メジャー相手に初登板した松坂に沸き起こったジャイロボールの「目撃情報」は、一夜明けてさらに波紋を広げた。米記者らの間では、朝から「ダイスケは本当にジャイロを投げたらしい」の話題で持ちきりになった。
◆ジャイロボールとは?
進行方向に回転軸が向き、ライフル弾のようならせん回転をしながら進んでいくボールのことを指す。右投手が投げた場合は投手から見て時計回り、左投手が投げると反時計回りとなる。フォーシームジャイロとツーシームジャイロの2種類があり、前者は普通の直球に比べて空気抵抗が少ないため、初速と終速の差が小さい。後者は直球と同程度の空気抵抗を受け、揚力も働かないため、打者にはボールの到達が遅く感じる。
事の発端は、マ軍のストークスが「オレはジャイロを見た」と証言したことだ。初回のスライダーのすっぽ抜けを勘違いして「すごい球だった」と目をぱちくり。しかし、松坂は「昨日は(指摘されるような球を)投げていません」と否定。沈静化を図ったが、逆に衝撃発言のオンパレードになった。
米メディアで話題を集めている魔球「ジャイロボール」については、笑い飛ばすばかりだった。「カットボールとか縦回転のスライダーのことみたいですね。ジャイロはジャイロで別のもの。ちゃんとした投げ方があります」。
もともと、ジャイロボールと指摘される球の存在を、これまで本人は否定も肯定もしてこなかった。「幻のボール」が実在することを明言すれば、打者との心理戦で有利に働く、との計算もあってのことだろう。
球の軌道に対し、90度の角度で回転する球とされていることから「カットボールとか、縦のスライダーの抜けたのが、ジャイロの回転に近いものだと思う」と分析。しかし「それはジャイロじゃない」と否定した。そして「ジャイロはジャイロで別にある。投げ方がちゃんとある」初めて明確に“魔球”の存在を認めた。
「あれはカットボールのシュート系。自分が投げようと思って意識して投げられる球じゃなく、抜けた感じのときに偶然、生まれる球。すごくホップして打者の手元で伸びる。その球を、いままで打たれたことはないです」
これが正体だ。いつどこで、誰に対してでも突然、ジャイロボールが投げ込まれる可能性があって、しかも「打たれない球」ならば、やっぱり魔球だ。もちろん、タネが明かされてもなお、脅威。怪物はやっぱり、全米を震撼(しんかん)させ続ける。
松坂、新居の家賃は約120万円!!
ボストン近郊の高級住宅街「ブルックライン」で家賃1万ドルのマンションに入居予定
松坂の新居が決定。レッドソックスの地元紙「ボストン・ヘラルド」紙は8日付けで、松坂大輔投手が、4月の開幕前に、ボストン近郊の高級住宅街、ブルックラインで家賃1万ドル(約120万円)のマンションに入居する予定、と報じた。
ボストンに隣接するブルックライン地区は、ケネディー大統領が誕生したことで有名な街。利便性が高く、治安も良く、緑豊かで歴史ある町並みが魅力の場所だ。記事によると、ジョン・ヘンリー・オーナー、ラリー・ルチーノ社長、テリー・フランコナ監督らチームの首脳陣も住居を構える高級住宅街に、松坂一家も新居を構えることになる。
「日本では、松坂と倫世夫人は、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー並みに有名なカップルだが、2人は、娘を公共の場に出すことや、写真を撮られることを一切認めていない」と紹介し、24時間警備員のいる家賃1万ドルの高級マンションに入居することになったと説明。ブルックラインという地域性を考えれば、1万ドルの物件でも、バーゲンだと報じている。
日米の野球界で「魔球論争」が巻き起こっている。
大リーグのボストン・レッドソックスに入団した松坂大輔投手(26)が魔球を投げるというのだ。松坂は7日(韓国時間)フロリダ・マーリンズとのオープン戦で米球界に正式デビューを果たしたが、松坂と対戦したマーリンズの打者が「松坂が1球だけ魔球、つまりジャイロボールを投げた」と語ったことから、魔球論争に火が付いた。
翌日、松坂本人はこれを否定した。ところが騒動はさらに激しくなった。「その日は投げていない。ジャイロボールは別にある」。この話を聞いた日本の球界はひっくり返った。これまでジャイロボールの存在について否定も肯定もしていなかった松坂が、初めてこれを認めたからだ。
松坂は日本の記者に「(ジャイロボールは)存在するが、自分では意識して投げられない。 カットボール(スライダーとストレートの中間の性質のボール。人差し指と中指でボールの縫い目を横から押さえ込むように握り、手首を完全にひねらずに投げる)を投げ損なったときに偶然投げられる球なので、投げようと意識して投げることはできない」と語った。また「西武時代の捕手・細川が何回かこの球を受けてくれたが、バッターに打たれたことは1度もない」とも語った。ところが細川が「多分カットボールだろう。時々、地面に対し直角に回転する球があった」とジャイロボールの存在を否定したことで、さらに疑惑を呼んだ。
2001年にスポーツ科学者の手塚一志氏(44)と物理解析学者の姫野龍太郎氏(52)が共同で書いた『魔球の招待』という本に端を発するジャイロボール論争は、松坂の米国進出を機に米国でも話題になり、今年2月にニューヨークタイムズ紙が特集記事を掲載した。科学者の理論通り投げられれば誰も打てないというジャイロボール。マンガにしか登場したことのない魔球は果たして本当に存在するのだろうか?