39歳のオールドルーキー桑田真澄投手が、緊急メジャー昇格を果たした。パイレーツ傘下の3Aインディアナポリスで3試合連続無失点の好投を続け、8日の試合後に昇格を知らされた。背番号は巨人時代と同じ「18」。この日にパ軍がヤンキース戦を行っているニューヨークへ移動。10日にも中継ぎでデビューする可能性がある。21年間在籍した巨人を昨季退団し、米球界へ挑戦した右腕が、ついに夢の舞台へ立つ。 パイレーツ傘下3Aインディアナポリスの桑田真澄投手(39)のメジャー昇格が決まった。背番号は巨人時代と同じ「18」を背負う。9日のヤンキース戦(ニューヨーク)からチームに合流。知らせを聞き、桑田は「こんなに幸せなことって、ない。涙が出そう」と二十歳から思い描いていた夢がかない、感激と興奮で男泣き寸前になった。オープン戦で痛めた右足首じん帯断裂から75日。マイナーでの3試合連続好救援の実績を手に、39歳のサムライが夢のマウンドへ向かう。
桑田は9日午前6時、スーツに身を包み、インディアナポリス国際空港にいた。「とりあえずニューヨークへ行きます。家族には電話しました。あきらめないで頑張って良かったな。こういう機会を得て信じられないくらいうれしい。チームの一員として頑張る」。前夜に聞いた突然の朗報で、3A初の遠征となるはずだったシャーロットへの便はキャンセルした。背番号は桑田の代名詞といえる「18」だ。 深夜の一本の電話に、桑田のハートが熱くなった。この日、ツインズ傘下3Aロチェスター戦で登板機会がなく、午後10時半には帰宅し、部屋でのんびりしていた。翌日から3Aでの初遠征が控えていた。午前6時半に球場集合の出発に、「早く寝ないと」と思っていた午後11時半ごろ、携帯電話が鳴った。 3Aで打撃コーチを務めるミューレン氏(元ヤクルト)からだった。「明日からメジャーに合流してもらうことになった」。耳を疑った。米国での公式戦初の遠征先は、ホワイトソックス傘下3Aシャーロットの本拠、ノースカロライナ州シャーロットではなく、パイレーツが交流戦を行っているニューヨークになったのだ。 午前0時を回ってから再び球場に戻り、遠征先が変わった自分の荷物を引き取った。「まさかこんなに早く、こういう時を迎えられるとは…。最低1か月はここ(3A)にいると思っていたから」1日に3Aに合流し、わずか8日目。翌日の遠征の荷物出しの作業をしていた球団関係者たちから「GOOD LUCK」の言葉を送られた。チームメートに別れを告げるチャンスもなく、ようやく慣れてきたロッカーを後にした。
桑田がメジャーデビュー! 松井秀との初対戦は四球 ピッツバーグ・パイレーツの桑田真澄投手が10日、敵地でのニューヨーク・ヤンキース戦の5回についにメジャーデビュー。読売巨人軍時代の同僚、松井秀喜外野手との対戦が実現したが、結果は四球だった。なお桑田はAロッドことアレックス・ロドリゲス三塁手に2ランを浴びるなど、2イニングを投げて2失点という投球内容。 桑田と松井の初対決は、桑田がAロッドに2ランを許した直後の6回、2死走者なしで実現。しかし初球で見逃しストライクを取ったものの、そこから4連続ボールで四球となり、松井は一度もバットを振ることがなかった。 桑田は6−8とパイレーツがリードを許した5回から3番手として登板。待ちに待ったメジャーのマウンドで先頭のメルキー・カブレラ中堅手をカウント0−1からセンターフライに打ち取ると、続くミゲル・カイロ一塁手もサードゴロに仕留める。3人目のウィル・ニエベス捕手には三遊間の深い場所へのゴロを打たれたものの、これをホセ・カスティーヨ遊撃手が好守でアウトとした。 続く6回もマウンドに上がった桑田。ジョニー・デーモン外野手を浅いライトフライに仕留め、デレク・ジーター遊撃手はまたもカスティーヨの好守でショートライナーに打ち取ったが、3番ボビー・アブレイユ右翼手をフルカウントからの四球で歩かせると、4番のAロッドに初球をライトスタンドへ運ばれてしまう。さらに桑田は松井を歩かせたが、それでも桑田は続くロビンソン・カノ二塁手をショートフライに打ち取り、それ以上の失点は免れた。
松井秀「不思議な感じでした」 ヤンキースの松井秀喜は10日、ニューヨークでのパイレーツ戦に「5番・左翼」で先発、4打数2安打2打点だった ロドリゲスが放った一発が、桑田との対決を実現させた。六回二死だった。松井秀はゆっくりと打席に入った。 「不思議な感じですよね。いつも後ろ(外野)から見てましたから」。初球ストライクの後、4球連続でボール。桑田と初めての真剣勝負は、四球だった。 五回の守備で定位置についてパ軍のブルペンを見ると、桑田が投球練習を始めていた。「次から投げるんだ」。五回の攻撃は7番から。5番の自分までは回ってこないと思っていたが、運命はしっかりと2人の対決を用意していた。 “元同僚対決”は、すでにレッドソックスの岡島と済ませている。しかし、相手への感情は大きく違った。「オカジ(岡島)とは対戦する予測が立ってたけど、桑田さんと対戦できるとは思ってなかったから」。リーグが違う上に、桑田はマイナー契約からのスタート。対決が実現するのは奇跡といっていい。「ヤンキースタジアムで対戦できたのは大きな思い出」と感慨深げだった。 試合では一回に左中間への2点適時打を放ち、メジャー自己最長の6試合連続打点。チームの6連勝に貢献し、桑田に存在感を示した。