フランス国立宇宙研究センター(CNES)は22日、過去50年余りにわたって得られた1600件以上の未確認飛行物体(UFO)に関する情報をウェブサイト上(http://www.cnes-geipan.fr)で公表した。科学者やUFOファンが情報を手に入れやすくするのが目的で、関係者によれば、こうした情報を公にした国は世界で初めて。
公表したのは1954年以降のもので、未確認空中現象に関する研究団体のジャック・パトネ氏によると、中には調査に値しないものもあるが、仏全土で何千人もが目撃したケースや、着陸跡とみられる焼け焦げ、物理学の法則を無視した飛行形跡のレーダー追跡記録など重要なものも多数含まれており、約25%は具体的なデータや信頼できる目撃証言があるにもかかわらず「説明不能」とされる「タイプD」に分類されるという。 そうした中には81年1月8日の南仏での報告例がある。畑で働いていた男性が口笛のような不思議な音を聞き、約50メートル先に鈍い灰色をした直径約2.5メートルの円盤状の物体が着陸するのを目撃。物体は地面に焼け焦げを残してすぐに飛び去り、調査が行われたものの、いまだに満足できる説明はなされていないという。 その一方、90年11月5日に約1000人が空中の光を目撃したと証言したが、これは大気圏に落下したロケットの破片だった。 公開したのは、1954年以来、CNESや警察などに寄せられた約6000件の証言と、スケッチ、写真、ビデオなど約1600点の資料。 これまで寄せられた証言には「恋人がUFOに連れ去られた」など、すぐウソと判明した情報も少なくない。だが、赤茶色の円盤が形を変えながら空中を浮遊しているのを見たとする旅客機パイロットの証言など、信頼性があり、かつ原因がわからない情報も全体の28%を占めるという。 UFOについては「情報機関の仕業か」など陰謀説もあった。「憶測を廃し、科学研究に資するため、プライバシーにかかわるもの以外の情報はすべて公開した」とCNES。サイト上で公表された情報は、新たな報告があれば更新される予定。パトネ氏によれば、CNESは毎年50―100件のUFO報告を扱い、その1割で現場検証が行われているという。 CNESサイトのURL:http://www.cnes.fr/ UFOに関するCNESサイトのURL:http://www.cnes-geipan.fr/ 公表後、いまだにアクセス殺到でサーバーがダウンした状態が続いている。