米航空宇宙局(NASA)は20日、スペースシャトルの後継宇宙船「オリオン」の開発について、ロッキード・マーチン社と昨年8月に交わした契約を大幅に見直した。オリオンは新世代の探査船で、クルーを載せた月旅行、後には火星探査での使用が予定されている。NASAが有人宇宙探査に用いる主要宇宙船として、スペースシャトルの後を継ぐことになっており、NASAのConstellation Programで開発されている。
宇宙飛行士が搭乗した最初のミッションとして、ISS(国際宇宙ステーション)への飛行が2014年までに予定されており、2020年までにオリオンを使った月への探査計画が予定されている。
オリオンという名前は、最も明るく、人気があり、見つけやすい星座からつけられた。「オリオン座は新世界を探索するための目印として、数世紀にわたって使われてきた」ことから命名された。 2011年までだった試作機の開発期間を13年まで2年延長し、開発費は39億ドル(約4641億円)から43億ドル(約5117億円)へと増額した。当初「早ければ14年」としていた初の有人飛行は15年以降にずれこみ、シャトル引退後の空白が長引く見通しも強まってきた。 契約の見直しでは、緊急打ち上げ中止システムの試験用飛行が2回追加された。NASAは「計画の進展を反映して、技術的変更が必要になった」としている。就航の遅れについては、グリフィン長官が先月、議会証言で示唆していた。 NASAのConstellation Programは2006年6月、アレス(Ares)というロケットの打ち上げに関する発表を行った。オリオンを打ち上げるためロケットはAres Iと呼ばれ、さらに重量のある宇宙船/衛星を打ち上げるためのロケットとしてAres Vが計画されている。 オリオンは最大6人までの乗組員をISSに送り、地球に帰還させる能力を持つ。月へのミッションでは最大4人が乗船可能で、火星へも複数の乗組員の搭乗が可能になる予定。 重量は約25トン。アポロ宇宙船の2.5倍の居住空間を持つ。デザインは過去の宇宙船を踏襲したものだが、コンピュータ、電子技術、ライフサポート、推進力、耐熱性においては最新技術が導入されており、スペースシャトル「コロンビア」事故で問題となった大気圏再突入時の問題は、安全な円すい形デザインにすることで対策が取られているとNASAは説明している。 シャトルは10年までに国際宇宙ステーションを完成させて引退する予定となっている。