カバンなどに隠されている爆発物や麻薬を電波によって検知する技術を、大阪大と物質・材料研究機構(茨城県つくば市)のグループが開発した。地雷探査や空港での手荷物検査に応用でき、試験機を作って実用化を目指している。
物質に含まれる窒素に電波を当てると、周囲にある他の元素の影響を受けて波長の異なる電波が生じる。TNTなどの爆薬、コカインやヘロインといった麻薬から出る電波には固有の波長があるので、これをキャッチできれば、物質名が特定できる。 研究グループはこの仕組みを利用。超電導技術を用いて、生じた電波を感度よく検出できる装置を工夫した。高性能火薬のRDXなら約15センチ離れたカバンの中にある状態でも探知できた。TNTは1センチ離れた位置で反応をキャッチ。コカインも同様に検知した。 地雷探査は金属探知器や訓練された犬で行われるが、地雷のほかにも反応する金属が多く、爆薬そのものを探知できれば発見の効率が上がる。グループの糸崎秀夫・大阪大基礎工学研究科教授は「もっと離れて探知できるように感度を上げ、実用化を図りたい」と話している。 成果は英国物理学会誌に発表した。