観客席は満員。F1デビュー6戦目にしてポールポジションを獲得したハミルトンに注目が集まるレースとなる。ルノーのコヴァライネンがエンジン交換で10グリッド降格となり22番グリッドからのスタート、予選22位だったアルバースはピットスタートを選択している。
現地時間午後1時、フォーメーションラップスタート。全車が固いほうのタイヤを選択している。
各車グリッドにつき、シグナルがブラックアウト。レーススタート!
グリッド上でホンダのバトンが動けない。スタートしたクルマは1コーナーへ。アロンソが1コーナーを曲がれずにコースアウト、3番手でコースに復帰。佐藤が1つ順位を上げて10番手。
1周目を終えた時点での順位は、ハミルトン、ハイドフェルド、アロンソ、マッサ、ロズベルグ、ライコネン、フィジケラ、クビサ、ウェーバー、佐藤、トゥルーリ、リウッツィ、バリチェロ、クルサード、ブルツ、スピード、デビッドソン、コヴァライネン、シューマッハ、スーティル、アルバース。バトンはこの時点でまだスタートできていない。
2周目で、すでにトップのハミルトンと2番手のハイドフェルドの差が2秒以上に開いている。アロンソは蓋をされた格好で、ハミルトンにとっては楽な展開となっている。
3周目、コヴァライネンがデビッドソンをパス。ウェーバーがスピン。
4周目、バトンはレースをあきらめた模様。
5周目、トップハミルトンと2番手ハイドフェルドの差は1周につき0.5秒程度ずつ開いている。現在1分16秒台で走っているのはハミルトンのみ。
6周目、14位まで順位を落としていたウェーバーがチームメイトのクルサードをパス。ウェーバーはそのままその前にいるバリチェロに迫る。ハミルトンとハイドフェルドの差は現在4.6秒で、開く一方となっている。
8周目、ウェーバーが最終シケイン前でバリチェロをかわす。ウェーバーは好調な走り。
9周目、スピードの左フロントのサスペンションが曲がっている。そのままコース脇にクルマを止めてリタイヤ。ブルツとの接触によるもの。ブルツのマシンもリアウィングにダメージを負っている。
11周目、ハイドフェルドのラップタイムはハミルトンよりも1周につき1秒遅く、2人の差は8.3秒にまで広がっている。ハイドフェルドの後ろを走るアロンソにとっては苦しい展開。相変わらずハミルトンただ1人が1分16秒台で走行している。
12周目、コヴァライネンがブルツをオーバーテイクして15位に上がる。
18周目、ハミルトンが最後尾のアルバースを周回遅れにする。アロンソが1コーナーでコースアウトし、マッサに抜かれて4番手に後退。アロンソはたびたびこの1コーナーでコースから飛び出す様子が映し出されている。
20周目、ハイドフェルドが早くもピットイン。再び固いほうのタイヤで出て行く。
21周目、ハミルトンがピットへ。ライコネンの前、4番手に復帰。
22周目、セーフティーカーが出動。スーティルが壁にクラッシュした模様。このタイミングでアロンソとロズベルグがピットへ。ルールにより給油はできないが、タイヤ交換は可能。この2人はここで柔らかいほうのタイヤを消費する作戦か。
国際映像で、アロンソがこのピットストップで給油する様子が映し出される。タイミングによってはペナルティを課される可能性がある。
24周目、ピットレーンがオープンとなり、ここからは給油が許される。フィジケラ、佐藤、マッサ、ライコネン、クビサ、トゥルーリなどが続々とピットへ。
25周目、セーフティーカーのランプが消えて、この周の終わりにセーフティーカーが戻り、レース再開。
ここまでの上位の順位は、ハミルトン、ハイドフェルド、アロンソ、ロズベルグ、バリチェロ、クルサード、コヴァライネン、ブルツ、デビッドソン。
ロズベルグに対してペナルティが出されている。セーフティーカー中のピットインに関するものと思われる。
25周目、クビサが大クラッシュ。再びセーフティーカー。
セーフティカー導入中の給油によりアロンソとロズベルグと同じくペナルティが出されている。
このセーフティーカーの間にスーパーソフトタイヤを使ってまたソフトに戻すクルマもある様子。
33周目、レース再開。ハミルトン、ハイドフェルド、アロンソ、ロズベルグ、デビッドソン、ラルフ、ウェーバー、マッサ、フィジケラ、ライコネンというトップ10で1コーナーを回る。しかし、アロンソとロズベルグはこれから10秒ストップペナルティをこなさなければならない。
