アメリカのコミックで知られる「スーパーマン」がその力を奪われるという設定の架空の鉱物、「クリプトナイト」とほぼ同じ組成の鉱物がセルビアの鉱山で発見され、正式に「新鉱物」の認定を受けて、25日から5月13日までロンドンの自然史博物館で展示されることになった。
自然史博物館の鉱物学者、クリス・スタンリー博士は24日、BBCテレビで、見慣れない鉱物を発見したという企業の依頼で組成を解析したところ、映画「スーパーマン・リターンズ」で悪役が博物館から盗んで使った「クリプトナイト」の組成とほぼ同じであることが判明したと語った。 映画に登場するクリプトナイトは緑色の結晶だが、発見された鉱物は白い粉状で放射性物質も含んでいないという。スタンリー博士は「緑色でもなく輝いてもいないが、紫外線に当たるとオレンジがかったピンク色の蛍光を発するだろう」と話し、魅惑ある新鉱物に興味津々の様子だ。 鉱物は自然史博物館とカナダ国家研究会議で検討され、新たな鉱物と確認された。ただ、実在の元素、クリプトンとは無関係のため、「クリプトナイト」とは命名できず、セルビアのジャダーという発見場所から「ジャラダイト」と名付けられた。 スタンリー博士は新鉱物にはホウ素やリチウムといった商品価値の高い物質が含まれていることも明かす一方、「注意もしなくてはいけないよ。スーパーヒーローに地球を去ってもらっては困るからね」と、冗談交じりに新発見を喜んでいる。