国際日本文化研究センター(日文研、京都市)の小松和彦教授(民俗学)らの研究チームは26日、国内に現存する妖怪の画像資料をデータベース化し、「怪異・妖怪伝承データベース」としてネット上で一般公開する構想を発表した。
今後3年以内に、日文研所蔵の絵巻などから500種以上の画像を収録する方針。また、近世以降の伝承や文献などの情報を集め、02年から公開されている「怪異・妖怪伝承データベース」も収録件数を従来の約1.5倍の約3万5000種に増やし、同日から公開した。 伝承データベースは日文研のホームページから利用できる。
妖異・妖怪とは 高度成長期以降、急速に私たちの周囲から消え去っていった河童や天狗、鬼、あるいは不思議な能力をもった狐や狸、蛇、猫といった動物たち――昔の人はこれらを「もののけ」とか「化け物」、「変化・魔性の物」などと呼んで恐れていました。その伝承世界は、日本人の心の「ふるさと」の一翼を担ってきたと言っても過言ではないでしょう。このデータベースは、そうした「もののけ」「化け物」等についてのデータベースです。 「怪異・妖怪伝承データベース」と名付けることになったのは、次のような理由からです。 ある人がある所で、不思議だ、奇妙だ、と思うような現象に遭遇したとしましょう。その現象は、音だったり、臭いだったり、姿かたちであったり、あるいはその組み合わせであったりです。たとえば、気味の悪い不思議な音がしたとか、生臭い臭いがしてきたとか、グロテスクな姿かたちのものが出現したとき、そうした現象に遭遇した者が、神とか霊といった存在の仕業ではないかと判断したとしましょう。そのとき、私たちはその現象に「怪異・妖怪」現象というラベルを貼ることが可能となります。 データは、民俗学関係の雑誌と各県史・民俗編及び民俗誌に近い性格をもった随筆類から、体験談もしくは体験談の集積として形成されたと思われる伝承、すなわち「どこそこには妖怪が出る(と伝えられている)」という伝承を拾い集めています。しかしながら、昔話のように、明らかにフィクションと思われる話は除いてあります。昔話のなかの「怪異・妖怪」現象・存在については、このデータべースとは別途に作成する必要があるでしょう。