「崖の上のポニョ」は、人間になりたいと願う金魚の姫ポニョと、5歳の男子・宗介の物語。宮崎監督が04年に社員旅行で訪れた瀬戸内海の町を気に入り、翌年春に一軒家を借り切って2カ月ほど滞在。その間に構想を練った。鈴木プロデューサーは「“宮崎駿版・人魚姫”のようなイメージ」と話した。
「ファインディング・ニモ」
他の魚に襲われ妻と沢山の卵を亡くしてしまったマーリンは、唯一残った卵から生まれた息子のニモに対して過保護になる。
ある日、ニモがダイバーにさらわれてしまった所から、ニモを捜すための旅がはじまる。マーリン父さん奮戦記!!
USでは、この映画を見たエクゼクティブな家庭の子供が水槽の魚を水道に流す珍事件が続発。水道では魚も死んでしまい増すので、まねはしないようにしましょうね!
CGで描かれたディズニー作品の「ファインディング・ニモ」とは違う “金魚姫” 物語が、日本のアニメーションが手書き職人により緻密な映像として制作される。今回は特に絵にこだわる。「緻密(ちみつ)じゃなく子供が描いたような新しい絵で、アニメ本来の楽しさを出したい」と、コンピューターを使用せず、すべて手書きで製作する。鈴木敏夫プロデューサーによると、宮崎監督は「いつもとまるで違う挑戦になる」と意気込んでいるという。
アニメでは「水」の表現は難しいといわれるが、「手で描くことで、波や海の新しい表現を発明したい」と意気込んでいるという。CGを一切使わずに、原点に立ち戻る。披露されたイメージビジュアルは「原点に戻ってアニメ本来の楽しさを追求したい」と、これまでとはひと味違う柔らかいタッチだ。
宗介のモデルは宮崎監督の長男吾朗氏(40)。吾朗氏が昨年、「ゲド戦記」で映画監督デビューしたことを、宮崎監督は自分への反抗ととらえ、「こんなことになったのは吾朗が5歳の時、仕事ばかりで付き合っていなかったからだ。二度と吾朗みたいな子をつくらないために」と反省の気持ちを込めているという。
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スタジオ・ジブリ作品
◆密着取材番組27日夜に放送
宮崎駿監督に密着したNHK総合のドキュメンタリー番組「プロフェッショナル 仕事の流儀 スペシャル」が27日午後10時から放送される。
「崖の上のポニョ」に取り掛かった昨年4月から3か月半密着して、宮崎駿監督の仕事風景などを撮影している。息子の宮崎吾朗監督の「ゲド戦記」の試写に立ち会ったときや、海辺の町に出かける姿など、ファンにはたまらない貴重な映像が見られる。
NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 「映画を創る〜宮崎 駿・創作の秘密〜」
(2007年3月27日放送)
宮崎駿監督の次回作のタイトルが「崖の上のポニョ」で、2008年夏に公開予定だと発表された。
NHKの番組『プロフェッショナル』に宮崎監督が登場したのはその直後。番組でも「ポニョ」について触れられるのではないかとかなり期待していた。深い海の中、小さなかわいい金魚姫“ポニョ”がクラゲの上に乗っている絵を監督は描き上げた。そこからどんなストーリーが紡ぎ出されるのだろうか。ただただ、楽しみである。
「僕はとりあえず映画として恥ずかしくない、形になっているモノを作るだけで精一杯なんですよ。だから子ども達にこれを伝えたいから映画を作っているっていうのはかっこいいけど、あんまり信用していないんです」そう言った後に、笑いながら続けた。
「子ども達に“つまんない”って言われたくないじゃないですか。そっちのほうが先ですよ。世の中で一般的に言われているような“こういうものを訴えたい” とか、そんなもので作品を作っても下らないものです。そういう風にテーマを簡単に抜き出せる物はみんないかがわしいと思いますね」
番組のなか、監督のアトリエに遊びにきた女の子が別れ際、「ハウルつくってありがとう」と監督に微笑みかけるシーンがあった。宮崎監督の作品にはそれぞれ確固としたテーマがあるものだと思っていたが、決してそういうわけではなさそうだ。子どもの頃にしか見ることができない世界なのかもしれない。
