約70年前に仮説が唱えられた、花を咲かせる物質「花成ホルモン」(フロリゲン)の正体を奈良先端科学技術大学院大学のグループが突き止めた。Hd3aという遺伝子が作るたんぱく質で、イネで見つけた。他の多くの植物にも共通する可能性が高いという。詳細は米科学誌サイエンスの電子版に掲載された。
このたんぱく質を薬に応用できれば、「花咲かじいさん」の灰のように、季節や樹齢と関係なく花や実をつけさせることができると期待される。収穫時期や収穫量が限られる現在の農業の生産性を高めるのに役立ち、作物や園芸植物の品種改良も進みそうだ。 研究チームは、イネのHd3a遺伝子が作るたんぱく質を光るように細工し、開花時期に花がつく茎の先端に集まる現象を発見。Hd3a遺伝子の働きを人工的に強めると、開花までの時間が通常の3分の1程度の15―20日に縮まることもわかった。 ※写真は、イネの茎の先端で緑色に光る花成ホルモン=画面下方の三角形に広がった部分=と特定されたタンパク質。奈良先端科学技術大学院大提供)