34周目、ライコネンがヘアピンでミスをし、佐藤がこれをパスして10番手に上がる。
36周目、ロズベルグとアロンソがピット入り、ペナルティをこなす。セーフティーカー後で隊列が詰まっていたこともあり、ほぼ最後尾での復帰となる。これで佐藤が8番手に上がる。
36周目、デビッドソンがピットへ。ピットの用意ができておらず、慌ててクルーが走る。また、1コーナーでトゥルーリとロズベルグが並んでコーナーに入り、2台ともがスピン。接触はしていない模様。
「ビーバーのことは残念だった(※コースを横切ったビーバーと接触した)。僕のことを待って飛び込んで来たんだと思うよ! あの時はセーフティーカーの後ろで3番手を走っていた。1ストップ戦略でコースもクリアだったのに、あれでフロントウィングにダメージを負ってしまった。スピードが出ていて見えなかったので、なぜ、フロントタイヤが突然ロックアップしたのか理解できず、ピットインせざるを得なかった。僕が突然入ってきたので、ガレージのスタッフたちも驚いていたが、すぐにその後の戦略を考えてくれた。セーフティーカーをオーバーテイクして周回を取り戻すように言われた。最終的にはとても楽しいレースになったよ。
37周目、クルサードがリタイヤ。
クビサの容体についての第一報が入る。メディカルセンターに移送されたクビサの容体は、命に別条はなく、スタッフと会話をしているとの情報がもたらされた。状態は安定しているとのこと。意識はあり、話はできるとのこと。ケガの程度などは不明。
38周目、佐藤が現在7番手。デビッドソンはトラブルのようで、まだピットから出てこない。
40周目、ラルフがピットに入ったことで、佐藤はさらに順位を上げて6番手。
44周目、フィジケラとマッサに対して審議の表示が出る。赤信号のときにピットレーンを出たことによるものと思われる。
46周目、アロンソが1分16秒395でファステストタイム。後ろから怒濤の追い上げを見せ、現在8番手。前を走る佐藤、ライコネンに迫ってきている。
47周目、クビサの状態は安定しているが、検査のためにモントリオールの病院へ運ばれたとの情報。
2回目のピットストップが始まる前の順位は、ハミルトン、ハイドフェルド、ウェーバー、マッサ、フィジケラ、佐藤、ライコネン、アロンソ、バリチェロ、シューマッハ、アルバース、ブルツ、リウッツィ、トゥルーリ、コヴァライネン、ロズベルグ、デビッドソン。
3度目のセーフティーカー
直後に予定されたピットインをしていた佐藤琢磨だが、セーフティカー導入中の給油禁止により給油ができないままタイヤを交換しただけでコースへ戻ることになった。再び給油のためにピットインする必要があり、順位を落としてしまう可能性があり、クルーもコースを叩き残念がる。
フィジケラとマッサにブラックフラッグの失格が言い渡された。
48周目、ハミルトンがピットイン。アルバースがフロントウィングを落としている映像が飛び込んでくる。
49周目、アロンソがライコネンの0.2秒後ろにつけてプレッシャーをかけている。
50周目、3回目のセーフティーカーが入る。
51周目、フィジケラに黒旗失格。ピットレーン出口の赤信号無視によるもの。マッサにも同じ理由で同じペナルティが出されている。
53周目、ライコネンとアロンソがぴったりとくっついたままピットイン。アロンソが先にピットアウト。佐藤も再度ピットイン。佐藤はこのセーフティーカーの間にスーパーソフトタイヤを消費。
54周目、レース再スタート。
55周目、リウッツィが壁にクラッシュ。4回目のセーフティーカーが入る。
58周目、ピットに入って出てきたところでトゥルーリがクラッシュ。リタイヤ。コースのダーティーな部分に乗ってコントロールを失った様子。
60周目、セーフティーカーが戻ってレースリスタート。
ハミルトン、ハイドフェルド、バリチェロ、ブルツ、コヴァライネン、ライコネン、シューマッハ、アロンソ、佐藤、ウェーバー、ロズベルグ、デビッドソンの順で1コーナーを回る。
アロンソがラルフをオーバーテイク。ここから最後の追い上げにかかる。
62周目、佐藤がラルフに仕掛けるも、抜くことはできない。
63周目、バリチェロがピットイン。佐藤が8番手。そしてブルツが3番手表彰台圏内に浮上!
