モータースポーツの世界で数々の栄冠を勝ち取ってきたホンダ(本社・東京)が、自転車レースに参戦している。急斜面のオフロードを下ってタイムを競う「ダウンヒル」レース。独自に開発した「RN01(アールエヌゼロワン)」は斬新なスタイルと性能で注目を集める。なぜホンダが自転車を開発したのか。
急斜面を高速で下るダウンヒルは、マウンテンバイク競技のなかでも最も激しい種目とされる。「落ちていく」ような快感は、恐怖と紙一重だ。乗る人の力量はもちろんだが、自転車の性能が大きくものをいう。 RN01の誕生は99年、本田技術研究所研究員の水田耕司さんが趣味でダウンヒルを始めたことにさかのぼる。モトクロスバイクのデザイン担当だった水田さんにとって、当時市販されていたダウンヒル用自転車はとても頼りなく見えた。「多くの人に楽しんでもらうにはもっと高性能な自転車が必要だ。ホンダならできる」。水田さんの挑戦が始まった。