ロシア軍のルクシン参謀次長は11日、国営テレビに出演し、同軍が世界で最も強力な気化爆弾の投下実験に成功したと言明した。破壊力は「核爆弾に匹敵する」としている。気化爆弾は燃料を空中に散布し、点火することで大爆発が発生。衝撃波と高温、急激な気圧の低下によって敵を殺傷するもので、通常兵器の中で最も威力が大きい爆弾として知られる。
【燃料気化爆弾】 揮発性及び引火性の高い液体(酸化プロピレン等)を空気中で放出して霧状にし、適度な濃度で起爆して衝撃波を発生させる爆弾。危害範囲は広範囲に渡り、直撃を避けた人間や軟目標にも多大な被害を与えられる。 ベトナム戦争でアメリカ軍が実用化し、それ以後湾岸戦争やイラク戦争でも使用されたと言われる。その爆発を見たイラク兵のみならず、イギリスの特殊部隊「SAS」の隊員までもが核兵器と勘違いをした程である。また、その後イラク軍の前線に「同じ爆弾を投下する」といったビラをまいたところ大勢のイラク兵が投降したという逸話がある。 「周りの酸素を奪い、生物を苦しませながら窒息死させる」と書かれている場合があるが、実際には地上で爆発の衝撃と熱を受けた者はその時点でほぼ死滅すると考えられ、爆発で生き残った者が窒息死するかどうかは定かではない。 しかし、地下壕や洞窟などの中に入っていて衝撃を免れ生き延びた場合、爆発によって奪われた酸素は直後に周りから流れ込んでくるため、「酸欠で」死ぬことはありえないと考えられる。 クラスター爆弾と同様の「非人道的兵器」として廃棄運動も行われており、戦術核に次ぐ威力を持つという一部の人々の見解から「貧者の核爆弾」という言葉もある。 この「威力」が何の事なのかは必ずしも明瞭ではないが、危害範囲の半径がしばしば数百メートルに及ぶというだけで民間人や歩兵にとって「常軌を逸した『威力』」なのは間違いない。