肌のうるおい守るバリアー酵素。皮膚のうるおいを保ち紫外線からのダメージを防ぐ働きがある酵素を、ベルギー・ヘント大のチームがマウスの実験で突き止めた。 この酵素は人間にもある。皮膚が乾燥、うろこのようになる魚鱗癬(ぎょりんせん)や、アトピー性皮膚炎などの治療につながる成果として注目される。英科学誌ネイチャー・セルバイオロジー電子版に発表された。
この酵素はカスパーゼ14と呼ばれる。存在は知られていたが、生体内の働きは不明だった。 チームは、この酵素ができないマウスを作ってみた。どのマウスも、きめが粗い異常な皮膚になった。皮膚から逃げる水分の量も増え、保湿機能も落ち、紫外線による損傷が大きくなっていた。 表皮の細胞を培養して調べると、それ自体は紫外線に対する反応が変わらなかったため、細胞を守る「角層」の保護機能に問題があることがわかった。カスパーゼ14は、この角層の働きをコントロールしており、この酵素が働かなくなることで、紫外線を防げなくなったり、皮膚のうるおいを保てなくなったりするようだ。 三重大の水谷仁教授(皮膚医学)は「アトピー性皮膚炎では、乾燥肌が問題になっているが、アトピーのほか、皮膚がんや乾燥肌などの治療法解明につながる成果」と話している。