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June 10, 2007 space
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桑田 電撃のパイレーツメジャー昇格 NYで松井と対決

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39歳のオールドルーキー桑田真澄投手が、緊急メジャー昇格を果たした。パイレーツ傘下の3Aインディアナポリスで3試合連続無失点の好投を続け、8日の試合後に昇格を知らされた。背番号は巨人時代と同じ「18」。この日にパ軍がヤンキース戦を行っているニューヨークへ移動。10日にも中継ぎでデビューする可能性がある。21年間在籍した巨人を昨季退団し、米球界へ挑戦した右腕が、ついに夢の舞台へ立つ。
 
 パイレーツ傘下3Aインディアナポリスの桑田真澄投手(39)のメジャー昇格が決まった。背番号は巨人時代と同じ「18」を背負う。9日のヤンキース戦(ニューヨーク)からチームに合流。知らせを聞き、桑田は「こんなに幸せなことって、ない。涙が出そう」と二十歳から思い描いていた夢がかない、感激と興奮で男泣き寸前になった。オープン戦で痛めた右足首じん帯断裂から75日。マイナーでの3試合連続好救援の実績を手に、39歳のサムライが夢のマウンドへ向かう。
 

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kuwata20070610.jpg 桑田は9日午前6時、スーツに身を包み、インディアナポリス国際空港にいた。「とりあえずニューヨークへ行きます。家族には電話しました。あきらめないで頑張って良かったな。こういう機会を得て信じられないくらいうれしい。チームの一員として頑張る」。前夜に聞いた突然の朗報で、3A初の遠征となるはずだったシャーロットへの便はキャンセルした。背番号は桑田の代名詞といえる「18」だ。
 
 深夜の一本の電話に、桑田のハートが熱くなった。この日、ツインズ傘下3Aロチェスター戦で登板機会がなく、午後10時半には帰宅し、部屋でのんびりしていた。翌日から3Aでの初遠征が控えていた。午前6時半に球場集合の出発に、「早く寝ないと」と思っていた午後11時半ごろ、携帯電話が鳴った。
 
 3Aで打撃コーチを務めるミューレン氏(元ヤクルト)からだった。「明日からメジャーに合流してもらうことになった」。耳を疑った。米国での公式戦初の遠征先は、ホワイトソックス傘下3Aシャーロットの本拠、ノースカロライナ州シャーロットではなく、パイレーツが交流戦を行っているニューヨークになったのだ。
 
 午前0時を回ってから再び球場に戻り、遠征先が変わった自分の荷物を引き取った。「まさかこんなに早く、こういう時を迎えられるとは…。最低1か月はここ(3A)にいると思っていたから」1日に3Aに合流し、わずか8日目。翌日の遠征の荷物出しの作業をしていた球団関係者たちから「GOOD LUCK」の言葉を送られた。チームメートに別れを告げるチャンスもなく、ようやく慣れてきたロッカーを後にした。
 

kuwata_070610.jpg

 
 ヤ軍クレメンスの復帰戦という記念の試合でメジャーに昇格する。この日の登板は難しそうだが、翌10日の試合には中継ぎでの登板が十分あり得る。メジャーデビューがヤンキースタジアム、しかも巨人時代に一緒に汗を流した松井と対戦する期待が高まってきた。
 
 桑田の実力を認めていた首脳陣が懸念したのは、負傷した右足首の回復具合だった。トレーシー監督は6日に「焦らせることはしない」と話したばかりだったが、7日の登板が転機となった。2回1/3を一塁ゴロでベースカバーに入ること3度。全力疾走をしても、問題なかった。翌日になっても痛みはなく、ゴーサインを出すことに障害はなくなった。1日に3Aに合流したばかり。「いずれメジャーの打者は桑田の力を知ることになる」という指揮官の予告は、予想以上に早く実現することになった。
 
 パ軍の救援陣は開幕から苦しんできた。守護神はトーリスからキャップスと交代。アーマスは不振のシャコンに代わり先発ローテーションに入った。5月になって元巨人のワズディンは故障者リスト(DL)入り。3Aから上げたロバーツ、シャープレスはまったく期待外れの結果に終わっていた。トーリスが不調でDL入り。代わって白羽の矢が立ったのが桑田だった。
 
