイト ■F12008年の主な新規定 【予選方式】 全車が出走する第1部を15分から20分に延長、上位10台のみが走る第3部を15分間から10分に短縮する。ルール上、多量の燃料を積んでスタートする必要がある第3部では、車体を軽くするため無駄に燃料を消費する行為が環境面などから批判されていた 【ギアボックス】 今季から全選手が同じギアボックスを4大会連続で使用。期間中に交換した選手は決勝グリッド5番手降格となる。ただし完走できなかった選手は、次大会で罰則を受けずに新品を使用できる 【エンジン開発】 コスト削減のため、各チームとも3月31日までに国際自動車連盟(FIA)に申請した仕様のエンジンを2017年までの10年間、使用する 【電子制御】 FIAが承認した全チーム統一の電子制御ユニット(ECU)を使用。コンピューター技術によるチーム格差を縮め、違法な行為やプログラミングを監視しやすくする 【電子補助装置の禁止】 後輪の空転を緩和するトラクション・コントロールや、スタート時のエンストなどを防止するローンチ・コントロールを禁止。よりドライバーの技術を反映させ、追い越しの機会を増やすため。ただしスタートや加減速時にミスや事故が増える可能性 F1シンガポールGP 初の夜間公道レース開幕! F1シンガポールGP 初の夜間公道レース開催で安全性に疑問? F1シンガポールGP、公道サーキットにFIAより暫定許可が降りる