大ヒットシリーズ『ボーン・アイデンティティー』『ボーン・スプレマシー』のシリーズ3作目『ボーン・アルティメイタム』記憶喪失の男が、嵐の地中海沖で救出された。その男の名はジェイソン・ボーン。究極の暗殺者を育成する、政府の極秘計画トレッド・ストーンが生んだ“殺しの芸術品”だ。しかし、計画そのものが闇に葬られたとき、彼の存在は“邪魔者”となり、次々と彼の元に暗殺者が送り込まれるのだった。スイス、フランス、イタリア…、激しい追跡と銃弾をかわしながら、何とかインドでひとりの女性と平穏な日々を送っていた。
そんなある日、新たに送り込まれた暗殺者によって、ついに最愛の女性の命を奪われてしまう。彼の怒りと哀しみは最高点に達し、自分を陥れたすべての陰謀を暴くため、たった一人、組織に最後通告(=アルティメイタム)を叩きつける!
第1作 ボーン・アイデンティティー
ロバート・ラドラムが1980年に発表したベストセラー小説、『暗殺者』を大胆にアレンジして映画化された『ボーン・アイデンティティー』は、最初から最後までスピード感あふれる展開を見せている。
複雑に絡み合ったストーリーは、自分の名前、職業、最近の行動に関する記憶さえ失くしたCIA工作員のジェイソン・ボーン(マット・デイモン)が、チューリッヒで無一文のドイツ人旅行者(『ラン・ローラ・ラン』で主演のフランカ・ポテンテ)を巻き込んで、失われたアイデンティティを探し求めるところから急展開を見せる。
CIAの上官(クリス・クーパー)が殺し屋を送り込み、ボーンを抹殺して、失敗に終わったミッションを闇に葬ろうとするが、ボーンは強靭な肉体と訓練で身につけた戦闘術を駆使しながら対抗し、パリを目指す。
ダグ・リーマン監督(『Go』)によって原作の複雑なストーリーへ人物描写に対する独特の視点が吹き込まれ、デイモンとポテンテのユーモラスでスリルを求めるという互いに共鳴する部分が、息詰まるアクションシーンの中で調和を見せている。
1988年にはTV用映画としてリチャード・チェンバレンが主演したこともある本作品は、新進気鋭の俳優たちによる演技が光り、知性にあふれながら大衆にもアピールする興奮場面が全編にわたって繰り広げられている。
第2作 ボーン・スプレマシー
マット・デイモンが記憶をなくした元CIAのエージェントを演じる、シリーズ第2弾。前作で自分の素性に感づいた主人公のボーンは、恋人とインドに潜んでいたが、何者かに追われ、恋人が命を落としてしまう。自分が、ベルリンで起きた殺人事件の容疑者とされていると知った彼は、自らCIAを挑発するかのようにイタリアからドイツへと向かう。
CIA時代の記憶は戻らないが、殺人兵器として訓練された本能は忘れていないボーン。その肉体技は前作以上にキレを増したようで、容疑者として拘留された部屋からの脱出劇など目にも止まらぬ早業に息をのむ。
監督は1作目と交代したが、このシリーズの持ち味である、見ごたえのあるアクションは受け継がれた。とくにモスクワでのカーチェイス(撮影はドイツのポツダム)は、至近距離のカメラも多用され、臨場感とスピード感が並大抵ではない。
主演のデイモンは、日本では好き嫌いに分かれるタイプの俳優だが、一見、アクションが苦手なイメージの彼が超人的なスパイを演じることで、観客は無意識のうちに共感度を高めていると思う。このシリーズ、観ないで済ますのにはもったいない本格派のスパイ・アクションである。
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ボーン・アルティメイタム
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ハリウッド俳優の出演料当たり興収、首位はM・デーモン
米経済誌フォーブスは6日、ハリウッドスターの映画出演料当たり興行収入のランキングを発表した。首位はマット・デーモンで、トム・ハンクスやトム・クルーズの2倍以上の高収益俳優であることが分かった。
記憶喪失の元米中央情報局(CIA)工作員が過去を取り戻そうとする人気アクション映画「ボーン」シリーズ3部作では、マット・デーモンの出演料1ドル当たりの興収は29ドルとなっている。
フォーブス誌によると、「ボーン」3部作のうち最初の2作品の世界全体での興行収入およびDVD売上高は総額8億5000万ドル(約1000億円)。最新作「ボーン・アルティメイタム」は、8月3日─8月5日の全米映画興行収入が7020万ドルでランキング初登場首位になっている。
女優トップは全体で5位につけたジェニファー・アニストン。出演料1ドル当たりの興収は17ドルとなった。
また、アニストンの元夫ブラッド・ピットが同24ドルで2位に、元恋人のビンス・ボーンが同21ドルでジョニー・デップと並び3位に入っている。
そのほかでは、トム・ハンクスが同12ドル、トム・クルーズが同11ドル、ウィル・スミスが同10ドルとなっている。