「宙に浮いた5000万件の年金記録」を保存している社会保険庁の「年金記録システム」コンピューターシステムを巡り、契約書がないまま、年間840億円超の保険料や公費が業務委託先のNTTデータに支払われていた。契約書や契約内容の取り決めすら何もない状態で、本来契約に基づいた作業が行われたか調べて支払うべきお金(税金)を、NTTデータから請求されるままに支払う異常な状況に、野党からは「あまりにずさん…これが契約?なのか。」と批判が上がっている。
年金記録システム「NTTデータ」1社と年800億円で随意契約委託。
日曜返上で年金相談に殺到した人々を逆上させた、10日発生の社会保険事務所のシステム障害。社保庁は全国23県、計130カ所で起きたトラブルの原因を「ホストコンピューターのプログラムミス」なんて言い訳しているが、大ウソだ。そもそも、われわれの年金記録が詰まったオンラインシステムが超オンボロなのだ。専門家が言う。
「なんと20年前に開発された旧式をいまだに使い続けているのです。『レガシーシステム』と呼ばれるもので、巨大なホストコンピューターを軸に専用線網で端末を結んでいる。パソコンとインターネット技術を駆使した『オープンシステム』が主流のこの時代、はっきり言って骨董品です」
システムはポンコツなくせに、経費はベラボーに高い。大手保険会社のシステム経費はせいぜい200億円なのに、社保庁は「今年度予算は1382億円」(総務部経理課)と7倍近い。しかも、社保庁はシステム開発・管理をほぼ全面的に「NTTデータ」1社と随意契約で委託。NTTデータへの支払いは毎年800億円で、NTTデータ全体の売上高の約10%を占め、過去20年間の累積契約額は1兆円を突破する。NTTデータは面倒みているだけで800億の収入があり、随意契約で契約の更新も金額の見直しもないため、おいしい商売だと思って何も言わなかったのだろう。