「物質になぜ重さある?」 高エネ研などが仕組み検証中!高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)と京都大のチームは24日、「物質にはなぜ質量(重さ)があるのか」という問題に迫る理論の検証に成功した、と発表した。高エネ研のスーパーコンピューターを使った成果だ。
高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)と京都大のチームは24日、「物質にはなぜ質量(重さ)があるのか」という問題に迫る理論の検証に成功した、と発表した。高エネ研のスーパーコンピューターを使った成果だ。 物質の質量はふつう天びんで測るが、「動きにくさ」でも決めることができる。動きにくいものほど質量が大きく(重い)、動きやすいものほど質量は小さい(軽い)というわけだ。 物質を構成する素粒子であるクォークは、現在は質量を持っているが、宇宙が誕生した137億年前のビッグバン直後は質量を持たず、光の速度で自由に飛び回っていたとされている。 ところが、その動きにブレーキをかける水あめのような仕組みがあって動きが鈍り、クォークは質量を「獲得」したと考えられている。 水あめのような仕組みとして、南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授が61年、「カイラル対称性の自発的破れ」と呼ばれる理論を提案したが、膨大な計算が必要で検証は手つかずだった。 高エネ研の橋本省二・准教授らは、スーパーコンピューターで約半年間かけ、クォークの振る舞いを計算。その結果、南部氏提案の水あめのような仕組みの存在を示し、質量の獲得を裏付けた。 物質の質量の起源は完全には解明されておらず、現代物理学の大きなテーマの一つだ。水あめのもとに相当する「ヒッグス粒子」と呼ばれる素粒子の存在も理論的に予想されているが、発見されていない。発見されれば、ノーベル賞級の成果といわれる。