66周目、佐藤琢磨の劇走がはじまった。佐藤がラルフをオーバーテイク! 7番手にポジションアップ。前のアロンソまでもまだ1秒差。
68周目、そして残り2周には、なんと佐藤琢磨がマクラーレンのアロンソを抜く劇的なシーンを演出して6位をゲットしてくれた。佐藤がアロンソをオーバーテイク!! これで6番手。さすがのアロンソも、スーパーソフトタイヤではソフトタイヤのスーパーアグリにかなわない。
そして、チェッカーフラッグ!
優勝は、F1デビュー6戦目のハミルトン。2位がハイドフェルド、3位はブルツという、フレッシュなメンバーの表彰台となった。
カナダGP決勝 ハミルトン優勝!4度のセーフティカー導入の荒れたレースを制す!
2007年ここまでの全6戦表彰台の成績。F1歴代4位の最年少優勝記録。
決勝
Pos. ドライバー コンストラクターズ Tyres Time
1 L・ハミルトン マクラーレン 1:44:11.292
2 N・ハイドフェルド BMW + 4.300
3 A・ブルツ ウィリアムズ + 5.300
4 H・コヴァライネン ルノー + 6.700
5 K・ライコネン フェラーリ + 13.000
6 佐藤 琢磨 スーパー アグリ + 16.600
7 F・アロンソ マクラーレン + 21.900
8 R・シューマッハ トヨタ + 22.800
9 M・ウェーバー レッドブル + 22.900
10 N・ロズベルグ ウィリアムズ + 23.900
11 A・デビッドソン スーパー アグリ + 24.300
12 R・バリチェロ ホンダ + 30.400
Did not finish
13 J・トゥルーリ トヨタ + 12 laps
14 S・スピード トロロッソ + 15 laps
15 G・フィジケラ ルノー + 18 laps
16 F・マッサ フェラーリ + 18 laps
17 C・アルバース スパイカー + 21 laps
18 D・クルサード レッドブル + 35 laps
19 R・クビサ BMW + 43 laps
20 A・スーティル スパイカー + 48 laps
21 S・スピード トロロッソ + 61 laps
22 J・バトン ホンダ + 70 lap
4位はコヴァライネン、5位ライコネン、6位佐藤、7位アロンソ、8位シューマッハ、9位ウェーバー、10位ロズベルグ、11位デビッドソン、12位バリチェロとなった。完走は12台という、近年まれに見る荒れたレースだった。
リタイヤしたのは、バトン、スピード、スーティル、クビサ、クルサード、アルバース、リウッツィ、トゥルーリ。そして、マッサとフィジケラは失格となった。
クビサは足を骨折しているとの情報。
次戦アメリカGPは、来週の日曜日に行われる。
佐藤琢磨、今季最高の6位入賞! SUPER AGURI2度目のポイント獲得!