 中継ぎの条件は「ストライクの取れる右腕」だった。桑田は5日の登板で全13球をストライクにしてみせた。3Aでは6日間で3試合に登板し、計4回1/3を無失点。独特の大きく落ちるカーブ「レインボール」をはじめ、制球力がマイナーのレベルではないことは明らかだった。
 
 「そんなに簡単じゃない」と、メジャー昇格へ腰を据えて準備するために、インディアナポリスで3か月契約のアパートに引っ越したのは3日前のこと。2日に本拠でのシャーロット戦で“米国デビュー”してから、マイナーでたった3試合、計4回1/3、48球を投げただけでのスピード昇格となった。
 
 オープン戦終盤の3月26日に右足首じん帯断裂のけがで戦列を離れた。約2か月のリハビリ生活を終え、やっと試合に復帰したばかり。「本当に、こんなに幸せなことってない。涙が出そう」桑田は感極まるのを必死に抑えるように、笑った。「二十歳のころからの夢だからね」それがかなうマウンドは、すぐそこにある。男の涙は、まだとっておく。桑田が夢見た本当の戦いが、いよいよ始まる。
 
 メジャーデビューでは日本人最年長となる桑田が「39歳の奇跡」を実現する。
 
 桑田がメジャーデビュー! 松井秀との初対戦は四球
 
kuwata_20070611.jpg ピッツバーグ・パイレーツの桑田真澄投手が10日、敵地でのニューヨーク・ヤンキース戦の5回についにメジャーデビュー。読売巨人軍時代の同僚、松井秀喜外野手との対戦が実現したが、結果は四球だった。なお桑田はAロッドことアレックス・ロドリゲス三塁手に2ランを浴びるなど、2イニングを投げて2失点という投球内容。
 
 桑田と松井の初対決は、桑田がAロッドに2ランを許した直後の6回、2死走者なしで実現。しかし初球で見逃しストライクを取ったものの、そこから4連続ボールで四球となり、松井は一度もバットを振ることがなかった。
 
 桑田は6−8とパイレーツがリードを許した5回から3番手として登板。待ちに待ったメジャーのマウンドで先頭のメルキー・カブレラ中堅手をカウント0−1からセンターフライに打ち取ると、続くミゲル・カイロ一塁手もサードゴロに仕留める。3人目のウィル・ニエベス捕手には三遊間の深い場所へのゴロを打たれたものの、これをホセ・カスティーヨ遊撃手が好守でアウトとした。
 
 続く6回もマウンドに上がった桑田。ジョニー・デーモン外野手を浅いライトフライに仕留め、デレク・ジーター遊撃手はまたもカスティーヨの好守でショートライナーに打ち取ったが、3番ボビー・アブレイユ右翼手をフルカウントからの四球で歩かせると、4番のAロッドに初球をライトスタンドへ運ばれてしまう。さらに桑田は松井を歩かせたが、それでも桑田は続くロビンソン・カノ二塁手をショートフライに打ち取り、それ以上の失点は免れた。

 
 松井秀「不思議な感じでした」
 
 ヤンキースの松井秀喜は10日、ニューヨークでのパイレーツ戦に「5番・左翼」で先発、4打数2安打2打点だった
 
 ロドリゲスが放った一発が、桑田との対決を実現させた。六回二死だった。松井秀はゆっくりと打席に入った。
 
 「不思議な感じですよね。いつも後ろ(外野)から見てましたから」。初球ストライクの後、4球連続でボール。桑田と初めての真剣勝負は、四球だった。
 
 五回の守備で定位置についてパ軍のブルペンを見ると、桑田が投球練習を始めていた。「次から投げるんだ」。五回の攻撃は7番から。5番の自分までは回ってこないと思っていたが、運命はしっかりと2人の対決を用意していた。
 
 “元同僚対決”は、すでにレッドソックスの岡島と済ませている。しかし、相手への感情は大きく違った。「オカジ(岡島)とは対戦する予測が立ってたけど、桑田さんと対戦できるとは思ってなかったから」。リーグが違う上に、桑田はマイナー契約からのスタート。対決が実現するのは奇跡といっていい。「ヤンキースタジアムで対戦できたのは大きな思い出」と感慨深げだった。
 
 試合では一回に左中間への2点適時打を放ち、メジャー自己最長の6試合連続打点。チームの6連勝に貢献し、桑田に存在感を示した。

 
 
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