太陽に最も近い惑星の水星と2番目に近い金星が2002年5月以来、5年ぶりに日没直後の西の空で同時に見られるようになる。金星は「宵の明星」として見えることが多いが、水星は見えるチャンスが少ない。両惑星は軌道が地球より内側にあるため「内惑星」と呼ばれ、国立天文台は6月1日夜から10日夜まで、「内惑星ウイーク」として観測を呼び掛ける。
水星は太陽系の一番内側をまわる惑星で、いつも太陽の近くにあるため、なかなか目にすることが出来ません。しかし、今年の6月2日には水星が東方最大離角(夕方の西空で観望の好機)となり、その前後には、夕方の西空で大変観察しやすくなります。 金星は動きが遅いため、空の高い位置に、何ヶ月もの間とても明るく輝いて見え、人々の目を引きつけます。そのため、昔から、夕方の西空に見えるときには「宵の明星」、明け方の東空に見えるときには「明けの明星」と、見え方によって違う名前で呼ばれてきました。見えている時間も長く、日の入りから3 時間程度は見え続けています。 それにひきかえ、太陽にいちばん近い軌道をまわっている水星は動きが速いため、太陽から大きく離れて見える期間がたいへん短く、1週間前後しかありません。その上、太陽から離れる角度が小さいため、水星が見えている時間は、日の入りからわずか1時間程度しかありません。 今年の6月2日には、水星は東方最大離角となり、日の入り時の高度が約20度となります。水星が東方最大離角または西方最大離角となるのは、毎年何度かありますが、日の入り時の高度が東京で19度以上となり、金星も一緒に見られる年は、2002年5月以来、5年ぶりのことです。水星と金星を肉眼や望遠鏡、双眼鏡で観測してもらい、結果と観測日時、場所などをインターネットで報告してもらう。この時期には土星も近くに見えるほか、夜が更けると反対側の東の空に木星、火星、天王星、海王星も出現する。