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NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 「映画を創る〜宮崎 駿・創作の秘密〜」(2007年3月27日放送)
ジプリ 「崖の上のポニョ」 新作主題歌、公開半年以上前に発売
スタジオジブリの最新作「崖の上のポニョ」(宮崎駿監督、08年夏公開)の主題歌が12月5日に発売されることが7日、分かった。団塊世代の一部に熱狂的に支持される藤岡孝章(55)と藤巻直哉(55)のデュオ「藤岡藤巻」に児童劇団所属の子役・大橋のぞみ(8つ)を加えたユニットを結成。映画公開の半年以上前にCDが発売されるのも極めて異例。鈴木敏夫プロデューサー(59)は「曲を聴いて(作品の)イメージを膨らませてほしい」と話している。
全世界で注目を集める宮崎駿監督(66)の「ハウルの動く城」以来4年ぶりとなる最新作「崖の上のポニョ」の主題歌が12月5日にCD発売されることになった。
映画の主題歌は通常、公開に合わせて発売されることが多いが、今回は超異例の前倒し。宮崎監督が「能天気に突き抜けた歌を作ってほしい」と作曲家・久石譲氏(56)にリクエスト。映画のストーリーが「人間になりたい」と願った金魚のポニョと5歳の男の子・宗介を主人公にしたもので、子供が誕生したばかりの作画監督・近藤勝也氏が作詞を担当し、7月に完成した。宮崎監督が製作中に繰り返し聴くほどの気に入りようで、配給の東宝関係者が「子供に聴かせたいので、クリスマスプレゼントに間に合うように早く発売してください」とリクエスト。
主題歌を歌うのは、シブがき隊などを手掛けた音楽プロデューサー藤岡と、スタジオジブリ担当の大手広告会社勤務の藤巻のデュオ「藤岡藤巻」と児童劇団に所属する子役・大橋のユニット。デモテープ作製用の仮ユニットだったが、「いい歌が出来ちゃったので本番も歌ってもらうことになった」と鈴木プロデューサー。まさにひょうたんから駒の“シンデレラユニット”が誕生した。
コンセプトは父娘で一緒にお風呂に入り、たどたどしく歌う女の子を手助けするお父さんの構図。実際、1女の父親の藤岡は「娘の一番かわいい時を思い出して歌った」と話している。鈴木プロデューサーは「『となりのトトロ』以来のいい曲になった。100万枚売り上げたいね」と現在も子供たちに歌われる名曲を超える存在と説明した。ライバルは「おしりかじり虫」。予告編の“公開”は来年ゴールデンウイークを予定しているが、その前に子供たちに口ずさんでもらうのが狙いだ。
ジブリ宮崎駿の『崖の上のポニョ』主題歌は8歳の女の子と55歳おじさん
主題歌を歌うのは、ユニット名“藤岡藤巻と大橋のぞみ”。藤岡藤巻は、藤岡と藤巻という2人とも55歳で、中年のお父さんの悲哀を歌い団塊の世代を中心に支持されているデュオ。一方、大橋のぞみは児童劇団に所属する子役として活動している8歳の女の子。この一見不思議な組み合わせが、ユニークで美しいハーモニーを奏でる。
いままで、ジブリ作品の主題歌は米良美一が歌う「もののけ姫」や新人、手嶌葵が唄う『ゲド戦記』の「テルーの唄」など、どの歌も印象的で透明感ある歌声で、聴く者の心にダイレクトに訴えかけてきた。
この最新作『崖の上のポニョ』注目の主題歌のタイトルは、映画タイトルと同じ「崖の上のポニョ」。 言葉がおぼつかない娘と、その娘が歌っているそばで、一緒に歌ってあげるお父さんという設定のデュエット曲で、娘と父が交互に歌っていくうちに掛け合いのような歌い方へとかわっていくというものらしい。
「崖の上のポニョ」歌詞と作った人たち
崖の上のポニョ
作詞 : 近藤勝也
補作詞 : 宮崎 駿
作曲・編曲 : 久石 譲
歌 : 藤岡藤巻と大橋のぞみ
ポーニョ ポーニョ ポニョ さかなの子♪
青い海からやってきた♪
ポーニョ ポーニョ ポニョ ふくらんだ♪
まんまるおなかの女の子♪
ペータペタ ピョーンピョン♪
足っていいな かけちゃお!