第6戦カナダGPは、現地時間(以下、現地時間)10日、モントリオールのサーキット・ジル・ビルヌーブで決勝レースが行なわれ、SUPER AGURIの佐藤琢磨がレース終盤に華麗なオーバーテイクシーンを見せ、今季最高の6位に入賞した。
予選では11番グリッドと、開幕戦オーストラリアGPの10番手に次ぐ好位置を獲得した佐藤。決勝レースは、スタートでトヨタのヤルノ・トゥルーリを交わすと、その後も大波乱のレースの中で堅実な走りを見せ、レース中盤にはポイント圏内に浮上。3度目のセーフティーカー出動中には、2回のピットストップを行なってタイヤ交換の義務を果たし、レースで有利な固い方のタイヤを履いて終盤戦に突入した。
63周目に3番手を走っていたHondaのルーベンス・バリチェッロがピットインしたことで、再びポイント圏内の8番手まで順位を上げると、66周目に最終シケイン手前のストレートでトヨタのラルフ・シューマッハを交わして7番手に。さらに残り2周のところで、マクラーレンの王者フェルナンド・アロンソを、またも最終シケイン手前のストレートで捉え、オーバーテイク。このまま6位でチェッカーを受け、第4戦スペインGPで8位入賞して以来、今季2度目のポイントを獲得した。
佐藤はチームのプレスリリースを通じて「素晴らしい週末だった。今回のレースでは様々な出来事があった。クビサのことは本当に心配だったが、彼の無事を聞いてホッとしている。F1のセーフティーチームに心から感謝したい。あのアクシデントの後、僕はレースに再び集中した。激しい戦いとセーフティーカーの導入が渾然一体となったレースになったけれど、僕たちの戦略が成功した。ある時はセーフティーカーが導入になった直後のチャンスを見計らってピットインすることができた。ピットレーンがまだ開いていたんだ。チームも状況を把握していて、すぐに対応してくれた。最後の数周は最高の気分だった。トップ集団と戦うことができたし、自信を持ってオーバーテイクして、ポジションを取り戻すことができた。僕のこれまでのレースキャリアの中でも最高に素晴らしい日だったし、本当に素晴らしいリザルトを手に入れることができた。チームのメンバー、そして僕たちを支援してくれているすべての人々に心から感謝したい」と喜びを表した。
設立2年目のSUPER AGURIにとっては過去最高の順位でのフィニッシュに、鈴木亜久里チーム代表は「完ぺきな1日だった。チームも琢磨も3ポイントを獲得することができた。今日のチームの仕事ぶりは本当に素晴らしかった。今日もチームの全員が素晴らしい仕事をしてくれた。彼らのことを心から誇りに思う」と、胸を張っていた。
大クラッシュのR.クビサ、軽い脳しんとうと右足首捻挫の軽傷
BMWザウバーのロバート・クビサは、現地時間(以下、現地時間)10日、第6戦カナダGPの決勝レースで大クラッシュを喫したが、病院での検査の結果、軽い脳しんとうと右足首の捻挫の軽傷と診断された。『ロイター』通信、イギリスのモータースポーツ専門誌『Autosport』(電子版)が伝えている。
R.クビサは、カナダGP決勝レースで1度目のセーフティーカーが解除になった直後の27周目、ヘアピンの手前でトヨタのヤルノ・トゥルーリと接触。宙に浮いたマシンはイン側のコンクリートウォールに激突して跳ね返り、ひっくり返った状態でコースを横切りながら、反対側のウォールに当たってようやく動きを止めた。
すぐさま2度目のセーフティーカーが出動し、マシンから救出されたR.クビサはサーキット内の医療センターへ。意識はあり、安定した状態だったが、検査のためモントリオール市内の病院にヘリコプターで運ばれた。
一時は脚を骨折しているとの情報が流れたが、病院の発表によると、事故による重大な影響は見受けられず、軽い脳しんとうと右足首の捻挫の軽傷を負ったのみで、生命にはなんら危険はないとのこと。看護のために一晩入院し、11日午前中に再検査を行なうが、問題がなければその日のうちに退院できる見込みである。
BMWザウバーのモータースポーツ・ディレクターを務めるマリオ・タイセン氏は、リリースを通じて「最初の報告によると、ロバートはあの重大なアクシデントからほとんど無傷で救出された」と語り、胸をなで下ろしていた。しかし、15日に開幕が迫っている第7戦アメリカGPにR.クビサが出場できるかどうかは明らかにしていない。
前法王が「奇跡」起こす?=F1ドライバー、大事故から生還
大クラッシュからの生還は、前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世による「奇跡」だった?−。DPA通信は28日、先に行われた自動車レースのF1世界選手権カナダ・グランプリ(GP)決勝で、激しい事故を起こしたものの、奇跡的に右足首のねんざだけで済んだロベルト・クビツァ選手が「奇跡」に関連してローマ法王庁で証言する可能性があると報じた。
ポーランド人初のF1ドライバーである同選手は、母国出身の前法王の名前が書かれたヘルメットを愛用。時速230キロで走行中の事故で、マシンが大破したレースでも着用していた。このため、前法王による奇跡を証明する一環として、証言を求められる可能性があるという。