ラニーニャ(La Niña)現象とは…
中部及び東部赤道太平洋での海面水温が平年より低くなる現象のことをラニーニャ現象という。エルニーニョとは全く逆の温度偏差パターンとなる。
海の温度構造について説明すると、ラニーニャ進行時、東部赤道太平洋では温度躍層が水深の浅いところまで上昇し、暖水層が非常に薄くなる。ラニーニャの最盛期には、温度躍層が海面すれすれにまで上昇してくる。これは、海洋混合層の深さが減少していることを意味し、深海から栄養素の豊富な海水が上がってくることになる。
ラニーニャ発生時には、インドネシアやオーストラリア北部では平年より気圧が低くなり、逆に東部赤道太平洋では高くなる。このような気圧偏差パターンは、赤道地域の下層を吹く東風を強化する。この東風の強化は、海面付近の海水を西部へと押し運ぶことになり、結果として赤道太平洋での海面水位は西部ほど高く、東部ほど低くなる。
中部赤道太平洋付近は、北半球の冬季〜春季を中心に冷たい海水で覆われるため、海面からの水蒸気の蒸発が抑制され、雲や降水の発生が抑制される。それとは逆に、インドネシア、マレーシア及び北オーストラリア北部では降水が多くなる。これらの天候は、インドネシアや西部太平洋での上昇気流、雲・降水の発生、東部太平洋での下降気流というウォーカー循環が強化されていることを示すものである。
国土交通省によると、四国では那賀川水系の2ダムで、取水制限が12日から農業、工業用水ともに55%に強化された。吉野川水系銅山川の3ダムでは4月から、水道用水も5%の制限が続く。徳島県では4月19日に知事を本部長とする渇水対策本部を設置した。
首都圏の水がめとなる利根川上流8ダムの貯水率は11日現在72%で、平年比82%。奈良俣ダム(群馬県)で過去最小の積雪となるなど雪が少なく、平年より1カ月程度早く、積雪は消えてしまった。このため、利根川水系ダム群からの補給開始は、平年より1週間早い5月14日ごろになると予想される。
積雪が少なかったうえに、4月は全国的に少雨となった。
岐阜市や京都市など9地点では同月の降水量が観測史上最も少なかった。
夏の渇水のかぎをにぎる梅雨の降水量について、気象庁は最新の3カ月予報で平年並みとの予想を出した。ただ、この夏は梅雨明けが早まる可能性を示唆する。「ラニーニャ現象が1、2カ月以内に発生する可能性が高い」とみるからだ。赤道付近の東風が強まるこの現象が起きると、日本の南の太平洋高気圧の勢力が強くなるという。前線の北上を抑えるオホーツク海高気圧はあまり強くなく、「梅雨明けが遅れるようなことは考えにくい」とみる。
ラニーニャ現象が発生した過去の夏場をみると、東北や四国、九州南部で梅雨明けが早まる傾向がある。盛夏が早く訪れ、しかも高温になるケースが多い。
農林水産省は、田植えなどへの影響を懸念。国土交通省関東地方整備局は「融雪水がほとんどなく、今後の降雨状況によっては利根川上流ダムの貯水量が不足することも考えられる」と、早くも貯水状況を気にしている。
ラニーニャ現象で梅雨明け早い?水不足が現実味
梅雨入り後もまとまった降雨がなく、西日本を中心に渇水が深刻化する可能性がでている。
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降水量が少ないのは、太平洋高気圧が弱く、梅雨前線が列島に押し上げられないためだが、今月に発生したラニーニャ現象の影響で、「梅雨明けが早まり総雨量は少ない」との分析もあり、東日本でも水不足が懸念される。
気象庁が22日発表した1か月予報によると、関東甲信や西日本の降水量は「平年並み」、北日本や北陸は「やや多め」。しかし、太平洋高気圧とオホーツク海高気圧が弱く、前線が発生しにくい上、発生しても活動が弱いため降水量は予報に反し平年に比べて低い。6月上中旬の高知の降水量は平年の37%、東京・大手町も67%だった。
国土交通省によると、今年3〜5月の記録的な小雨の影響もあり、香川、徳島2県に水を供給する早明浦(さめうら)ダム(高知県)の貯水率は32%(25日現在)。このままでは7月上旬にも底をつく見通しだ。三重県、鳥取県でも取水制限が行われている。関東の利根川水系の8ダムの貯水率は72%(26日現在)で平年並みだが、「予断を許さない状況」(国交省)という。
梅雨明け、雨量も平年並みとしている気象庁は、「関東は心配ないが、西日本の渇水解消は難しい」と指摘する。しかし、気象情報会社のウェザーニューズは、「今年は、梅雨期間が短くなり総雨量も減る。関東でも水不足の可能性はある」と分析する。今年の梅雨入りが平年より3〜16日遅れた上、ラニーニャ現象で太平洋高気圧の勢力が強まり、一気に梅雨前線を押し上げ、早い梅雨明けになると予測するからだ。同社は「よほどの大雨が降らない限り水不足になる。水を大切に使ってほしい」と呼びかけている。
ラニーニャで日本の四季が消えた。。10月まで残暑、秋は?そして厳冬の予想
気象庁の秋の3カ月予報によると、太平洋のペルー沖と正反対のインドネシア近海で対流活動を活発化させたラニーニャ現象は冬まで続く見通し。このため9月は、猛暑となった8月同様に太平洋高気圧の影響で残暑が尾を引くことになりそう。
ただ、夏のようにカラッと晴れるわけではなく、「9月特有のぐずつく空模様で、蒸し暑いだけ」(気象庁)と、うんざりする天気が続く可能性もある。10月になっても高い気温は続き、初冬ともいえる11月に入ってようやく平年並みに落ち着く見込みだ。
猛暑をもたらしたラニーニャ現象は、冬には寒さを呼び込む。対流活動の活発化は日本上空に寒気を南下させる要因ともなり、厳冬になりやすいという。平成17〜18年冬の記録的豪雪の一因ともなった。
気象庁の高橋俊二予報官は「冷夏や暖冬につながるエルニーニョ現象が寒暖のメリハリをなくすのに対して、ラニーニャ現象はメリハリをつけるのが特徴」と説明。今年については、残暑が長引くと予想されるため、短い秋を満喫する間もなく、厳しい冬を迎える事態も起こりかねないという。
“長い夏”をもたらし、秋を縮めさせるのはラニーニャ現象ばかりではない。地球規模で進む温暖化と都市が熱をため込むヒートアイランド現象も要因に挙げられる。気象庁によると、温暖化のために、日本の平均気温はここ100年で1度以上上昇。東京に限れば、ヒートアイランド現象の影響が加わって約3度上がったという。「特に5月までの春で気温上昇が顕著で、相対的に夏を感じる期間が広がっている」
長い猛暑と厳しい冬。そしてわずかばかりの春と秋。情景豊かな日本の四季は、今後ますます薄れていくことになりそうだ。
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気象庁:エルニーニョ/ラニーニャ現象
2007-05-14 21:54:57