ニーギニギ ブーンブン♪
おててはいいな つないじゃお!
あの子とはねると 心もおどるよ♪
パークパクチュッギュッ! パークパクチュッギュッ!
あの子が大好き まっかっかの♪
ポーニョ ポーニョ ポニョ さかなの子♪
青い海からやってきた♪
ポーニョ ポーニョ ポニョ ふくらんだ♪
まんまるおなかの女の子♪
フークフク いいにおい♪
おなかがすいた 食べちゃお!
よーくよく 見てみよう♪
あの子もきっと見ている♪
いっしょに笑うと ホッペがあついよ♪
ワークワクチュッギュッ! ワークワクチュッギュッ!
あの子が大好き まっかっかの♪
ポーニョ ポーニョ ポニョ さかなの子♪
崖の上にやってきた♪
ポーニョ ポーニョ ポニョ 女の子♪
まんまるおなかの元気な子 ♪
「ポニョ」公開3日で興行収入15億、「千と千尋」の96・6%
東宝は22日、公開中の宮崎駿監督のアニメーション映画「崖の上のポニョ」(特別協力・読売新聞)が、公開初日の19日から21日までの3日間で、15億7500万円の興行収入を上げた、と発表した。
公開後3日間の記録としては、2001年に公開され、最終的に史上最高の興行収入304億円を上げた、宮崎監督の「千と千尋の神隠し」の96・6%に達し、3日間の観客動員数は125万人を記録し、「千と千尋の神隠し」の101・4%となった。
東宝は「大都市のみならず、全国のシネコンも好稼働している。客層も幅広く、満足度の高さから、今後の口コミ効果も期待できる」と話している。
ヴェネチアで『ポニョ』が1位評価!観客から5つ星!
第65回ヴェネチア国際映画祭にて、宮崎駿監督の映画『崖の上のポニョ』の公式上映から一夜明けた現地時間1日、映画祭会場で毎日配布される映画紙「CIAK」の観客及び批評家の星取で、共に1位を獲得した。
連日、批評家10人、一般の観客10人による星取りを掲載している。8月31日までコンペティション部門21本のうち9本が上映されたが、『崖の上のポニョ』は同日に上映された地元イタリア映画『イル・パパ・ディ・ジョヴァンナ』(原題)を抑えて1位になった。特に一般観客の評価が高く、10人中何と6 人が満点の5つ星を付けている。30日まで1位をキープしていた北野武監督の映画『アキレスと亀』は、これで3位となった。
同紙ではこの一般観客の評価を基に「観客賞」を設けており、『崖の上のポニョ』の受賞に大きな期待が持てそうだ。また1日付のイタリア各紙でも、5分間のスタンディングオベーションとなった熱狂の公式上映の様子を伝えると同時に、「観客と批評家の評価が一致 アジアも欧州もポニョが好き」(レプブリカ紙)、「カトゥーンを詩にした」(スタンパ紙)絶賛。「子どものために作った」(宮崎監督)と言いつつ、環境破壊などメッセージ性の高い内容に賛辞を贈っている。
ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品されている宮崎駿監督(67)の「崖の上のポニョ」を、イタリアの新聞各紙が絶賛した。採点(星5つで評価)では満点の評価もつけられるほど。31日夜に行われた公式上映では、宮崎監督がファンからもみくちゃにされる熱狂ぶりだった。
コンペ部門の公式上映の翌日に発表されるイタリア10紙の採点では、「イル・マニフェスト」紙が最高点の5つ星。現在、21作品中9作品が採点の対象になっているが、5つ星がついたのは「−ポニョ」のみ。他4紙も4つ星をつけた。この採点では前日まで北野武監督(61)の「アキレスと亀」がトップだったが、「−ポニョ」がその座を奪った。
イタリア2大高級紙のひとつ「レプブリカ」は「3歳から100歳まで、すべての人を魅了する作品。素晴らしい想像力で、現実と魔法の世界を調合している」という識者の評を掲載。「コリエーレ・デラ・セラ」も「ポニョがすべての人を“征服”した」と大きな見出しで絶賛。ファンから「マエストロ」と呼ばれる宮崎監督に対しても「口調にエレガントな品格が出ている」とたたえた。各紙の高評価は、審査員たちが決めるグランプリの行方にも影響を与えそうだ。
【第65回ヴェネチア国際映画祭】宮崎駿監督もお手上げ!サイン攻撃で会場パニック!
