地球でほぼ10万年周期で起きる氷期と間氷期のサイクルが、地球の公転軌道の変化などで生じる日射量の増減に連動して起きていることを、国立極地研究所や東北大などの研究チームが突き止めた。今後の気候変動を予測するのに役立ちそうだ。23日発行の英科学誌ネイチャーに発表した。 極地研の川村賢二助教らは、90〜96年に南緯77度の南極のドームふじ基地で、深さ2503メートル分の氷床コアを採取、氷の中に残る過去約36万年分の気泡(空気)を分析、当時の雪の温度と二酸化炭素(CO2)濃度の変動を推定した。 一方、他の惑星の引力の影響で、数万年単位で変化する太陽からの距離や地球の地軸の傾きから、北半球の日射量の変動を割り出した。北半球の日射量が増大する時期に南極の気温とCO2濃度が上昇するなど、日射量変動とコア分析で推定した雪温やCO2濃度の変動がよく一致した。 この結果は、氷期と間氷期が、地球の公転の変化などによる北半球の夏の日射量の変動をきっかけにして起きるとした「スノーボールアース(ミランコビッチ理論)」を具体的データで裏付けたことになる。
ミランコビッチ説 地球には過去に何度も氷河期とよばれる気温の低い時期がありました。7億年ほどまでの氷河期は地球のすべての表面が氷に覆われた「全球凍結」という超氷河期が頻繁にあったこともわかっています。このような地球を「スノーボール・アース」といいます。 約6億年前のカンブリア紀直前にスノーボールを脱した地球はその後も何度かの氷河期を経験しましたが、全球凍結はおこっていません。この原因は太陽の進化によって放射される熱エネルギーの総量が増加したためと考えることができます。 顕生代(カンブリア紀以降現在まで)には全球凍結はおこりませんでしたが、古生代末には生物種の90%以上が絶滅する大絶滅がおこりました。この原因については天体の衝突という考え方もありますが、氷河期の到来による氷河の発達→海水の減少→大陸棚の消失→植物プランクトンの死滅→酸素欠乏 といった原因が考えられています。 中生代には目立った氷河期はありませんが、新生代になって強い氷河期が何度も到来しています。過去200万年の第四紀は氷河期が普通で、氷河期と氷河期の間である間氷期のほうが短く、現在は約1万年前に終わった氷河期(ヴュルム氷期)と次に来る氷河期の間氷期と考えられています。ただし間氷期とは言わず後氷期といいます。