第65回ヴェネチア国際映画祭にて、コンペティション作品である宮崎駿監督映画『崖の上のポニョ』の公式記者会見が現地時間31日に行われた。アニメ界の “マエストロ(巨匠)”の登壇に、約300席ある会場は満席に。会見終了後はサインを求める記者が殺到してパニック状態となった。宮崎監督もお手上げで、改めて、イタリアでの宮崎人気を見せつけた。
宮崎監督の同映画祭コンペ部門参加は、スタジオジブリに対して金のオゼッラ賞が贈られた『ハウルの動く城』以来、2回目。その際、宮崎監督は現地入りしなかった。そして2005年に名誉金獅子賞が授与されたときに初めて同映画祭に参加した。
宮崎監督自身はコンペで映画に順位を付けるのはあまり好きではないそうだが、「(映画祭ディレクターの)マルコ・ミュレールとの今までの関係もあって来たんです。『名誉金獅子賞を貰った監督でも(コンペに参加して)いいのか?』と聞いたけど、その後も(新作を)作っているんだからいいんだと言われて。前回、このリド島に来たときは涼しくて、人も少なくていいなと思ったんだけど、今回は暑いし、人も多いしで参りました」と苦笑い。
会見では「今回、人魚姫をモチーフにしたのはなぜか?」と言った基本的な質問から、「最近のアニメは3Dを使ったものが多いがどう思うか?」など、活発な質疑応答が続いた。
その中で宮崎監督は、本作について「わたしの周囲のスタッフに次々と赤ちゃんが生まれて、産まれて来た子どもが初めて観る映画を作ろうと、コレを作りました。物語の基礎となっているのは、“異種婚礼譚”。わたしたち島国(日本)はそういう話をいっぱい持っている。これを世界の人がどう見るのか非常に興味があります」と笑顔で語った。
また宮崎監督自身も、今年8月、長男・吾朗氏(映画『ゲド戦記』の監督)に長男が産まれたことを明かした。宮崎監督は「(吾朗氏は)これから子育てでひどい目に遭うんだと思うと、『ざまーみろ』って感じだね」と高笑い。言葉は素っ気ないが、表情は初孫誕生のやさしさにあふれていた。
05年に「栄誉金獅子賞」が贈られるなどベネチアでも絶大な人気を誇る宮崎監督だけに、31日夜に行われた公式上映終了後は、約5分のスタンディングオベーションだけでなく、サインを求めるファンが殺到しもみくちゃにされる一幕も。映画祭関係者も「ここまでの熱気は見たことがない」というほどだ。上映中は審査委員長のヴィム・ヴェンダース氏が声を上げて笑う姿もあった。
「映画に順番をつけるのは好きじゃない」という宮崎監督だが、この大歓迎には「いいお客さんに出会えて、幸せな映画だなと思いましたよ」とさすがに感激した様子。アニメで初のグランプリ獲得の期待がかかるが「映画を作っている上ではどうでもいいこと」としながら「勝った負けたではなく、アニメでも実写でも、いい映画は祝福されるべきです」と語っていた。
ヴェネチア評価『ポニョ』がトップに 批評家&観客の星取り表『アキレス』は3位
第65回ヴェネチア国際映画祭が、折り返し地点となる6日目を迎えた。コンペ作品21本のうち、9本が公式上映を終えたが、映画祭デイリーペーパー「CIAK」の“星取り表”では、現在宮崎駿監督『崖の上のポニョ』がトップ、北野武監督『アキレスと亀』は3位につけている。
イタリアを代表するメディアの批評家たち10人と、一般から選ばれた10人の観客たちが、コンペ作品の評価に応じて星をつけていくもの。6作品の上映を終えた5日目までは『アキレスと亀』がトップを走っていたが、6日目の8月31日(日)、批評家1人と一般6人のつけた五つ星により、『崖の上のポニョ』がトップに躍り出た。
批評家、観客たちに愛される『崖の上のポニョ』と『アキレスと亀』だが、金獅子の行方を占うカギは、それぞれの作品が、『HANA-BI』(北野)と『風の谷のナウシカ』(宮崎)を超えられるかにかかっているのかもしれない。